2013年9月5日(木) 緑茶カウント:4杯
「餓鬼道巡行」「この世のメドレー」「ゴランノスポン」「どつぼ超然」「爆発道祖神」「人間小唄」「破滅の石だたみ」「バイ貝」……町田康のタイトルセンスって何て素敵なんだろう!
スペースの関係で単行本の購入は避けており、文庫化を待ち望んでいるため未だ手に取れていないタイトルも多いのだが。所有している中では「けものがれ、俺らと猿と」「人間の屑」「くっすん大黒」「テースト・オブ・苦虫」「実録・外道の条件」などのタイトルも好きだ。たまらない。
町田康の小説の中で一番好きなのは「夫婦茶碗」収録の「人間の屑」。ダメな人間がダメなまま奈落へ向かって全力疾走する様が悲しくも爽快な作品だ。町田康の作品にはいわゆる「ダメ人間」が多く登場するのだが、どいつもこいつも波に飲まれ流され何が何だかわからない中を生きながらも、何だかんだで行動力があるのがどうにも厄介で愛おしい。
町田康の文章に慣れていない人におすすめしたいのは「実録・外道の条件」。エッセイ風の作品はどれも読みやすいが、中でもこれは秀逸である。そして可哀想である。ずるい奴らやひどい奴らから外道な目に合わされる町田康に同情しつつ、その筆致により笑わされ、また、可哀想な姿から垣間見えるキュートさに気付いたら、次は小説「夫婦茶碗」を読んでみれば良い。くれぐれも一番最初に「きれぎれ」には手を出さないように。