未分類0杯, のほほん学校, 大槻ケンヂ, 非日常

大好きな人の誕生日を、同じ空間でお祝いできる幸せを噛み締めた夜である。

今日のオーケンは終始ふにゃふにゃほわほわしていて、仲の良いゲストに囲まれとても楽しそうにトークをしていた。オープニングでは「接吻」「君は薔薇より美しい」をカラオケでニコニコ歌い、エンディングではゲストの増子さんとノブさんと三人で「銃爪」を熱唱、最後はカホンを叩くノブさんとアコースティックギターを抱えるオーケンの二人で「オンリー・ユー」が演奏された。

オーケン曰く、ご機嫌なときでないと歌えない「接吻」「君は薔薇より美しい」を、それはもう楽しそうに歌いきる様子を楽屋で観ていた怒髪天の増子さんが苦笑いをしながらステージに呼ばれるおかしさよ。増子さんからは誕生日プレゼントとして仏具を連想させる素敵な湯呑みと吸水性の良いタオルが、その後に呼ばれた人間椅子のノブさんからは健康を気遣ってフルーティーなお酢の三本セットと入浴剤の大容量セット、そしてマンホールカードにロープウェイカードが贈られた。湯呑みを見て「親父の仏壇にこういうのがあった……」と何とも言えない顔をするオーケンがおかしかった。一番嬉しそうだったのはお酢だったなぁ。マンホールカードとロープウェイカードにも形容しがたい表情をしていた。

今日のトークはとにかく、増子さんがすごかった。回転の速いこと速いこと。ROOTS66の集まりでも増子さんの周りに人が集まってきて、何か面白い話を聞かせてほしいと期待の面持ちで見つめられ、要望に応えてトークをした結果本番前に咽喉が疲れてしまう、というエピソードが披露された直後になるほどこういうことか、とすぐさま納得させられた。オーケンが投げたものにいち早く返し、ツッコミを入れ、話をどんどん展開させていくのである。故に、オーケンと増子さんに挟まれて座るノブさんが「俺が一番得してる!」と高速でラリーが交わされる爆笑トークの渦中で目を輝かせていた。

あまりにも展開が早いので「あぁ、その話もっと詳しく聞きたかった!」と惜しい気持ちになるシーンもあった。例えば仮面ライダーとか、仮面ライダーとか! ちなみに増子さんは友人の子供にオーケンの演じる最上魁星を指して「この人友達なんだよ」と話したら株が上がったそうで、ありがとうとオーケンにお礼を言っていた。

トークは仮想通貨を作る話にエンケンさんの追悼ライブ、ROOTS66の中でオーケンが先輩扱いされる話、未だに学年が重視される話、水際では無敵な吉川晃司や、ダムカードやマンホールカード、カレーの話などなど。これらがすごい勢いで転がり、展開していく迫力のすごさったら。いつも楽しいのほほん学校だが、ここまで終始大笑いし続けたのは初めてかもしれない。

オーケンは完全にリラックスしきっていて、増子さんの鋭いツッコミにたじたじとなりながら、眠い目をこするような仕草で「弱ったなぁ」と言いたげにトホホな表情を見せていた。かと思えば長引くトークをきっちり仕切り、次のコーナーへ移る場面も。イベントは全体で二時間半で、それはもう、最高に楽しい時間だった。

ちなみに今日この日にオーケンが一番食いついた場面は、オーケンがお風呂で愛読している古武術の雑誌「月刊秘伝」を、怒髪天のメンバーも読んでいると増子さんが話した瞬間である。あのとき、本当に文字通り身を乗り出していた。……仲間を求めているのだなぁ。

印象的だったのは最後の「オンリー・ユー」で、「人間っていったい何だろう」の部分を今のオーケンになぞらえて変えていたこと。じーんとするとても良い歌詞だったのに、記憶できなかったのが悔やまれる。

それにしても思うのは、この猫背でやわらかく椅子に座り、足を揃えてほにゃほにゃふわふわしている人と、ドラムセットを背にステージでマイクを握り、眉を吊り上げてシャウトする人が同一人物であることの不思議さである。仮面ライダーの映画で「バイカイザーとなるのだー!!」と悪い顔をして叫んでいた人と同一人物であることの不思議さである。そうなんだよなぁ、同じ人でなんだよなぁ。今日はまたとびきり、滑舌がゆるゆるしていたなぁ。

