未分類扇愛奈とFoo-Shah-Zoo, 水戸華之介&3-10Chain, 筋少拡散波動砲2013, 筋肉少女帯, 非日常


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水戸さんが日本を印度にしてくれたよ!!

何のこっちゃらと言う感じだろうが、とりあえず興奮していることだけは伝わっただろうか。筋肉少女帯拡散波動砲であり、プレうっちー祭りであり、CLUB Que 夏ノ陣であり、水戸華之介&3-10Chainのライブであり、扇愛奈とFoo-Shah-Zooの初ライブでもある色々と要素の多いライブに行って来た。

筋肉少女帯拡散波動砲は、簡単に言うと筋少のメンバーがそれぞれ行っている別のバンドが共演するイベントである。そして今回は内田さん繋がりで二つのバンドが共演することになり、何とオーケン以外の筋少メンバーが全員揃うという、むしろ何でオーケンがいないんだ、と思わず突っ込みたくなる顔ぶれだ。どうせなら飛び入り参加をしてくれたりするようなサプライズが無いかな、と若干期待していたのも本音である。

だが、ライブが終わってみればオーケンがいないのはかえって良かったと心底思う自分がいた。と言うとまるでオーケンを邪険にしているかのようだがそれは誤解である。オーケンがいないことで、オーケンがいないが故に見られる面白いものを目撃することが出来たからだ。

まさか扇愛奈が「妄想の男」を、水戸さんが「日本印度化計画」を歌い、アンコールで内田さんを中心に「俺の罪」を合唱するなんてことが起こるなど誰が予想出来ただろう! トリビュートでもしてもらわない限りなかなか耳にする機会が無く、そのトリビュートの実現が不可能に近い中ではそれこそほとんど聴ける機会の無い「オーケン以外が歌う筋肉少女帯の曲」が聴けたのである。

もし今回のライブにオーケンがゲスト参加していたらこれは見られなかっただろう。恐らく、デュエットという形になっていたはずである。それはそれで楽しいが、オーケン以外の、特に水戸さんが歌う筋少の曲というものを、一度聴きたいと自分は特に思っていたのだ。

「ハーイここまで」「Spin Spin」「D.K.H」「トーカラジ」「命の重さ」と3-10chainの曲を中心にやり、橘高さんを迎えた後は「誰だ」「蝿の王様」と橘高さんと関わりのあるアンジー曲で盛り上がる。そしてMCに入り、「次は一兆とある俺の曲の中から、上位にランクインする曲をやる!」といったことを言って煽る水戸さん。何だ? 何が来るんだろう。アンジーか? と思って身構えると力いっぱい叫ぶ水戸さん!

「日本を印度に!!!!」

びっくりした。その前に扇さんが「妄想の男」をやっていたが、まさか水戸さんまで筋少の曲をやるとは思わなかったのだ。水戸さんのコールに力強く「しーてしまえー!!」と叫ぶオーディエンスがいる中、困惑した人々も少なくないようでどよめきも起こっていた。自分はその中間だ。条件反射で「しーて」まで叫んだものの、「しま……えぇぇええ~?」と拳を中途半端に振り上げて固まってしまった。

どよめきが起こる中水戸さんは首を傾げる。「あれ? おかしいな~俺の曲の中では八位あたりにあるんだけどな~」あくまでも「俺の曲」という体で話を進めるのが面白い。そして仕切り直してもう一度コールアンドレスポンス! 橘高さんがギターで御馴染みの音を奏でると、ドッと人々が前に押し寄せ、ちょっとした興奮状態が起こった。

素晴らしかった。こんなに歌詞が正確な「日本印度化計画」は初めて聴いたかもしれない。この日のために水戸さんはちゃんと覚えてくれたのだなぁと思うと感謝の気持ちで一杯になる。間奏で学園天国のヘイヘイコールを入れてくれたのも感激だ。もうこれも含めて日本印度化計画ということなのだろうなぁ。

さらに印度のお約束として欠かせない、橘高さんによるピックのばら撒きもあった。一枚を空中で掴み取ることに成功。何で水戸さんは印度をチョイスしたのだろうという疑問もあったが、単純にこのように盛り上がって楽しいからかもしれない。水戸さんも楽しそうに歌っているように見えた。

