デビュー30周年記念日スーパースペシャル・突入! (2018年6月21日)

嬉しくて楽しくて、たまらないライブだった。メジャーデビュー三十周年を同じ会場で祝うことができて、さらには新譜の発売とツアーの告知まで。筋少は過去を生きていない、未来を生きていると語るオーケンの言葉そのままに提示された先の約束が嬉しくてたまらない。だってさ、今年はオーケンがソロアルバムを作ることから筋少での新譜は無いものと思い込んでいたんだよ。それがまさかのサプライズ。

嬉しくてその場でぴょんぴょん跳ねるなんて、大人になってからはそうそう経験していない。その数少ない小さなジャンプは、ほとんどライブハウスの中で行われているように思う。

しかも何と、レティクルの神様の思し召しかこの日は最前列だった。視界を横切るものが一切ない中で楽器を奏で、力強く歌い上げるメンバーを観ることができる喜びったら。ステージの背後にはデビュー三十周年を祝うロゴがでかでかと掲げられ、しみじみとこの日がいかに特別な日であるかを実感する。三十周年。三十周年かぁ。

先日の日記にも書いたが、筋肉少女帯がメジャーデビューを果たしたとき己はまだこの世に生を受けたばかりだった。年月が流れ、筋肉少女帯の音楽に出会ったときには既に筋少は活動を休止していた。あの頃、レティクル座妄想を繰り返し聴きながらリアルタイムで知りたかったなぁと思ったことも懐かしい。あれも十五年前か。

そして、まさかの再結成の報。
運良く当選した復活ライブのチケット。
初めて生で観た、ステージの筋肉少女帯。

あれからずっと楽しませていただいていて、ずっと元気をもらい続けている。この楽しさと喜びがこれから先にもあることを提示してくれるのが、嬉しくてたまらない。

今日のライブは定番曲中心のセットリストで、その中で若干の異彩を放っていたのが「パノラマ島失敗談」と「戦え!何を!?人生を!」、そしてもう一曲。アンコールでオーケンが、「今日はおめでたい日なので、ドカーンと盛り上がる曲を中心に持ってきた」と語る。続けて、「でもそればかりが筋肉少女帯じゃない。むしろ暗い闇の部分を多く歌っている」と言葉を紡ぎ……照明が落とされ、真っ暗になったステージで静かに歌い出されたのが……「ノゾミ・カナエ・タマエ」。

この前日にリマスタリングされ再発された「レティクル座妄想」を聴き、「ノゾミ・カナエ・タマエ」の悲しい調べと美しい言葉の迫力に圧倒されたばかりで、聴きたいとは思っていたもののまさかやってくれるとは思ってもおらず、気づけば胸の前で手を組み、まるでレティクルの神様に祈るかのような姿勢でステージを見つめていた。

とても楽しいライブだった。盛り上がる曲がいっぱいで嬉しかった。
でも、やはり、己が筋肉少女帯に求めているものは、それだけではないのだ。

「レティクルの神様、ただ一つのお願いがあります」とオーケンが両手でマイクを握り、祈るように歌う。赤いライトを浴びながら天を見つめるオーケンの瞳にはレティクルの神様が映っているかのように見え、光で彩られた輪郭が危うげで非常に美しかった。

自分へのプレゼントにハズキルーペを買い、汗をかいて体が燃え上がるのはロックのせいかと思ったら男の更年期障害かもしれないと冗談めかして語るオーケン。オーディエンスを笑わせながら、加齢だ加齢だと言いながらも三十周年に突入し、さらに先へと進み続ける力強さ。しかしその前進していくエネルギーを放つ体内には、ノゾミ・カナエ・タマエを歌うほの暗い闇も秘められているのだ。

ただ前向きなだけではなく、心の闇を歌い、拾い上げて目の前に提示し、それがあることを肯定させてくれる。そのうえで大いに笑わせ、楽しませてくれる筋肉少女帯という存在に出会えたことは自分にとって幸福に他ならない。三十五周年も、四十周年も、五十周年も共に祝っていきたいと思う。

最後にもう一つ、嬉しいなと思ったこと。今日の会場では近くに車椅子の方と介助の方がいらしていて、介助の方はこまめに車椅子の方のケアをしていたのだが……、あるときに橘高さんがピックにキスをしてそれを客席に投げたのだが、ファンの手に届かず床に落ちてしまったのだ。

すると介助の方がピックに気づき、サッと小走りで取りに行って拾い上げるとササッと戻って車椅子の方に手渡したのだ。視界の隅でその様子を捉えたとき、「よっしゃ!」と己は軽くガッツポーズをした。そうそうそうそう、そう! ありがとう! よくぞ拾ってくれました! だって絶対欲しいと思うもの! 自分だったら!

終演後、ビールを呑みながら余韻に浸りつつ、ロビーに飾られた花輪を眺めた。打首獄門同好会や高木ブーさん、そしてファンからの色とりどりの花輪。物販は人でごった返していて、あちこちで楽しげに感想や興奮を語らい合う人々がいた。皆笑顔で楽しそうだった。己もきっとニコニコしていたのだろう。嬉しくて楽しくて、たまらない一日だった。




サンフランシスコ
少年、グリグリメガネを拾う

日本印度化計画
小さな恋のメロディ(ふーみんボーカル)
パノラマ島失敗談

イワンのばか
機械

戦え!何を!?人生を!

青ヒゲの兄弟の店
サイコキラーズ・ラブ
Guru最終形

これでいいのだ
パリ・恋の都
踊るダメ人間
ディオネア・フューチャー

~アンコール~
ノゾミ・カナエ・タマエ
モコモコボンボン(うっちーボーカル)
釈迦



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