筋肉少女帯のオーケンも、のほほん学校のオーケンも、アコースティックギターを抱えるオーケンも、原稿用紙に想いや物語を描くオーケンも、「オレにカレーを食わせろ!」とシャウトしているにも関わらずカレーが胃に重くなってしまったオーケンも、細かな文字を読むためにぐっとマンホールカードを目から遠ざけるオーケンも、どのオーケンも大好きだ。その姿を活躍をいつまでも眺め、応援したい。

五十二歳のお誕生日、おめでとうございます。これからもずっと健康で、良いことばかりが起きますように。



日記録0杯, 日常

2018年2月3日(土) 緑茶カウント:0杯

最高に楽しい一日だった。

大学の友人と三人で仮面ライダーの映画を観に行った。一人は仮面ライダーのファンで、もう一人はかつて仮面ライダーを観ていた人。そして自分は根っからのオーケンファン、そんな三人で連れ立って映画館に足を運んだ。

この映画を観るのは七回目だが、何度観ても楽しい。初回は物語を追うので精一杯だったが、雑誌を読み、回を重ね、現在放送中の本編を観ることでだんだんと仮面ライダーの世界への理解が深まり、観るたびに新たな発見があり、また筋を覚えたことで細かい描写を楽しむ余裕もできた。

映画が終わった後は三人で焼肉屋に行き、肉を焼き肉を貪りながら映画の話をする。思えば、映画館に行った後に感想を語り合うなんて何年ぶりだろう。家族でジブリの映画を観に行った子供のときこそあったが、大人になってからはまず映画を観に行く機会がほとんど無く、たまに出かけても一人で行って帰るのが常だったため、非常に新鮮に感じた。

仮面ライダーについて質問をすれば友人が答えてくれ、友人もオーケンの演技への感想を述べてくれ、とても楽しかった。「黒い最上とファンキーな最上は最初別人が演じていると思ったよ、良い悪役だった」「万物創世記のときから大槻ケンヂは全然変わってない、五十代に見えない」「せっかくなら大槻ケンヂに主題歌を作ってもらえば良かったのに」と言ってもらえた嬉しさったら。話は弾み、肉も美味しく、ビールも進んで幸せだった。

生きているとたまにこんなご褒美のような日があるからたまらない。今も楽しさの余韻に浸っている。あぁ、非常に幸せだ。



日記録0杯, 日常

2018年2月2日(金) 緑茶カウント:0杯

きっとその店の主はとても正直で、とても丁寧で、とても真っ直ぐなのだろう。しかし当初は興味を持っていたにも関わらず、一度も暖簾をくぐったことのないその店に行こうという気を己は一切失くしてしまったのである。

半年ほど前にできたその店はとある地方の特産物を扱った居酒屋で、昼はランチも営業している。店頭は細かなメニュー表に看板、貼り紙でデコレーションされていて、よしいつか入ってみるかな、と興味をそそられる内容だった。

ところがある日通りかかると店の扉に貼り紙があった。「今日は研修のために休みます」と書かれている。なるほど研修があるのか、と納得して先へと進んだ。そのときは特にこれといった印象は抱かなかった。

そして別の日に通りかかったときにも貼り紙があった。「会合があるためランチを休みます」。別の日にも貼り紙があった。「大事な仕入れがあるため夜の営業を休みます」。また別の日にも貼り紙があった。「料理の勉強のため休みます」。これまた別の日にも貼り紙があった。「地元仲間とのパーティーがあるので休みます」。

毎回毎回、きっちり休みの理由を書いて大きな文字で店の扉に貼ってあるのだ。

思い返してみるとその頻度は高すぎることもなかったかもしれない。他の店と同じ程度に休んでいたかもしれない。だが、毎回多種多様かつ印象に残りやすい休業の理由が書かれるために、この店といえば休業、というイメージがついてしまったのだ。

きっと「臨時休業」という看板だけ出されていたらここまで印象に残らなかっただろう。しかし貼り紙の威力たるや。「どうせ今日も休みだろう」と外食の選択肢からすっかり外してしまうようになって、一度も暖簾をくぐってもいないのに足が遠のいてしまった。

