未分類0杯, インストアイベント, おそ松さん, 大槻ケンヂ, 非日常

土曜日にオーケンが活躍する仮面ライダーの映画を観て、日曜日に筋少のライブで爆音の中オーケンの歌声と面白MCに心を震わせ、そして月曜日の今日。ROOTS66のイベントでオーケンと増子さんのトークを聴き、大笑いして、さらに握手までさせていただく。こんな幸福を享受してしまって良いのだろうか。

会場はタワーレコード渋谷店のイベント会場。「あれ? タワーレコードが化けた鶴か地蔵を助けたかな?」と思うほど、前回のインストアイベントに続いて素敵な番号を割り振られ、じりじりと待って入場した先には並ぶ椅子と整理番号。椅子の背に整理番号が貼られていて、指定された席に座りましょうと指示される。自分は前から二列目でありつつも、斜め前がちょうど空いていたので視界がすこぶる良好。ちょうどオーケンと増子さんが座る席の空間がぽっかり空いて、非常に見晴らしの良い状況を手にしたのだった。

司会のお姉さんに呼び込まれて登場するオーケンと増子さん。背の高い椅子に座り、おそ松さんのエンディングテーマとROOTS66にまつわるトークを語りだす。その面白いこと! 時間は二十分か三十分か、ごく短いもので、後半で熱く語り止まない二人を司会のお姉さんが制して、それでもなお語りだす、というシーンが生まれるほどゲストの二人は盛り上がって喋っていた。さながらここがロフトプラスワンで、のほほん学校の一幕かと勘違いするほどに。

「おそ松さん」のエンディングを依頼されたとき、最初に歌詞を書いて提出したら「前向きすぎる」「クズニートの話なので」と明るすぎるという理由でダメ出しを喰らったことが新鮮だったと語るオーケンと増子さんが印象的だった。そうか、逆パターンはきっと慣れているのだろうが、「もっと後ろ向きに」と指示されるのは珍しかったのか。

「おそ松さん」そのものの話題は少なく、メインはROOTS66について。ROOTS66でグループLINEを作っていて、そこで歌詞作りをしているのだが、あるメンバーがそのグループLINEに詩を投稿することがたびたびあり、衝撃を受けたと語るオーケンと増子さん。このあたり、名前は出さない方が良いかもしれないのであえてぼかしておこう。

イベントについての突っ込みもあった。今日のイベントに集まったお客さんは、オーケンファンなのか、増子さんファンなのか、おそ松さんファンなのか。我々と握手できてこの人達はいったい嬉しいのか何なのか全く想像がつかないと語る二人。笑う我々。はっはっはっ。ご安心ください。ここに十年越しの筋少ファンのオーケン信者で、おそ松さんのブルーレイを全巻集めているおそ松さんファンがおりますよ。

何と言うか、自分のために開かれたイベントかと思ったね。

MVの撮影はレコーディングの後にわりとあっさり行われた話もあった。絵コンテを見せられていたのでだいたいどんな仕上がりになるかわかりつつも、砂漠やら何やらと言った大げさなスポットに連れて行かれなかっただけ楽だったらしい。いやあ、あのMVはとてもキュートで素晴らしかったね。ちなみに登場順は生まれ順とのこと。故に、「えっ!? いきなり友森昭一!? 格好良いけどいきなりギター!?」と驚く構成になりつつも、うまい具合にはまったそうだ。

面白かったのは、ROOTS66という同じ年に生まれたメンバーが集まったプロジェクトにも関わらず、オーケンが先輩扱いされているということ。早生まれで、尚且つデビューが早かったということで、一世代上の忌野清志郎と同年代かと思っていた、とメンバーに過剰に年上に思われていた衝撃もあったらしい。はたから聞けばびっくりだが、そういうこともあるんだなぁ。

