一泊二日で諏訪大社めぐり 3

ホテルに到着する前に、どこかで酒を買って部屋で飲もうという話になり、その際友人に「部屋はトイレつきだから篭ることになっても大丈夫だ」と朗らかに言われた。己の信用のなさに愕然とした。

そんな心配をしなくてもそこまで飲みすぎることはない! と宣言して、一度部屋に荷物を置いてから近くのコンビニで500mlの缶ビールを二缶、友人はウメッシュと林檎のサワーを一缶ずつ、それとおつまみを購入した。

買出しを終えて部屋に戻るとまだ夕食の時間まで三十分あったので、それまで何をするともなしにぐだぐだとしていた。夕食は七時半から。花火は八時半から。一時間しかないけど大丈夫かな、いや一時間もあれば食べきれるだろ、などとポツポツ話した。夕食の時間になった。

いやー量が多かった。美味しいけれど量が多い。食事会場に移動して、衝立で仕切られたテーブル席に座って食事をしたのだが、来たときにはテーブルが埋まるほどの料理が並べられていて、その分だけで終りだと思って自分は食べていたのだが、空いた下げられた後に追加の皿が出てくる。まだ出てくる。ええーまだ出てくるの!? 苦手な刺身盛り合わせを友人に押し付けて人より一品少ない状態であったのにも関わらず、最後の方に出てきた茶碗一杯のご飯を食べることはできなかった。その前に出た信州蕎麦で十分腹いっぱいになってしまったのだ。

刺身の他にご飯まで追加で食べることになった友人は満腹を超えた状態になったようで、ちょいとばかり悪いことをしたなという気持ちになった。さて、花火である。懸念していたように一時間では間に合わず、三分ほど遅れて部屋に到着したのだが、諏訪湖の上に打ち上げられる花火は三階の窓からとてもよく見えた。でっかい花火が弾けて火の粉が湖上に落ちていく。網戸にした窓から花火大会に合わせて演奏される音楽がかすかに聞こえて来た。良い花火だった。

花火の次のお楽しみは温泉だ。普段ユニットバスでゆっくりできない分思いっきり堪能してやるぞ、と意気込んで一時間ほど楽しんできた。風呂は三種類あって、一つは長湯するのにちょうどいい少しぬるめの風呂、もう一つは江戸っ子が喜ぶような熱い風呂、そして一つは露天風呂だ。しかし、露天と名前はついているものの、高い壁と竹を編んだ囲いで温泉が囲まれている状態になっているため外の景色は見えず、たまに隙間から外気が入ってくる室内風呂といった感じであった。

日中酷使した足を揉んで、たっぷり汗を流して部屋に戻る。夕食を終えて戻ってきた時点で部屋には布団が敷かれていたのであとはいつでも寝ることができる。至れり尽くせりで嬉しいものだ。じゃあお酒でも飲みますか、ってことで冷蔵庫で冷やしておいた酒を取り出し、おつまみを開けて乾杯をした。そういや温泉の効能を見忘れたがあれは何に効く成分が含まれていたのだろうか。無難に腰痛とかそこらへんか?

その日一日のことを話しながら杯を傾けたが、寝不足、満腹、疲労、もともとあまり酒は強くない、というコンボで友人はウメッシュを一缶空けて先に就寝した。うん、今日はたくさん歩いたものなぁ。友人は死んだように眠り、自分はその後一時間ほど経ってから就寝した。朝の五時、友人のセットした目覚まし時計が鳴り響き、しかし友人は目を覚まさず、その後十分ごとに目覚ましが鳴るも友人は起きず、代わりに自分が十分ごとに目を覚まし、結局六時になって自分が起こすまで友人は眠ったきりで、五時に起きるつもりがないのなら五時に目覚ましを設定するのではないと後でつっこみを入れた。

朝風呂につかってから朝食。バイキング形式だったので各々好きなものをとった。自分は洋食で友人は和食。全く協調性のないテーブルはどこか学食のそれのようだ。眠いと言いつつ朝っぱらから豚の角煮を食す友人は元気があってすげぇと思った。



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