人入りの少ない様子を眺めると同じように思う人も多いのかもしれない。いつか伝えるべきだろうか。迷いながら通り過ぎている。



未分類0杯, 三柴理, 初参戦, 非日常

毎年、水戸さんの100曲ライブを観るために訪れるライブハウス「七面鳥」。さて、今日この日は高橋竜×三柴理デュオ・ライブが行われる予定だったが……なんと、高橋竜さんがインフルエンザにかかってしまった。よって急遽演目が変更。エディのソロ・ライブになった。

事情を踏まえ予約のキャンセルを受け付ける旨が七面鳥のサイトにも掲載されたが、どうやらキャンセルをした人はほとんどいなかったようだ。開場の三十分前に現地に着くと既に行列が出来ていて、中に入れば満員につき前に詰めてくださいとのアナウンス。こじんまりとした室内にぎっしり椅子が並べられ、左右に気を配りながら外套を脱ぐには苦労した。

畳んだ外套を膝の上に乗せ、ドリンクチケット代わりの貝殻とビールを引き換え、カイロを揉んで開演を待つ。このカイロは「三柴さんからです」と行列に並ぶ一人ひとりにスタッフの方から渡されたものだ。凍えながら耐えいていた身にとって、この優しさはどれだけ心に染みたことだろう! エディの心遣いに感動した。

カイロだけでなく、チラシも一人ひとりに配られた。開くと高橋竜さんからの丁寧なお詫びのメッセージと本日の演奏曲目が書かれていて、高橋竜さんの真摯さと無念さがそれはもうひしひしと伝わってきた。ちなみにこのチラシは高橋さんのメッセージをもとにエディが自宅で作成したそうで、インクを乾かすために紙を広げる必要が生じた結果、家中がチラシだらけになったそうだ。

高橋さんのインフルエンザの件は残念ではあったものの、ライブ自体はとても楽しかった。こじんまりとしたライブハウスの小さなステージにはアップライトのピアノ。普段、コンサートをするときにはピアノにマイクを立てるが、今日は小さな会場であることと、良い音が鳴るピアノなので、ということでマイクは無し。さながらエディの家にお呼ばれしたような、そんな近距離の空間を楽しむことができた。

これがだね、実にすごかったんだ。

ピアノの音だけでなく、指がピアノに触れ、叩く音、靴音、息遣い、振動までが聴こえるのだ。鍵盤を跳ねる指先は優雅で丸く、手首から先が別の生き物のように見えた。思えばいつも、筋肉少女帯のライブで観るエディはステージの奥にいて、こんなにも近くで観たことなど一度もなく、その迫力に圧倒された。

中でも圧巻は「孤島の鬼」と「ヤンガリー」。「孤島の鬼」は「Pianism of King-Show」に収録されているが、「Pianism of King-Show」を発売したときにどうしてか発売記念ライブをやらなかったため、ピアノだけで演奏するのは今日が初とのこと。あの囁くような音と、踏みしめるような力強い音が同じピアノから、そして同じ指先から奏でられるのは何とも不思議な情景に見えた。貴重な現場に出くわしたものだ……。

「ヤンガリー」は本日ラストの曲で、エディより「好きに叫んでね!」と言われたので「ヤンガリー! ヤンガリー!」と叫ぶ気まんまんでいたのだが……叫べなかった。無理だった。目の前で身を削るように奏でられる怒涛のピアノに掛け声を差し挟む勇気を持つ者はどうやら一人もいなかったらしい。ただ息を呑んでピアノに叩かれる指を凝視するより他になかった。

演奏だけでなくトークも盛りだくさんで、こんなにエディの話を聴いたのはきっと今日が初めてだろう。開演すぐ、エディは高橋竜さんがインフルエンザで来られなくなったことを詫びつつ、彼がいかに体調管理に気を遣っていたかを熱く語って聞かせてくれた。そして今日、高橋竜さんが来られないことでお客さんがどんどん減ってしまうに違いない……とエディは思っていたそうで、満員御礼の会場を喜び、「応援してくれてありがとう!」と何度も何度もお礼を言っていた。

