午後
2016年12月31日(土) 緑茶カウント:0杯
にゃあ、と鳴いて猫が膝の上に乗る。レースのカーテンから差し込む日光が背中を暖めるも冷え切った部屋。しかし猫はお構いなく椅子に座った己の膝の上でゴロゴロと咽喉を鳴らし、左腕と脇腹の隙間に鼻先をぐいぐいと差し込んで、空間の全てを埋めようとする。
ぴっちりと閉じられた腕と体の間に猫の寝息が差し込み、ぷう、ぷうと熱がこもる。膝と腹と腕だけが温かく、床に接した爪先は冷え切っているが動かせない。自由な右手で猫の背を撫でると心地良さそうにゴロゴロと咽喉を鳴らし、寝ながら鼻先をぐいぐい押し付けてくる。
これが幸福なのかしら、と凍えた爪先をすり合わせながら思った。十一歳の飼い猫はぐんぐんと全ての隙間を埋めてしまった。己は本を読みたかったが手を伸ばせず、代わりに彼女の背を撫でていた。外からは車の走る音が聞こえていた。