それは走行する密室であったのだった

2013年12月20日(金) 緑茶カウント:0杯

呑み会帰り。終電を逃し、タクシー乗り場の行列に並び一時間。背後の人が平静な顔をしているくせに突然嘔吐、しかし直後また平静に戻るということをたびたび繰り返し、恐怖を感じながらもようやくタクシーに乗れたのだが、その運転手が変だった。

やけにフレンドリー、悪く言えば馴れ馴れしい。当初はとりとめのない会話を交わしていたのだが、声で確信が持てたのか、突然「お客さん、タクシー乗り場で見たときはオカマかオナベかと思ったよ! ハハッ!」と軽快に言い放つ。冬場は厚着をするので、夏場に比べると若干性別を間違えられやすいきらいはあるものの、オカマとオナベは傾向が正反対だろう。どういうことだ、おい。

そして運転中。信号待ちの間に握手とハグを求められ、握手には応じたもののハグは「照れるので」と断ったが、とにかく己が望むことは前を向いて運転してくれと言うことで、同時に、この運転手は危ないんじゃないかと思いつつ逃げられないことに恐怖を感じた。

降車時には頭を撫でられ、「かたちは良いから自信を持ちな!」「このままデートに誘いたいな」「ここで良いの? 遠慮しなくて良いよ」と言われたが固辞して駅前で下車。我が家に帰宅したのは深夜の三時であった。中には変な人もいるという話は聞いたことがあるものの、密室で遭遇すると予想以上に恐ろしいのだなと肌で実感。日常に潜む恐怖に戸惑った一件だった。



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