荒む荒むイタリアン

2014年12月25日(木) 緑茶カウント:0杯

近所にちょっと良い店があったのだ。カウンターに四席、後ろにテーブルが一つという小さな佇まいで、マスターが一人で切り盛りしているイタリアン。カウンターの奥の棚には雑多に物が積みあがっており、やや雑然とした雰囲気もあるが、出される料理は美しいのだ。シンプルながらも気を遣われたデザインの皿に、綺麗に盛り付けられて出てくる。チーズの盛り合わせを頼めばチーズが美しく飾られ、隅に蜂蜜の入った小さなポットがちょこんと置かれるのだ。手作りのピクルスも美味く、釜焼きのピザも美味く、良い店を見つけたと思ったものだ。

ところが。カウンターの奥の棚に見えた「雑多」がだんだんと侵食してきた。カウンターの前にコーヒーメーカーが置かれているのだが、これに埃がたまっている。気楽に入れるのが長所の店とはいえ何だかな、と思いつつチーズの盛り合わせを頼む。チーズの種類にもよるのだろうが、このとき、あの蜂蜜の入った可愛らしいポットが無くなっていた。少し残念だった。

そして少しずつ少しずつ。「雑多」はカウンターの奥からこちら側へとやってきて、ついには皿はそこらで売っているただの丸皿になり、チーズも生ハムも飾られることなくただ「乗せられた」状態で供されるようになったのである。のほほんとした店主の雰囲気だけは変わらない。次回来るとき、この「雑多」がどこまで侵食しているか楽しみなような恐ろしいような。見送るつもりで見守っている。



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