ROOTS66が番組に出た話も。番組の枠は二時間もないのに、ボーカルが集まってトークをする場面で二時間準備され、結局二時間以上話してしまったそうだ。曰く、四十代であればまだギラギラしていて、互いにライバル意識を持つこともあろうが、五十代になるとのほほんと仲良くできるらしい。そして肝腎のトークは下ネタだらけで、しかも司会がリリーフランキーさんだったためリリーさんまで仲間に入り収集がつかなくなり、途中でメンバーのビデオレターが挿入されるもそれも下ネタでそれすら誰も聞いていない、というひどいありさま。アシスタントの女性はしらーっとしていて、いったいどこが番組で使えるんだ、という様相であったと言う。まぁ、楽しそうで何よりです。

ちなみにおそ松さんのエンディングのオファーをもらったときは、そりゃもう喜んで! という勢いであったらしい。オーケンはおそ松さんで赤塚不二夫、仮面ライダーで石ノ森章太郎に関わり、残りは手塚治虫! どのようにオサムシの牙城を崩そうか! と語り、ROOTS66で勝手に「火の鳥」をやってしまってはどうか、という話題が出て、具体的なキャスティングまで話にのぼり、非常に面白かった。

トークの後は握手会で、荷物をきちんと脇に置いて手ぶらで参戦するという厳粛なシステムにドキドキしつつ、頭の中で話したいことを考えたものの、ものすごい早さで流されて行くため言いたいことを全て伝えることは出来なかった。増子さんにはこれを言いたい、と思っていたものの、増子さんに「良いお年を!」と言われた途端頭が真っ白。「ありがとうございます、ありがとうございます」と壊れたテープレコーダーの如く繰り返すしかない機械に成り下がった。

オーケンには何とか想いを発することが出来たがその時間の短いこと! しかしじっと目を見て手を差し出してくれるオーケンのありがたさったら。今回、プレゼントを直接渡すことは禁じられていたため手紙はプレゼントボックスに入れるしかなく、それは残念ではあったが、ぎゅっと握った手のやわらかさは感触として記憶に残った。

そして。そして、だ。「え、もしや」と思いつつ。トークの時も握手会の時も、「あ、これって」と思いつつドッキドッキしていたため確証を掴めなかったが、イベント終了後にタワーレコードがアップしてくれた写真を見て「あ」と確信を得る。おーけんのきているしゃつとおなじやつ、もってる。わあ。わあ。わあ! 本人が買ったかわからない。ファンからのプレゼントかもしれない。でもびっくりした。心臓が爆発するかと思った。いや、もともとオーケンの着ているシャツ良いな、と思って調べてそのブランドが好きになって、それでちょこちょこ買うようになってって経緯だから、ありえる話ではあるのだが。あるのだが。

我ながら気持ち悪いファンだなぁと思いつつ。握手の余韻に浸りつつ。幸福な時を噛み締めたのであった。
あぁ、ありがとう。



日記録0杯, 大槻ケンヂ, 日常

2017年12月9日(土) 緑茶カウント:0杯

どうしてか、これまでの人生で仮面ライダーに触れる機会がなく、一度も仮面ライダーを観ることなく大人になった。わりとテレビは自由に見せてもらえて、アニメもたくさん観て育ったのにどうしてだろう。我ながら不思議に思う。

それはあなたが幼少の頃は、ちょうど仮面ライダーが放送されていない期間だったからだよ、と同年代の方に教えてもらったのが少し前。しかしその同年代の方は仮面ライダーを観ている。曰く、再放送を観ていたらしい。

なるほどなぁと納得しつつ、三十一歳の今、映画館でビールを片手にポップコーンを食べながらスクリーンを見上げる。一つ空けて隣の座席にはパンフレットをくちゃくちゃに握り締めた男の子とそのお父さん。「誰々は出ないんだね、最近ドラマで忙しいからかな」と大人のような口ぶりで話す様子が愛らしい。公開初日だが、十八時開始の回を選んだため人がまばらで過ごしやすかった。ざっと見渡してみるに、時間帯のせいか子供よりも大人の客の方が多いようだ。

さて。何故今、わざわざ劇場に足を運び仮面ライダーを観ようとしているのか。どうして今日、自分はポップコーンを食べながらゆったりした座席に身を沈めているのか。答えは一つ、大槻ケンヂが出演するからだ。

まだ言えないけど、みんながびっくりする情報がそのうち公開されるよ、ともったいぶっていたオーケンからその情報がついに公開されたときの驚きたるや。えっ。えっ? えっ!? どうして、何がどうしてオーケンが仮面ライダーの敵役に? 何でまたオーケンが劇場版仮面ライダーに出演を?

