鶏卵のような月

2017年1月14日(土) 緑茶カウント:4杯

闇夜を見上げて月を探したのは、目の前に浮かぶ鶏卵のような光があまりに大きかったからだ。

オレンジがかった濃い黄色の巨大な円が夜空に浮かんでいた。コンタクトレンズをつけていたが、己の視力を疑った。寒波厳しい一時間の散歩の途中。ほんのちょっと二十分程度散歩をしようとして道を間違え彷徨う最中、いつの間にか坂をぐんぐん上っていたらしく、どうにか戻ろうと坂道を見下ろしたとき、ぽっかりと浮かぶまろい光。普段目にする月の三倍もあろうかと大きさで、あまりに大きく美しいからそれが月だと信じられなかった。

見上げる先にあるのは霞み流れる雲と小さな瞬き。己のよく知る月はどこにもなく、故に確かめたいために、目の前の巨大な光をじっくり見るために近付こうと試みるも、坂道を進むたびに光は山陰に隠れていき、下りきった頃にはすっかり姿を消してしまった。

さらに進むと見えたのは教会の塔を彩るステンドグラス。円い窓にはめられたガラスの輝きを見上げ、あれを見間違えたのかと思ったもののガラスの色は黄と青の二色。あの光に青の欠片は存在せず、やはりあれは月だったのかと思うものの坂道の下からは何も見えない。まるで狐につままれたようで、釈然としない気持ちを抱えつつ先へ先へと進んだのであった。



日記録4杯, 日常