押し合いへし合いのぎゅうぎゅうづめになって、赤の他人の汗にまみれたり髪の毛が口に入ったり殴ったり殴られたり、呼吸困難になったとしても、それでも最高に楽しかった!! と思えるってのは素晴らしいことだ。行ってきたぜ! 春のGod of Thunder ! Day 1に! ああーああああああ! もう! 最高だった!
ニューアルバム「蔦からまるQの惑星」のレコーディングが先日ついに終了したということで、今回は新曲を三曲披露してくれた。アルバム発売前にライブで新曲を聴くのは実は初めての体験で、前情報で今日は聴けそうだって話を耳にしてから非常にわくわくしていた。が、同時にちょっと不安でもあった。HMVのサイトで曲のタイトルが公開されているのを見て、「筋少っぽくないな」と思っていたからだ。
どちらかというと特撮テイストのタイトル群だ。そしてセルフカバーにはUGSのワインライダー・フォーエバー。個人的に、筋少と特撮とオーケンソロはそれぞれ分けてほしいと考えている。それぞれに個別の味があるんだから個性を際立たせるためにもごっちゃにならないでほしいなぁ、ってね。新人にGuruが収録されたときにもこれは思った。だって全部混ざってしまったらもったいないじゃないか。
だが、披露された三曲、特にそのうちの一曲を聴いたらそんな不満もぶっ飛んだ。何だこの格好良さは!
さて、セットリストである。だんだん覚えるコツを掴んできたぞ。
くるくる少女
へそ天エリザベスカラー
ソウルコックリさん
ハッピーアイスクリーム
ロシアンルーレット・マイライフ
アウェー・イン・ザ・ライフ(新曲)
仲直りのテーマ
踊るダメ人間
生きてあげようかな
爆殺少女人形舞一号(新曲)
イワンのばか
バトル野郎~100万人の兄貴~
ドナドナ
ツアーファイナル
トゥルーロマンス
~アンコール~
捨て曲のマリア(新曲)
君よ!俺で変われ!
未使用引換券
サンフランシスコ
心の折れたエンジェル
くるくるのへそ天のコックリさんがハッピーアイスでロシアンコサック、アウェーに仲直りしたけどダメ、それでも生きてあげようかな爆殺少女でイワン野郎がドナドナでツアーファイナルはロマンス、捨て曲で変われ! 未使用のサンフランシスコで心折れる、みたいな感じに記憶した。どんな話だ。
あと「ソウルコックリさん」「ハッピーアイスクリーム」「ロシアンルーレット・マイライフ」の流れは亡霊ゾーンと頭の中で勝手に名付けた。
今回整理番号はBの200番台、後ろも後ろの方なのでゆっくり家を出たらちょっとゆっくりしすぎたらしく、ライブハウスに着いたら既に開場時間になっていた。入場が遅れる心配は無いがロッカーが使えない危険性は多いにある。電車に揺られてリキッドルームに向かう途中にそのことに気付き、やべーなぁと思ったが、何とかロッカーは確保できたので一安心。上着と鞄を身につけたままライブに行くのは避けたいからな。
番号を呼ばれて中に入ると当然と言えば当然だが中は人人人の人の山。流石今年最初の筋少ライブ、皆さん気合が入ってらっしゃる。ソールドアウトしたって書いてたしなぁ、さーてどこに行くかなぁ、と、考えて、おいちゃん側に行くことにした。良さげなところを見つけたらしばらくはまったり待つだけである。
時間通りかな? 五分くらいは押しただろうが。体感としてはほとんど時間通りに客電が落ちて、だーっ!! っと民族大移動が始まる。前にもあったが、突然目の前にぽっかりとした空間が出来て、そこへ向かって進んで行くといつの間にやら前から六列目付近、といった感じになった。このぽっかり空間が出来るのが不思議なんだよな。多分、前の人がものすごくつめたことで一瞬だけ発生するものなんだろう。
しょっぱなからくるくる少女で盛り上げて、お次はへそ天エリザベスカラー! よっしゃあ! この曲大好きなんだよ! 年末には聴けなかったから大喜びしてしまった。今日のライブは新人・シーズン2の聴きたかった曲が多めに感じて興奮した。かなり好みの曲目である。たまらん!
