苦い酒
2017年1月30日(月) 緑茶カウント:0杯
それはもう、寂しい気持ちになったのさ。
呑み会でゲイバーが話題に上り、誰がどういう人にもてそうだといった話を経て、LGBTの権利云々の話になった。会話には性的なからかいも混在していたので冒頭より自分は黙って酒を呑んでいたのだが、すると否定派は己を仲間と見なしたらしい。「ウヲさんは俺らと同じでフラットですもんね」と笑って肩を寄せたのであった。
おお! 君達にとってのフラットとはそのような意味なのかいと驚いていると、否定派の一人が「マイノリティが権利を主張するとイラッとする」と悪気なく語ったのであった。実に興味深い。彼はキリスト教徒で、映画「沈黙」をとても良い作品だと人に勧めていたのだが、彼は役人側の視点で映画を観ていたのだろうか。君が観た映画で棄教を迫られたのはマジョリティだったかい? 結果主人公は踏み絵をどうしたかな?
彼の発言に同調した女性は今、男性と同じようにバリバリ働いている。彼女が働ける今があるのは、かつてマイノリティであった「男性と同じように働こうとする女性」が声を挙げ、努力してきた結果のはずなのだが、その恩恵に思い至らないようだ。彼ら彼女らがマイノリティであること、あったことを意識せず安寧に生きていられるのは、君達が「イラッとする」人々のおかげだったんじゃないのかい。
なかなか苦い酒であった。寂しい気持ちが心を満たした。それはもう、彼ら彼女らが決して悪人ではないだけに。あぁ、知らないでいたいものだった。