曲に入る前には作られた当時の思い出話やエピソードが語られ、合間合間に筋肉少女帯のメンバーやライブの話も挟まれた。聴いていてわかったことは、エディは筋肉少女帯で弾くのが楽しくて、メンバーをとてもリスペクトしているということ。特に長谷川さんや橘高さんのすごさを語る口調の愛に溢れる様子と言ったら! 思わず笑みがこぼれ、ニコニコしてしまった。

真面目で、優しくて、愛に溢れていて、チャーミングな人。それがエディだ。集まった人達を楽しませようと一所懸命喋り、笑わせ、高橋竜さんのことをしきりに残念がりつつ、体調管理を怠っていたわけではないことを強く訴える優しい人。そして、寒空の中ライブハウスの前に並ぶ人々のことまで気にかけてくれる人。カイロは帰り道でもまだ熱を持っていて、まるでエディの優しさを分けてもらったような気分になった。温かな指先がとても嬉しかった。


グリエール「プレリュード」

三柴理「小組曲」
~ペンギン
~大山椒魚
~チンパンジー
~河馬
~鼠

THE 金鶴「Offside」
「Romarin」

三柴理「DOG RAG」
「是政行進曲」

三柴理「AKEBONO Ballad」
「AKEBONO」

筋肉少女帯「孤島の鬼」

~アンコール~
森の妖精(アフロディーテ)
特撮「ヤンガリー」


未分類0杯, 筋肉少女帯, 非日常

「チケットが優先的にとれる制度」という立ち位置から始まった「ハイストレンジネス・チケットメンバーズ」。三月には発足記念イベントが開催され、いつからか特別デザインのチケットの発行が当たり前のものとなり、ついに会員限定ライブが決定。たった一年の間に、だんだんと「チケットが優先的にとれる制度」から「ファンクラブ的なもの」に変化しつつあり、ファンクラブを欲していたファンとしては嬉しくてたまらない。

この変化については橘高さんより語られた。曰く、筋肉少女帯を再始動する際にファンクラブをどうするか、という問題があった。そして当時至った結論は、橘高さん以外は四十を越えていることだし、いったん保留にして時機を見て考えましょうというもの。そして年月を経てファンからもファンクラブを望む声が届けられるようになったので、ではまずチケットをとりやすくしましょう、ということで「ハイストレンジネス・チケットメンバーズ」がスタートしたそうだ。

そう、実はもともとファンクラブを想定して作られたものだったのだ。

一年間続けて、会員限定イベントもライブも行うことができた。これからはもっと特別なこともやっていきたい、という意欲的な言葉にわくわくしてしまう。オーケンは「橘高さんはいつも十二月二十三日にドライブをしてますが、我々だってやりますよ!」と冗談か本気かわからない発言をし、ミート&グリートもやりたいね、といった発言も飛び出した。

嬉しいなぁ。何が嬉しいって、再結成当初は「もう四十だし」と言っていたメンバーが、十年の歳月を重ねてファンクラブに対し意欲的になってくれていることだ。ファンに望まれていること、期待されていることをメンバーが感じてくれているのである。この十年をともに積み重ねられたことがたまらなく嬉しい。

ライブはサンフランシスコから始まり釈迦で締める贅沢な構成。ド定番はもちろんレア曲もあり、フリーダムなMCに黄色い声が上がるサプライズまであって、最高に楽しかった。この空間を出ることが惜しくてならず、終演後にフロアに流された「トゥルー・ロマンス」を口ずさみながら熱に浮かされつつフロアをうろついていた。

今日は内田さんのマイク前あたりに立っていて、始まりは前から六列目くらいにいたが、後半には四列目に立っていた。「サンフランシスコ」が起爆剤となり、ぐわっと盛り上がったもののこの時はまだジャンプをする余裕があったが、最後の「釈迦」でもしジャンプが必要になっていたら飛び跳ねられたかわからない。それでも必死で両手を上げてモンキーダンスをした。楽しかった……!