MCではプレうっちー祭りということもあり、内田さんに話題が振られることが多かった。「わかりにくいけどこう見えてうっちーはいっぱいいっぱいになってる」「楽屋にいて何かおかしいな変だなと思ったらうっちーがいなかった。うっちーは(扇さんの方のライブで)弾いてた。普段いるのが普通だからいなくなってもなかなか気付かない」などなど。面白かったのが「うっちーは平和の象徴。うっちーが倒れたら日本は終わる」と水戸さんが言ったとき「あ、そう」と内田さんがあっさり流したこと。照れていたのかもしれない。

今日の内田さんは大活躍だった。二つのバンドが出る前に一人でステージに現れて前説を披露。「筋少拡散波動砲」の趣旨を説明し、とりあえずおめでたいものだと適当に締めて、「おめでと~ございま~す」とオーディエンスにコールさせて盛り上げる。一人でこんなに喋る内田さんを見る機会もそういえばあまり無いなぁ、としみじみ思った。

そして最初に登場したのが扇愛奈とFoo-Shah-Zoo。上手においちゃん、センターに扇さん、下手に内田さん、後方に河塚さんという陣営だ。扇さんは茶髪のショートで、胸元の開いたチャイナっぽい衣装。そういえばゲスト以外で女性のボーカルをライブで聴くのはこれが初めてなんだな、と気付いた。

扇さんはパワフルだった。咽喉がぶっ壊れるんじゃないかというシャウトに見開いた目玉、乱れまくる髪。レピッシュのステッカーが貼られたギターを弾きながら歌い、ときにはギターを外してキーボードを弾くことも。聴き慣れないせいか、歌詞をほとんど聴き取ることが出来ず、何を歌っているのかわからなかったのが残念だった。

おいちゃんは髪の毛をストレートにしていた。なるほど、つまり普段はストレートで、筋少のライブのときは巻いているのか。普段からくるんくるんしているものとばかり思っていた。

珍しいものと言えばおいちゃんのギターソロ。おいちゃんは他の筋少メンバーと違い、ソロや別バンドでの活動がこれまでほとんど無かったため、自分は「筋少のおいちゃん」しか知らなかった。今聴こえているこの音がおいちゃんのギターの音なのだなぁ、と思うと不思議な感じがした。

MCでは、扇愛奈とFoo-Shah-Zooはメンバーのあだ名を何にするかということがバンド内で熱く議論されている、という話が出た。このとき扇さん、おいちゃん、河塚さんは結構ノリノリで話していたのだが、内田さんはかなりどうでも良さそうにしており、その温度差が面白かった。

ところで扇さんのあだ名案の一つがアーティストイメージに関わるという話になったとき、言っていいの」「大丈夫?」「マネージャーに怒られる」「ここだけだからね」とやたら慎重になっているメンバーを見て、卑猥系のものが候補に挙がったのかと思った自分は結構心が汚れたなと感じた。実際はラブリー系のものだった。

後半のMCでは扇さんが「実は私は妄想が大好きで、人生の八十パーセントは妄想をしている」と謎のカミングアウトをし、これはいったい何のトークだろうと思ったらよもやまさかの「妄想の男」! ここで聴けるとは思わなかった!

というのも、オーケンの歌詞集「花火」で、「妄想の男」について「歌詞が好きではない」とオーケンが書いていたので、ライブでやることは無いだろうと思っていただけに。その文を読んだとき「嫌いなのか」とがっかりしたことを覚えているだけに。さらに、コアな選択だなぁ! と嬉しくなってしまった。

扇さんの妄想の男は基本を踏襲しつつも、ボーカルが女性の声に変わることで印象がガラリと変わって面白かった。また、歌いながら髪をかき混ぜる仕草が気が違ってしまっている人のようで迫力もあり、録音されていないのがもったいないと思うほどだった。

そうだ。扇さんと並んでいる内田さんを見たとき、あれ、内田さん小さくないな、と思ったのだ。普段背の高いオーケンや水戸さんと並ぶ内田さんを見慣れているだけに、内田さんは小さくて細い印象があるのだが、意外とそうでもないのだな、と思わされたが、水戸さんと並んだらやっぱり小さかった。

