眼鏡屋

2018年5月22日(火) 緑茶カウント:2杯

その眼鏡屋を利用したことはなかったが、その眼鏡屋の前を毎日歩いていたのだ。

個人商店の小さな眼鏡屋。ガラス張りの壁から店内を見渡すことができる中、己が主に見ていたのは店のガラスそのものだった。通り過ぎるたびに老店主がカッターを持って、季節やイベントにふさわしいイラストや文字のカッティングシートを貼っていた。それはとても頻繁に貼り替えられ、あぁ今日は何を貼っているのだろうと店主の細かな手つきを眺めたものだ。

ところがこの一ヶ月、イラストや文字で飾られたガラスはシャッターで閉じられ、その上には一枚「都合によりしばらくお休みします」という手書きの貼り紙。昨日もシャッターは開かず、今日もシャッターは開かず、ずっと白い紙が風に揺れるだけ。

何があったんだろう。何かあったんだろうなぁ。店主と話したこともない己はただただ店の前を歩きながら、あのカッターを握る指先を思い浮かべるのだった。



日記録2杯, 日常