サンフランシスコのベースソロではおいちゃんと橘高さんがニコニコしながら内田さんを挟んで「注目注目!」と言わんばかりに手をひらひらさせていて、あぁ、幸せな景色だなぁ……としみじみ思った。「バトル野郎~100万人の兄貴~」は何と言っても手振りが楽しい! そしてこのとき、橘高さんがピックシャワーを降らせてくれ、それがちょうど己の真上で、見上げると白いピックがハラハラと落ちてきて……何だろう、何かしらのご褒美をいただいた気分になった。

曲の後半でオーケンがオーディエンスにマイクを向け、合唱を誘うシーンもあった。しかしオーディエンスの歌詞が曖昧だったようで、曲が終わった後にオーケンが「今日は煮込まれたお客さんばかりだから歌詞が完璧かと思ったら……」「いきなり振った俺が悪かった……」と寂しそうに言って笑いが起こった。

ここからのMCが長かった。そしてフリーダムで素晴らしかった。今日のライブは本来は無いはずのものだった、といきなり衝撃の告白をするオーケン。曰く、ハイストレンジネス・チケットメンバーズで会費を集めて計画倒産ならぬ計画解散をし、会費を持ち逃げして筋少メンバー全員で熱海で余生を過ごす予定だったそうだ。「新幹線の座席を二つ並べてみかんを食べて……」と細かな描写も抜かりない。そしてオーディエンスは会費を払って、チケット代を振り込んで、チケットを受け取って、ご飯を食べて会場まで来て、チケットを見せてドリンク代を……払ったところでライブがなくなったことをスタッフに知らされ、そのときには筋少メンバーは熱海行きの新幹線の中。なんと恐ろしい完全犯罪なのだろうか。

しかしライブは開催された。何故か。思ったほどお金が集まらなかったから。というオチで爆笑。

ではどうするかと考えたところで、もっとライブをやって集金した方が良いのでは? という結論に至り、そこから物販で販売しているトートバッグを「集金袋」と呼びだし、筋少を聴いている人間の家まで集金に行く様子がオーケンによって演じられる。「通報があったんですよ!」「いいえ筋肉少女帯なんて聴いてないです」「ワダチ歌ってたでしょ! ドンドンドンドンドン!」と玄関ドアをしきりに叩く真似がおかしくてゲラッゲラ笑った。いいな集金されたい。

「これから十年二十年、搾り取っていきますからねー!」という言葉はもはや愛情として受け取ってよかろう。これから先十年二十年、まだまだ搾り取っていただけるならありがたいことこのうえない。ずっとついていきますとも。

そんなわけでまだ二曲しか演奏していないにも関わらずフリーダムに話しまくるオーケンなのだが、どうやらメンバーに止めて欲しかったらしく、「止めてよ! 止めてよ!」と何度も催促していておかしかった。

この後か前か記憶が定かでないが、オーケンが仮想通貨の「筋肉コイン」を作り、それはハイストレンジネスの会員だけが買えてハイストレンジネスの会員だけが使える、これからどんどん高騰して暴落することはない、と語る横でおいちゃんが「いつ暴落するの?」「いつ暴落するの?」とやたらと暴落させたがっていたのも面白かった。

長い長いトークの後は最上魁星の台詞「ファンキーファンキー鬼ファンキー!」を高らかに叫んで……「暴いておやりよドルバッキー」! 二十三日のライブに続いてまた聴けるとは! 嬉しい!!

「ハニートラップの恋」ではライトがピンクと紫になり、妖しい色合いで美しい。「バンバンババンバン!」と指をピストルの形にして宙を撃つ楽しさったら。続いて「わけあり物件」ではライトが暗い色合いに変化して折りたたみとヘドバンで盛り上がる。そうそう、立ち位置によって聴こえ方が違っただけかもしれないのだが、今日は序盤はわりと音の大きさが控えめで、筋少にしては珍しいなと思ったのだった。ただ、後半にはいつも通りの爆音に聴こえたので、同じ日の同じライブであるにも関わらず不思議な懐かしさとしっくり感を抱いたのだった。

MCを挟み、冒頭に書いた「ハイストレンジネス・チケットメンバーズ」の話からガッと盛り上がると、「俺の歌を聴いてくれ!!」とシャウトする橘高さん。オーケンがステージからいなくなり、ステージ中央に橘高さんのマイクが置かれると……「小さな恋のメロディ」! 橘高さんの力強い歌声とメキメキ弾かれるギターがたまらなく格好良い。あの情感のこもったメロディメロディと繰り返す声も好きなんだよなぁ。

橘高さんの歌唱が終わるとステージが暗くなり、青のライトがぼぉっと光る。ステージからはオーケンだけでなくおいちゃんうっちーふーみんも去り、エディのピアノだけが静かに流れる。奏でられる調べは聴き慣れないもので、何の曲だかわからない。

何が始まるのだろう……と聴き入っていると上手から一人現れたのは内田さん。肩に物販の集金袋……ならぬトートバッグを下げ、もぞもぞと上着を脱ごうとしてうまくいかなかったり、トートバッグの中のものを出そうとして出せなかったりと四苦八苦。その間もエディはピアノを弾き続け……ついに取り出したるiPhone! と、いうことは……!!

