滅多打ちのバナナの叩き売り
2014年7月31日(木) 緑茶カウント:2杯
何年か前に日記に書いた記憶があるのだが、そしてその日記を掘り起こすことはもはや自分でも難しいのだが、昔々自分はバナナの叩き売りに思い込みを抱いていた。あの露店でやると言われるバナナの叩き売り。実際に目にしたことはほとんど無い。一度、浅草を散策している折に見ただけだろう。そのときは確か大学生で、思い込みを抱いていたのも大学生のときだった。
叩くと思っていたのだ自分は。バナナを。バナナを台に叩きつける。するとやわらかいバナナのこと、衝撃でたやすく傷むだろう。即ち、バナナの価値が下がる。そこで値が下がる。また叩く。傷む。安くなる。つまりバナナの叩き売りとは、待てば待つほどバナナは安くなるが、値段に比例してバナナの価値も落ちていくという、塩梅を見極めるのが難しい売買。店と客のギリギリの鍔迫り合いがバナナを通じて行われるもの、と解釈していたのである。
近所のスーパーでたまに行われるハーゲンダッツの安売りセールは、そのバナナの叩き売りの理論を導入したものらしい。ハーゲンダッツ。とても美味しいアイスだ。そしてちょっとお高い。このハーゲンダッツがたまに安売りされるのである。とてもありがたい。しかし安売りされる際、ハーゲンダッツは重いガラスの冷凍扉から運び出され、非常に開放的なワゴンの中に並べられるのである。それは普段、魚やヨーグルトなどが入れられているワゴンで、一応冷気は出ているのだが、非常に開放的なのだ。即ち。
ぐんにゃり。
あの、スプーンを跳ね返す硬度を誇るハーゲンダッツが、側面を掴むだけで形状を変えるほどやわらかくなってしまっているのである。安い。安いのはありがたい。ありがたいがこんなハーゲンダッツはありがたくない。嬉しくない。
あぁ、バナナの叩き売り。お安くなった代わりにハーゲンダッツの価値も落ちてしまっている悲しい安売り。スーパーよ、叩かないであげてハーゲンダッツを。価値をそのままに安くしてください。頼むから。