扇さんの後に登場した水戸さんはでかかった。動きもでかかった。扇さんはほとんど位置を移動せず、キーボードを弾くときやおいちゃんと並んでギターを弾くときは動いていたが、基本はスタンドマイクの前が定位置。対して水戸さんは動く動く。澄田さんと内田さんの間の狭い空間をあっちこっち行き来して、天井に掴まり、ジャンプし、踊りと空間全てを使い倒そうとしているようだった。

そういえば水戸さんにとって今年は記念の年だそうで、その話が出たときてっきりデビュー二十五周年の話をするのかと思いきや、九十何年だか、エレカマニアを止めて別の活動を始めようとした頃に買ったアイライナーをついに使い切った記念の年だ、と言っていた。聞くと、丸い缶か何かにアイライナーは入っているようで、それを指ですくって使うのだが、底が見えてもなかなか減らず、一生使い切ることが無いんじゃないか、寝ている間に小人さんが足しているんじゃないか、と思うほど減らなかったそうだ。毎日使うものではないとは言え、あんなにがっつり目の周りに塗るのにそこまで減らないとは。これはもっとライブをやりなさいと神様が言っているのではないだろうか。

そして自分はあの目の周りのメイクがアイライナーによって色づけされていることに驚いた。何て太いラインなんだ。アイシャドウじゃないのか。

メイクの話と言えば橘高さんだ。橘高さんは「橘高文彦」に変身するのに、三時間ほど「お祈り」をしなければならないそうで、水戸さんが「KISSだって○時間でしょ」「すごい」と感嘆していた。また、橘高さんの「設定」をよく知らない水戸さんが「メイクにかかる時間」と言うのを、橘高さんが否定し、「三時間ずーっとお祈りしなければならないの」と、あくまで「メイク」ではなく「変身」と言い張り、「そういう設定があるんだ」「デーモンに近い感じなんだね」「わかった、鱗粉なんだ」と笑っているのがまた異文化交流といった感じで面白い。ちなみに今日は橘高さん、変身のために二時間ちょっと祈り続けたそうだ。

アンコールではまず3-10chainだけが登場し、メンバー全員で「ファンタジック」を合唱。この曲を聴くと元気が出るので嬉しい。そしてその後は本日の出演者が勢ぞろいし、センターに立った内田さんが「ベースなんか弾いてられるかー!」とノリノリになってマイクを握り、さらに「誰かベース弾いてくれる人………橘高君がいるじゃないか!」と手ぶらの橘高さんにベースを弾くことを強要。河塚さんはドンキホーテで売っているようなでっかいラメ入りの蝶ネクタイをつけて手ぶら。何だかよくわからない空気のまま内田さん主導で「俺の罪」を合唱。すげー楽しかった。すげー楽しいが改めて、何でこんな変な歌詞を皆で歌っているんだと思わずにはいられなかった。

途中で内田さんが橘高さんからベースを受け取り、歌いながら弾き出して、手ぶらになった橘高さんが何故かマラカスを振り出すカオス。今日の貴公子は見所が多くて大変だ。そんな橘高さんの横でにこにこしながらギターを弾くおいちゃんは通常運転なのがまたおかしい。

最後は内田さんのコールで一人ずつ退場。まずはボーカルの扇さん、水戸さん。次に河塚さんに橘高さん。そして演奏している楽器隊が一人ずつステージを去り、ドラムの元尚さんがいなくなるとベースの音だけがベンベンベンとステージで響く。水戸さんのライブで、一人ずつ楽器隊が入っていってだんだん音が増えていく演出はあるが、その逆もまた面白いなぁ。

ベースを弾きながら内田さんは最後の挨拶を終えステージを去っていった。いつもの筋少や水戸さんのライブでは見られない珍しいものが詰まった楽しいライブだった。筋少拡散波動砲、単純に筋少メンバーの出るバンドを一度に見られるライブかと思いきや、コラボレーションの妙も味わえ、これはなかなか想像以上に面白い。良いなぁこれ。次のイベントも楽しみだ。