始まるであろうものにわくわくしていると、「サングラスをかけていると顔認証ができない!」とショックを受ける内田さん。何とかロックは外せたが今度は目当てのアプリが出てこない! その頃にはおいちゃんと橘高さんもステージに戻ってきていて、あれこれ試す内田さんを突っ込みながら楽しそうに眺めていた。

ずっとピアノを弾き続けているエディにお礼を挟みつつ、ようやくフランス語のアプリを起動。「ハイストレンジネス」「空手バカボン」をフランス語に変換して笑いを誘い、いよいよタイトルコール。「北極星の二人」!

一輪のバラの花を振り楽しそうに歌う内田さん。バラの花は生花ではなくちょっとハイテクなもので、花の部分が光る仕組みになっていた。うんうん、この曲は内田さんにしか歌えないよなぁ。

と言いつつ、おいちゃんが歌っても結構はまりそうだ……と妄想する。内田のラブソングではなく本城のラブソングになってしまうが。

さて、この二曲が続いたということは次は本城のラブソングこと「LIVE HOUSE」か、と思いきや意外な一曲「これでいいのだ」。「これでいいのだ」も好きだが、好きなのだが! せっかくなら「LIVE HOUSE」も聴きたかったなぁ。

「これでいいのだ」の後のMCでオーケンが内田さんにメンバー紹介をして欲しいと言い出し、内田さんにメンバー紹介の仕方をレクチャー。メンバーに振る話のお題を先に決めておいて、メンバーの名前をコールしたらお題について喋ってもらい、最後にメンバーの名前をもう一度コールして締める。ふむふむと頷く内田さんに、メンバーに語ってほしいことはあるかと尋ねるオーケン。内田さんは特に思いつかないとのことだったので、オーケンが用意していたお題「夢中になって観たライブやコンサート」に。このとき、「皆さん筋肉少女帯を夢中で観ているんでしょ?」とオーケンがオーディエンスに振り、その問いかけが妙に嬉しかった。そうですそうです、夢中に観ていますとも今まさに!

おいちゃんは子供の頃に見た「フィンガー5」、橘高さんはラウドネスの前身である「レイジー」。そして内田さんはサポートメンバーの紹介に移ろうとしたが、オーケンが「俺は!?」とまだ紹介されていないと主張し、メンバー紹介をねだっていた。そんなにメンバー紹介されたかったのか……そうかオーケンはいつも紹介する側だもんなぁ。ちなみにオーケンが夢中で観たライブは「カルメン・マキ」とのこと。ライブハウスに出演する前に勉強のために観に行き、オーケンが興奮して帰ってきたとを内田さんが語っていた。

この後には内田さんが夢中で観たライブの話になったのだが、内田さんが話し出した途端オーケンが「それ俺も行った?」と確認していて、あぁ、良いなぁ一緒に行くことが前提なのだな、としみじみした。ちなみにそのチケットはオーケン経由でオーケンの友人から購入したものだそうだ。

「予想できない曲」という触れ込みで始まったのは「じーさんはいい塩梅」。メンバー全員が楽器を置いてマイクを持ち、横一列に並んでにこにこしながら歌う姿が微笑ましい。橘高さんのちょっとクイーンっぽさのあるギターも素敵なんだよなぁ。

今回のレア曲は「冬の風鈴」。これが聴けて嬉しかった。涼を運ぶガラスの風鈴があたたかさの象徴として鳴る、じんわりと切ない歌。これはさぁ、本当、「しかし」に全てが詰まっているんだよなぁ。この曲をまた、今のオーケンの歌声で聴けたことがたまらない。

しっとりと「冬の風鈴」が終わり、「サイコキラーズ・ラブ」へ。このさ、おいちゃんと橘高さんのコーラスが重なっていくところがもう本当に好きで、CDも好きなんだが生で聴くとまたグッと来るものがあって、美しいんだよなぁ。そしてこの曲の目玉と言えばオーケンの力強いシャウト。この瞬間を聴くたびに、いつも背中がゾワッとする。

