ラ・フランスの切り身
2018年11月10日(土) 緑茶カウント:3杯
ラ・フランスを口にしたことはあるかい? あれは甘く、濃く、ねっとりしていて、そのうえでざらりとした質感を舌の上に残す芳醇なる果物だ。
で、だ。外れたラ・フランスを口にしたことはあるかい? あれは無味で、うっすら甘さの香りがし、ジャリジャリと砂利を噛むような味がして、何一つ美味しくなく、見た目が美しいだけに味のギャップが凄まじくて、ただただ悲しい。
君は食べられているか。適切なタイミングの、きちんと熟したラ・フランスを。
これをさぁ。見分けるのがさぁ、難しくってさぁ。
舌の上に広がるのは砂利の味。何一つ美味しくなく、ただひたすら砂を噛む味。
不味い。
故に思う。完熟したラ・フランスの美味しさを知っているだけに思う。熟しきったラ・フランスを丁寧に美しく切り、小さな白い皿に盛り合わせ、そっと目の前に差し出してくれるサービスがあるならどんなに素晴らしいだろう。利用したいだろう、と。
それほど己はあの涼やかで美しい味を求めているのに、未だ悲しく辿り着かない。
美味しいラ・フランス。食べたい。