来訪者
2018年10月6日(土) 緑茶カウント:0杯
深夜に干しっぱなしにしていた洗濯物を畳んでいたら、ブゥンと羽ばたくものがあった。思わず身構え、着地した先を見やればそれはゴキブリでも蜂でもない四角くて平たい見慣れた姿。ザラザラした茶の色合いが美しいカメムシだった。
ガスを噴射されては困るが、刺激しなければ害は無い。とはいえずっとここに居てもらうわけにもいかないので、彼が着地した枕を手に取り、サッシをカラカラと開けて闇に手を伸ばし、枕を揺すぶった。
パタンとサッシを閉じ、カチャリと鍵を閉める。外では風が轟々吹いていてやかましい。何の歓待もせず強風の中に帰したことに罪悪感がないでもないが、きっと彼なら元気にやっていってくれるだろう、と何も知らないくせにそう自己完結して満足する。
まぁ、湿った洗濯物に虫が潜むのはよくあることだ。いつだったかなぁ。子供の頃にパンツを穿いたら、中にミツバチがいて、お尻を刺されてびっくりした記憶がある。あのときは泣いたかどうだったか。ミツバチも災難だったよなぁ。
思い出を懐かしみながら残りの洗濯物を畳む。一つだけ不思議に思うことは、彼がいつから潜んでいたかということ。というのも、己は基本的に洗濯は部屋干ししかしないからね。
ずっといたのだろうか。いつからいたのだろうか。うちは居心地が良かっただろうか。窓ガラスを揺るがす風の音を聞きながら思う。まぁ、またいつか気が向いたらいらっしゃい。