内田さんの次はおいちゃんがメンバー紹介を担当し、エディと長谷川さんを紹介しつつ話を振る。お題はさっきと同じ「夢中になって観たライブやコンサート」なのだが、エディが「アイドルとかは観ないから……」と言うもおいちゃんとオーケンが搾り出そうと執拗に食い下がり、「何だ君達は!?」とエディを慄かせていた。

そんなエディは「夢中にならないと聴こえないコンサート」を観に行ったことがあるそうで、現代音楽のピアノコンサートなのだが、ものすごく小さな音で演奏するため集中しないと聴こえず、しかも隣の客が寝てしまってその様子にエディが笑いそうになり、こらえるのに必死だったと言う。

長谷川さんが子供の頃夢中になって観たのはKISSのライブで、マイクを渡され困惑しつつ当時の思い出を語ってくれた。

メンバー紹介が終わったら曲に移るんだよ、とオーケンに促されるおいちゃん。どうしようか迷う姿にオーケンが自分がやろうと手を差し伸べた……ところで「あいつがやってきたー!!」と叫ぶおいちゃん! 驚きつつわたわたするオーケン! 始まる耳慣れたイントロ! ということで今日はおいちゃんの呼び込みによりお祭り野郎イワンがやってきた。

「仲直りのテーマ」から「オーケントレイン」に続き、「ディオネア・フューチャー」! 「オーケントレイン」はほとんど歌詞が完璧で、語りまでバッチリやってくれて嬉しかった。「シュポシュポ~」などのコールがすごく楽しい。「ディオネア・フューチャー」では今回もエディがマイクを持って前まで来てくれ、ド迫力のコーラスで脳Wi-Fi! たまらなかった!!

そうして本編は終了し、アンコールが始まったのだが……

メンバー全員が揃いの浴衣で登場した。
おサル音頭が始まった。
橘高さんがにこにこしながらクックロビン音頭を踊った。
エディと長谷川さんまで浴衣で現れた。

すごかった。このときの黄色い歓声と言ったら。いやーすごい、貴重なものを観た。まず、メンバー全員が同じ衣装を着ている姿を観ることが滅多にない中で、しかも浴衣。びっくりした。そして似合ってた。

「おサル音頭」が終わるとメンバーはその場で浴衣を脱いで下に着込んでいたいつもの衣装に戻ったのだが、おいちゃんは帯を引っ張られて「あーれー」とくるくる回り、橘高さんも真似をしてくるくるしようとしたものの、回る方向を間違えて巻き取る形になりオーケンに突っ込まれていた。

アンコール二曲目は久しぶりの「ムツオさん」で、ウッ、ハー! と大盛り上がり。そして最後の最後は釈迦で大暴れして終了。終わってからも橘高さんとおいちゃんと内田さんは長々とステージに残ってくれ、橘高さんは「ハイストレンジネス! ハイストレンジネス!」と叫びながら最前のお客と握手をしていた。

最後に内田さんがステージから立ち去ると、パチパチと自然と拍手が起こった。自分も拍手をしていた。きっとこの場にいる人々がいつもとは違う何かを受け取った証なのだろう。それは今日この瞬間の楽しさと、先への期待が一緒になったものかもしれない。デビュー三十周年という記念の年に、十年二十年これからも搾り取るという嬉しい言葉。まだまだ先があると思える幸福。

とてつもなく奇妙な事例(ハイストレンジネス)と名づけられた我々に見せてくれる未来は何だろう。今から楽しみで、たまらない。


サンフランシスコ
バトル野郎~100万人の兄貴~

暴いておやりよドルバッキー
ハニートラップの恋
わけあり物件

小さな恋のメロディ(ふーみんボーカル)
北極星の二人~内田のラブソング~(うっちーボーカル)
これでいいのだ

じーさんはいい塩梅
冬の風鈴
サイコキラーズ・ラブ

イワンのばか
仲直りのテーマ
オーケントレイン
ディオネア・フューチャー

~アンコール~
おサル音頭(メンバー全員浴衣で登場!)
ムツオさん
釈迦

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