ありがとうオーブンレンジ
2019年12月22日(日) 緑茶カウント:0杯
新しいオーブンレンジを購入した。ピッカピカで真っ黒で、様々な機能がついているパナソニック製のオーブンレンジ。そしてそれまで使っていたのは、七年ほど前にリサイクルショップで購入した今は無きNational製のオーブンレンジ。オーブン機能はおまけのようなもので、レンジ主体で作られた安価な品。これを七年ほど愛用していた。
当時資金に余裕が無く、電子レンジを買う必要が生じたものの予算が無くてリサイクルショップに行って見つけた一品。確か五千円くらいだったかなぁ。これをその場で購入し、えっちらおっちら汗をかきながら素手で持って帰って、ぜーぜー言いながら植え込みの脇に段ボールに包まれたオーブンレンジを置きながら休んでいたところ、見知らぬ人に声をかけてもらい途中まで運ぶのを手伝ってもらった記憶がある。あの時のあの人、ありがとう。
もともと電子レンジの機能しか求めていなかったため、ずっと電子レンジとして使っていた。春も夏も秋も冬も、ターンテーブルの上に食べ物や飲み物を乗せればブーンという古めかしい音と共にそれは回転し、ほかほかの熱々に温められた。とてもありがたく、欠かせない存在として日常を過ごした。
そんなある日。ずっとレンジ機能しか使っていなかったのにふと思い立ってオーブン機能を使ったところ、壊れはしないもの支障が出た。内側の天井からボロボロと黒い焦げが落ち、それからレンジ機能を使う際にも焦げが落ちて食物や飲み物が汚れる日々が続いた。
当時に比べれば懐に余裕がある。リサイクルショップではなく家電量販店で吟味し、一つのオーブンレンジを購入した。それは最新の機能がたっぷりで、レンジとしてもオーブンとしても使いやすく、オーブン料理へのチャレンジに意欲が湧く品で、手元のそれとは比べものにならないことは明白だった。
年末故に粗大ゴミの回収は込み合っていていて年明けにゴミ捨て場に出すことになった。それまでは二つのオーブンレンジと同居して日々を過ごすことになる。彼がずっといた場所には新人が座を占めていて、居心地が悪いかもしれないとも思ったが、台所の片隅で後輩の活躍を見届けながらゆったりと余生を過ごすのも悪くないだろう。
だからこそ、そのうえで今言おう。
ありがとう、National製のオーブンレンジ。
君のおかげで己は七年間、温かいものを口にすることが出来た。静かな余生を、今。