アダンソンくんはうずくまっている
2016年6月5日(日) 緑茶カウント:4杯
フローリングで蜘蛛がうずくまっている。体長一センチにも満たず、白いラインが特徴的な丸っこい彼の名はアダンソンハエトリグモ。ぴょこぴょこと跳ね回る姿はキュートで愛らしく、そのうえ害虫を食べてくれるありがたい存在である。そのアダンソンくんが跳ねもせず走りもせず、ただただフローリングでうずくまっている。
人差し指を近づけてみるも動かない。警戒されていないのだろうか。そっと触れてみると、アダンソンくんはゆっくりと後退した後、思い直したのか近付いてきて、指にぴったりと体の側面をくっつけてゆるゆる動く。
疲れてらっしゃるのかい? アダンソンくん。
じっと見ていると、彼はベッドの下の暗闇へと歩いて行った。黒い体がだんだんと暗闇に紛れていくが、そこに輪郭が消えるほどの闇はない。食べ物が足りないのだろうか。それとも寿命が近いのだろうか。まるで土下座をするような姿勢でベッドの下を覗き込む。アダンソンくんはじっとしている。
今度掃除をするときに、カラカラになったアダンソンくんが出てくるかもしれない。
アダンソンくんはうずくまっている。