へそ天が終わって最初のMC。これがすごかった。冴え渡っていて尚且つ神がかっていた。しかも長い! まだ二曲しかやってないとは思えないくらいだった。
話のネタはTwitterだ。いやー、オーケンがTwitterを気にしていることはエッセイなどでわかっていたことだが、そのくせ全くTwitterというものを理解も把握もしてない事実が判明して大笑いをした。
最初になんだっけ。「ライブに集中しろよ! Twitterなんかするなよ!」という内容のことをお客に言って、「でもおいちゃんはいいよ」というように繋げて笑いをとり、それに対しておいちゃんが「冒険から帰ってきました!」と高らかに帰還報告をして、おいちゃん前のお客がワーッと盛り上がる。でもオーケンはおいちゃんが何を言っているのかわからない。
「冒険」と言うのは橘高さんの説明によると、おいちゃんがレコーディングの状況をTwitterでつぶやいて報告していたのだけど、専門用語を使ってつぶやいても意味がわからないので、RPGゲーム風に例えてつぶやいていた、ところが「冒険」になぞらえた結果かえって意味がわからなくなった、ってことだ。おいちゃんが横でTwitterを使うのを橘高さんは何度も見たらしい。この橘高さんの補足説明は他の場面でのMCだったかな。
話は戻って、全く意味がわからないオーケンは「そうやってネットやってる人しかわからない話をして!」と拗ねて、「じゃあおいちゃんから次の曲をつぶやいてもらうよ!」と言い、黒いティッシュ箱を取り出してそれをiPadに見立ててTwitterの真似事を始めたのだ。これがもうすっげぇ面白かった。
オーケンはTwitterをメールの仲間のようなものだと思っているらしい。オーケンに乗っておいちゃんがTwitterでつぶやく真似をすると、オーケンはiPadという名のティッシュ箱を片手に「今おいちゃんのつぶやきが届いたよ」「フォロワーするよ」と名言を炸裂させ、客とメンバーを大受けさせた。
しかし笑われたところでオーケンは何がおかしいのかわからない。しょうがなく内田さんがTwitterはそういうものじゃないと教える場面もあった。こんなコントのようなやりとりを続け、やっとおいちゃんからオーケンのiPadに届いた曲名を読み上げて曲に入る。ソウルコックリさんだ! 初期曲ライブでやって気に入ったのかな?
ソウルコックリさんは語りは無し。語りの部分でメンバー紹介をするも、メンバー紹介する間奏を間違えてちょっとぐだぐだになった。歌詞も「テレビもねぇ!」ばかりになってたな。わはは。
ソウルコックリさんの後はハッピーアイスクリーム!! やったー! ハッピーアイスクリームをライブで聴くのは初めてだ! 嬉しい! 楽しい! うわー! これは掛け合いが盛り上がっていいなー! 前の方にいたからわからなかったけど、少女の声は録音したものを流していたのだろうか。それとも客のレスポンスだけかな。見える範囲ではバッチリ掛け合いが決まっているように感じた。
亡霊ゾーン最後はロシアンルーレット・マイライフ! 今回は位置のおかげでエディもバッチリ見ることができた。これも掛け合いが最高に楽しい。脳内麻薬がバンバン出る。うわー!!
ロシアンの後がMCってのはお決まりのパターンだ。疲れる曲だしな、これ。おかげでセットリストを記憶しやすい。オーケン曰く、ロシアンは新しい曲だけどもう立派なキラーチューンになったとのこと。本当にそうだと心から思うよ!
