2013年12月1日(日) 緑茶カウント:1杯
目的の焼き鳥屋は地下にあり、狭い階段をを降りる道すがら、先に進む友人が後ろを振り返り、己の名を呼び注意を呼びかけた。「ここ、頭ぶつけないように気をつけてね!」
そして自分は遠慮することなく親切な友人に毒づく。「てめえ! ちくしょうめ!」
何故ならそこは、低身長の自分であれば絶対に頭をぶつけるはずもない、特に天井が低くもない通路だったからだ。高身長の友人はそれをわかって声をかけた。しかしそこには悪意も無ければ不快も無い。ただの戯れの一つであり、報復として己は楽しく友人の体を引っぱたいた。
既婚者の友人は配偶者を連れていた。事前にそれを聞いてはいなかったが、なるほど、その手もあったかと自分は妙に納得した。たまに呑みに行く関係性の友人が一人おり、彼は最近結婚したため、以前のように呑みに行くことは出来ないだろうと考えていた。そこに友人から召集の号令がかかり、近場に住む何人かが集ったのである。そしてそこには友人と共に、友人の配偶者もいたのだった。そうか、なるほど。彼女を輪の中に招待することで、この関係性は継続されるのか。目から鱗が落ちるようであった。そのような手が存在するとは思わなかったためだ。
この集まりにおいて彼女は一人アウェイである。同じサークルの、同じ思い出を共有する仲間の中に一人放り込まれ、共通する人間は新郎である友人だけ。それなりに、会話から省かれることのないよう、途中途中で説明を挟み、気を使ったつもりだが、彼女は楽しめただろうか。彼女の薬指に光る銀の指輪と、同じ形状の友人の指輪を眺めつつ、その関係性に思いを馳せつつ、あぁ、どうか彼女がこの集まりを気に入ってくれますように、と願った。