橘高文彦デビュー30周年記念LIVE Blu-ray発売記念インストアイベント「トーク&2ショット撮影会」 (2016年7月17日)

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押入れに仕舞いっぱなしで、滅多に使われないオリンパスのごついデジカメ。充電のためパソコンにコードを繋げば過去に撮影した写真が表示され、履歴を見るに軽く数年は使っていない。

そんな使用頻度の低いデジカメをわざわざ取り出した理由は一つ。だってこんな機会、滅多に無いから。

デジカメを活用した帰り道、夢のようなふわふわとした気持ちを噛み締めながら、それでいてずっと脳は興奮していて、口元が緩むのを抑えらず、ただひたすら「うわあ、うわあ、うわあ、うわあ!」と心の中で唱え続けていた。うわあ!

撮ってもらったよ! 橘高さんと! ツーショット写真を! 橘高さんと!

およそ十年前に筋肉少女帯を知ったことで「音楽」というものにはまった自分にとって、橘高さんのギターこそが己にとってのギターの音色である。橘高さんのギターが全ての基本になっている。故に自分が知る中で一番心地良く一番格好良い。その音色を奏でる橘高さんと。橘高さんと写真を撮れるなんて!

夢のようだった。しかし夢ではなかった。夢ではないかと確認するたびに並んだ写真が現実であることを教えてくれる。うわあ。うわあ。うわあ。

タワーレコード新宿店七階のイベントスペースに集う人々の前に颯爽と現れた橘高さんは、金色の髪をふわっふわに飾り立て、レースの華やかな黒のステージ衣装を身にまとい、爪は真っ黒でメイクもバッチリ。インストアイベントでは黒い帽子にサングラスに黒の私服というスタイルが常であるにも関わらず、この撮影会のために! 時間をかけて「橘高文彦」に変身してくださったのである! このサービス精神が嬉しい!

ちなみに今日のイベントは昼の十二時からだったので、橘高さんは朝の五時から用意をしなければならなかったそうである。「次やるときにはもっと遅い時間にやりましょうね」と言っていた。

今回、橘高さんのデビュー三十周年記念ライブ「AROUGE」「Fumihiko Kitsutaka’s Euphoria」「X.Y.Z.→A」「筋肉少女帯」の四公演が、それぞれ一枚ずつのブルーレイディスクとなって発売された。当初橘高さんはこの四枚をボックスにすることを考えていたらしい。ただ、子供の頃に欲しいファミコンのソフトが別のソフトとセットになって販売されてがっかりした経験があるので、せっかくのアニバーサリーでファンにそんな思いをさせるのは……ということで別々の販売にしたそうである。「ただ、四枚買ってくれた人だけの特典も用意しているからね!」と。ちなみに特典の内容はフォトブックと、五種類のピックセット。近くに立っていた男性が「ピック……良いなすごいな欲しい……」とつぶやいていた。

トークでは映像の内容にも触れていた。今回ブルーレイで発売し、クリアな音とクリアな映像でお届けしたが、「そこまでクリアである必要があるか……?」ということで、次回からはアートな感じの映像になるかもしれない、と冗談めかして語っていた。もしかしたら今回のディスクがクリアな映像を楽しめる最後の一枚になるかもしれないそうだ。

また、ブルーレイは橘高さんの記念ライブとして開催されたものを収録したものだが、同時にそれぞれのバンドの最新作であり、どれも充実した内容になっているとのこと。「ここにいない大槻さんのファンにも勧めといてね」と笑いながら話す橘高さんは実にキュートであった。

トークが終わったら撮影会に。ステージとオーディエンスの間に仕切りが作られ、順番に並んで一人ずつ入っていき、仕切りの奥で撮影が行われる。恐らく撮影の際に他者が写り込まないよう配慮してのことだろうが、写真に慣れていない人間としては人の目が遮断されるのは実にありがたかった。

並びながらカメラをチェックしたり、何を言おうか考えたりと、ドキドキしながら順番を待つ。そうしてついに自分の番がやってきて、カメラをスタッフのお姉さんに預けると、すぐそばに橘高さんが! 差し出される手を緊張しながら握り、うわあ橘高さん橘高さん、格好良いなぁ……! 間近で見るとすごい迫力だなぁ……! と感動する。

さて、ついに撮影を……というところで橘高さんからポーズの希望を聞かれた。ポーズ。何も考えていなかった。むしろリクエストが出来るなんて夢にも思っていなかった。思わず動揺して何も答えられない。すると橘高さん、「じゃあ、はい!」と言って、ポン、と優しく肩に手を置いてくれた。

肩に手!!

撮影後、お礼を言ってその場を離れ、数歩歩いて立ち止まり、カメラをチェックすると自分の真横に橘高さん。いつも見上げるステージの上にいる橘高さんが、自分の真横に。あの音色を奏でる指が自分の肩に。うわあ。うわあ。うわあ。

撮影会から既に数時間経っているが、未だ脳がふわふわしている。余韻に浸っている。一生の思い出である。

あぁ、嬉しい。