このMC中にプロペラ犬の楠野さんと水野さんが登場。楠野さんはロシアンのときにこっそり入ってきていたらしいが自分の位置からは見えなかった。せっかく出てきたのにオーケンが面白がってなかなか楠野さんを紹介しないため、困る楠野さんが面白い。
楠野さんの紹介を済ませた後、オーケンが「水野さんは来ないの?」と楠野さんに尋ねる。「水野さん忙しいからなぁ…」と最初に無理そうな顔をして、「来てるかも」と答えたとき、客席から「うそっ!!」と思いのほか大きな声での反応があり、あまりの反応にびっくりしたのか珍しくオーケンが客の声を拾っていた。
あと一回客の声を拾った場面があったな。何かの流れでオーケンが拗ねて見せたとき、橘高さんが「拗ねるなよ!」と突っ込みを入れると、客席から「かわいー!」と声がとんだ。するとオーケン「かわいいでしょ?」と反応し、すかさず橘高さんが「かわいくないっ!!」と全否定。これも笑えた。
「でもねぇ、四十過ぎたら男は可愛さを武器にするしかないんだよ。あとは財力」「筋少は……可愛さしか武器にできないから」とオーケン。そっからかな。何度か「かわいー!」「かわいー!」と叫ばれていた。男からも女からも。かわいいおっさん達である。
プロペラ犬のお二人が揃ったところでアウェーインザライフの紹介と、新曲アウェー・イン・ザ・ライフの披露。曲に入る前にオーケンから解説があり、「これは橘高君の何十周年記念だかのアルバムの曲で、舞台用に使うと良さそうな風だったから、詞をつけてくれた水戸さんに許可をとって新しく詞をつけた」のだそうだ。二十周年くらい覚えておいてあげてくれと頭の中で突っ込んだのは言うまでもない。
というわけで新曲「アウェー・イン・ザ・ライフ」はまさかの「DESTINYをぶん殴れ」の別歌詞バージョン。正直拍子抜けしたのは否定できない。だが考え方を変えれば、筋少凍結中に橘高さんから歌詞を依頼されるもそれを断ったという経緯があって、ついにこのたびオーケンが詞をつけることになり、尚且つ舞台と同名タイトルになったってのは、感動的な仲直りを意味するのではなかろうかと今これを打ちながら無理があるなと思っている。すまんかった。
でもこの曲を筋少の演奏で聴けるのは嬉しいなぁ。だけど「DESTINYをぶん殴れ」は気に入って聴きこんだだけに脳内再生される歌詞につられてノリづらいなぁ。体が「あれ? あれ?」ってなって面白かった。アルバムだとどんな感じだろう。
仲直りのテーマの後に踊るダメ人間が来たのは驚いた。こんなに早くやるのか! うわぁ! 疲れる! 疲れる! 窮屈すぎてバッテンできねー! とダメジャンプならぬ片手だけのスラッシュジャンプで乗り切り、MCを挟んで後一休みでアコースティックゾーンへ。
オーケンが「久しぶりにやります。久しぶりだよね?」と確認をとると、「そう?」と答えた橘高さん。だがオーケン的には久しぶりの曲らしい。何の曲だろうと思いつつ演奏が始まるのを待つと「生きてあげようかな」だった。あまり久しぶりという感じはしないが、この曲を聴いているとき、オーケン歌うまくなったなぁ、とやけにしみじみ思った。
はけていた内田さんも出てきて新曲二曲目「爆殺少女人形舞一号」へ。これに入る前、既に曲名が漏れて流れちゃったんだけど、まだ仮のものなのでタイトルも順番も変わる可能性があるとの説明が入った。ほうほう、それじゃあアルバム発売後どんな違いがあるか見比べる楽しみ方もできるってことだな。
オーケンによる「デスバラードです」との解説の後「爆殺少女人形舞一号」は始まった。これがもう滅茶苦茶格好良かった! すごい! アコースティックっぽいかな? と思わせる始まりの直後ハードになって、途中でワルツっぽくなって、ああ、でも音楽に詳しくないからワルツでいいのかよくわからん! 記憶も既に定かじゃないしな! なんつーかなぁ、曲の雰囲気がコロコロ変わって、五分以上くらいありそうな長めの曲だった。これはすごいぞ!
演奏終了後、大喜びした拍手が客席から鳴り響いて、これが大歓迎! って感じさせる長い拍手だった。オーケンも嬉しそうにしてたなぁ。あぁ、アルバム発売まであと三ヶ月も待たなきゃいけないなんて、待ち遠しい。待ち遠しいことこの上ない。明日も聴かせてもらいたいなぁ。歌詞の中に「油紙」って単語があって、その言葉を好きだな、と思った。
MCでオーケンが人間ドッグに行ったら肺年齢が七十五歳と診断され、医者もいくらなんでもこれはおかしいと思い、ちゃんとしたデータを後で送ってもらうことになったものの、やっぱり結果は七十五歳。体は四十四歳、肺は七十五歳のシャウトを聞きたいか! と煽って怒涛の後半戦一曲目はイワンのばか。こっからアンコールまで休みなしで、楽しくもきつかった。ドナドナを聴けて嬉しいと思いつつも息苦しくてわけわからなくなっていた。横の人に肘で顔をガンガン殴られ、目の前の人の髪の毛が口にあたって息ができなくて、いやーよく生きてられたな。頑張った。
