こたつから異臭が立ち上った日

2019年10月15日(火) 緑茶カウント:2杯

そろそろ買い換えようかなぁ、と思っていたんだよ。思い返せばそう、四、五年前から。そう、毎年毎年冬を迎えるたび、さらに言えば冬以外の季節にもこたつを買い換えようと思いつつ、ついぞ実行せずに今日まで過ごしてきたのは、不便はあるものの何となく使えていたからである。

不便は主に三つあった。一つ、狭い。このこたつは秋冬はこたつとして、春夏は布団を取り払いローテーブルとして使っていて、一年三百六十五日ここにノートパソコンを置き、飯を食い、文を書き、絵を描き、本を読み、あらゆることに使用してきた。しかしあらゆることに使うには若干狭く、たまに客人が来た折には皿を乗せきれないこともあり、不便を感じていた。

二つ目、天板がガタガタ。これは己が悪い。確実に悪い。一人暮らしを始めて二年目の秋にこのこたつを買った記憶があるが、大事にしようと思っていたのにかなり雑に扱った。具体的に言えば熱したやかんをそのまま天板に置いた。鍋敷きも敷かずに置いた。何故そんなことをしたのかと言えば熱したやかんを直置きしたら天板がダメージを受けることを知らず、想像もせず、何も考えずにいたからだ。結果、天板はめくれ上がりヒビだらけになってガッタガタになった。そのくせ自分が諸悪の根源のくせに不便だのと罵って申し訳ないと思う。ごめん天板。

三つ目、これが一番重要である。そしてこれは己のせいではない。何かと言うと、温度調整がしづらい。その時のこたつの気分で「最強」か「中」に切り替わるため、気付くとこたつの中が熱くなることがたびたびあり、これは本当に不便だった。だが、熱くなったら電源を切れば良いので持ちこたえてしまった。

そうして不便だ不便だと思いつつこたつを酷使し、十何年目の秋の今日、こたつはついに音を上げた。寒さに震え五月に仕舞ったばかりのこたつ布団と電源を取り出し、よいしょっとセッティングしてスイッチを入れれば、何やら焦げ臭い。当初、布団に何か嫌な臭いでも染みついているのかと思ったが、布団からは洗剤の残り香しかしない。めくれば出汁の焦げるような嫌な臭いは内側からして、明らかに熱源より発せられていることがわかったのである。

そして己は今、電源を切ったこたつにくるまりながら無印良品のオンラインショップを眺めている。寂しいような、良い区切りを迎えたような、何やら不思議な気分である。うん、若干寂しさが勝つかな。

ありがとうこたつ。次が来るまでもうちょいよろしく。



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