2013年6月29日(土) 緑茶カウント:0杯
深々と毒を吸い込みながら眠ったが、心は晴れ晴れとした気分だった。
まだエアコンをつけるほどの暑さではないので、家にいるときは窓を開けて風を中に入れている。さりとて風以外のものが入ってきても困るので網戸を閉めてはいるものの、どこからか隙間を見つけて進入してくる小さな生き物。明かりをつけていたときには気付かなかったがひっそりと潜んでいたらしい。しかし、自分は気付かず眠りに就いていた。
そして深夜、右腕に感じる違和感と不快感に耐えかねて目を覚まして跳ね起きると、すぐ近くに置いてあったキンカンを手探りで掴み取り塗りたくった。タオルケットから露出していた右腕ばかりが狙われたらしい。三つも四つも大きな腫れが出来ていた。犯人は言うまでもない、蚊だ。
眠気でぼんやりする頭を挑発するかのように耳元で蚊が飛び回る。不愉快だ。不愉快だが、あまりに眠かったので無視して眠ろうと思ったが、顔のあたりを飛ばれる不快感は凄まじい。とてもじゃないが、奴がいる限り安眠することは出来ないだろう。また眠りを中断される危険性すらある。つまり自分は至急こいつを始末しなければならない。だが、手で叩いて殺すのは難しい。こんな深夜に追いかけっこをして体力を消耗されるのも尺だ。とにかく早く寝たいのだ。
寝たい。うるさい。不愉快。寝たい。眠い。うるさい。痒い。あぁ、もう明日は早く家を出なければならないのに何でこんなことで睡眠を妨害されなければならないんだ! と思うと無性に腹が立ち、こうなったらもうさっさと片をつけてやれと決心し、スプレータイプの殺虫剤を布団周辺に散布した。
あぁ、今このあたりの空気は毒で満たされているのだろうなぁ、と思いつつ、何て体に悪いんだと思いつつ、正直こんな殺虫剤臭いところで眠るのは嫌だなぁと思いつつ、知ったことか、こちとら蚊に比べればずっと体積がでかいんだ、このくらいどうってこたねぇよこの野郎、と半ばやけっぱちになって、羽音のしなくなった部屋で安眠を貪った。どっとはらい。