トゥルーロマンスで少し落ち着き、アンコールへ。一曲目は新曲「捨て曲のマリア」。オーケン曰く、捨て曲で適当に作った曲に昔の彼女のことを歌ったら、それが大ヒットしてしまい、今の彼女にまで歌ってとせがまれて悲しい、という内容の大人の恋の歌だそうだ。しっとり系かと思いきや盛り上がるところは盛り上がる、これもアルバムで聴くのが楽しみだ。
「君よ!俺で変われ」の後は「未使用引換券」! ライブであまり聴いたことがないので喜んでしまった。演奏後、オーケンが「意外といいね、たまにやろうよ」みたいなことを言い、内田さんも「たまにやろう」と答えていた。たまにってところが面白い。こうして久しぶりにやって再評価して、ライブでやる曲が増えてくれると嬉しいね。
「サンフランシスコ」は流石定番。もうこれ以上にないほど盛り上がって死ぬかと思った。死ぬ気で! 死ぬ気でジャンプをした! サンフランシスコや釈迦が始まる度に思うのだが、古い曲には年月と共に刻まれた魔力がこもっているようだ。曲自体がパワーを持ってるというかな。まるで化け物のようである。
最後の最後は「心の折れたエンジェル」! 締めのところで再結成後の曲をやるところに、昔の曲ばかりに頼らない、新しい曲も鍛えていこうという気概を感じて個人的には好きだ。いや、筋少側がどう思ってるかは知らないが。エンジェルコールは楽しいなぁ。
心の折れたエンジェル終了後、スピーカーから流された追い出し曲は「アウェー・イン・ザ・ライフ」。やっぱアルバム版はライブ版とは聴こえ方が違うな。ますますアルバムを手に取るのが待ち遠しくなってしまうよ。
他。今回は確かメンバー紹介はソウルコックリさんのときだけだった。このとき「ギター! 橘高文彦!」「ベース! 内田雄一郎!」「ギター、ツイッター! 本城聡章!」と紹介していて面白かった。Twitterが気になって仕方がないのに手を出す気は全くないってのが良いね。是非オーケンはこのままでいてほしい。普通にTwitterを始めるよりこっちの方が面白いと思う。その後エディを紹介するとき、一度キーボードと言った後に続けてピアニストと言ったのは、間違えてしまったので慌てて言い直したって感じだったな。
Twitterでの流れでだったかな。「テクノだ!」「YMOみたいだ!」とオーケンが言い出し、筋少もアバターみたいにならないの? 立体になって飛び出さないの? というようなことを続け、「俺は必要ないんだけどね、俺は必要ないんだけどね、こんなのがあると便利なんじゃないかと思うんだ」としつこく前置きをしたうえで、歌手の目の前に客席からは見えないスクリーンが出て、そこに歌詞が表示されると良い、俺は必要ないけど! と言っていた。「歌詞は全てこのターバンの中に、あっ、もうターバンじゃなかった!」と「ターバンじゃない」ことも何度かネタにしていたな。
新譜についてメンバーがしきりと「やばい!」「やばい!」と言っていて、橘高さん曰く、十四枚出してこれを作るってのがすごい、とのことだ。まるで新人バンドが作るようなすごいものを作ったらしい。「思春期にこれを聴いたら絶対に影響を受けて、同じ歳くらいのときに似たようなことをしようとするよ!」とオーケンが楽しそうに語っていた。こんなにメンバーが自信を持ってやばいやばいと連呼するなんていったいどんな内容なのだろう。早く聴きたいなぁ。
あと、オーケンがハチマキに黒い上着にドサッとしたズボンという自身のいでたちを「応援団みたいだ」と評し、変な声で「フレーッ! フレーッ!」と叫んだ後、着替えてくるから繋げといて、と内田さんに丸投げして珍しくオーケン一人がステージからいなくなった。
内田さんはちょっと喋った後、エディに振り、橘高さんだったかな。「○○での話をしてあげなよ!」とエディにすすめ、エディがトークをしてくれた。どこかの駅で新幹線に乗るとき、怖い人のお出迎えだかお見送りがあって、そのときエディは開いた襟のシャツを着て怖い格好をしていたのだが、どこかと連絡を取り合っている怖い人の一人はエディを見て「カタギです」と報告をしたのだそうだ。その筋の人からは「違う」のだとわかるらしい。エディは「四歳からピアノを習ってるお坊ちゃんですから!」と言って笑いをとっていた。
終演後は大満足で外に出て、ドリンクチケットで引き換えたビールを一気に飲み干し、ライブの余韻で浮かれたまま歩いていたら駅のエスカレーターで派手にすっ転び、膝を強打。激烈に痛い。しかも家に帰ってズボンを脱いだら血が出てて笑った。明日のライブも楽しみだ。