オーケンが熱心に俳優活動をしていたならここまで驚くこともなかっただろう。そう、オーケンは過去にドラマや映画に出演したことこそあるものの、あくまでも職業はミュージシャンで作家なのだ。そしてまた、演技が苦手であることを公言している。故に楽しみであり、心配であり、楽しみであり、心配であった。

とにかく劇場に足を運ぼう、と心に決め公開を待つ日々。オーケンファンであり仮面ライダーファンの方から事前におすすめの仮面ライダーを教えてもらったものの、迷いつつもあえて予習をせずに映画を観ることにした。数回劇場に足を運ぶことは目に見えているので、せっかくなら何も知らない状態で観てみたいと思ったのだ。

あぁ、劇場が暗くなる。スクリーンに映し出される東映の文字と岩を打つ海。初めての仮面ライダー。ほとんど知らない仮面ライダー。いったいどんな映画なのだろう。

まず初めに驚いたのは、この世界には「仮面ライダーの成分」なるものが存在するということだった。何だ仮面ライダーの成分って? 仮面ライダーの成分を抽出し、ボトルに詰め、そのボトルをベルトに入れることで変身できるらしい。仮面ライダーの成分……面白い言葉である。

「仮面ライダーの成分」という耳慣れない不思議な言葉を味わいながらも、わっと心が弾んだのは変身シーンの格好良さ! ベルトを操作することでプラモデルの骨組みのようなものが展開し、ガチャンとパーツがセットされて変身する。これはすごい! 一度でもプラモデルを組み立てたことのある人ならきっとわくわくするだろう。そしてまた、このシーンを観た子供もプラモデルに憧れを抱くに違いない。

それぞれモチーフが異なるだけに仮面ライダーによって演出が全然違うのが面白い。なるほどなるほど、今はバッタの要素はほとんど無いんだなぁ。ゲームがモチーフの仮面ライダーは昔懐かしいスーパーファミコンの操作ボタンのようなデザインが胸を飾り、攻撃をすれば格闘ゲームのようなギミックが出て目を楽しませてくれる。どこかのシーンで一度やられたとき、土管のようなものから出てきてコンティニューが宣言されたときは笑ってしまった。

表情や台詞の一つ一つがコミカルかつオーバーで、子供にもわかりやすく演じているようだ。オーケンの演技が浮かないかハラハラしていたが、うまい具合にマッチしていて安心した。高らかに「ファンキー!」と叫び顔を歪めて笑う白い衣装の最上はライブのMC中にハイになってふざけているオーケンのようで、体の半分を失い、じっとりとした雰囲気を醸し出す青い衣装の最上は特攻服に身を包み、暗い歌をシャウトするオーケンのようだった。

オーケンファンとしては、この二人の最上を観たときに全てが腑に落ちた。「何故オーケンが仮面ライダーの敵役に抜擢されたのか」という謎が消えたのだ。パラレルワールドの二人の最上を合体させることで、不老不死の体を手に入れようとする最上魁星。パラレルワールドの二人の最上の陰と陽。ストーリーが先にあり、大槻ケンヂという人物が適任と見出されたのか、大槻ケンヂという人物から二人の最上が生まれたのか、気になるところである。

個人的に好きなのは二つの地球が衝突しそうになるとき、空に逆さまになったビルが映し出されるシーン。現実であればああいった光景が生まれることがないと予測は出来るが、わかりやすく、それでいて面白い画面になっていてとても好きだ。

かすり傷の描写はあるものの、流血シーンや直接的に人が死ぬシーンは無い。とはいえ、ビルがあれだけ派手に崩れたということは、最上魁星は結構な犠牲を出しているよなぁ。

しかし応援してしまう。最上魁星を。つい。何故ならオーケンファンだからだ。

左の席に座る男の子が、身を乗り出して画面を見つめる姿が視界の隅に映る。きっと拳を握り締め、ライダーを応援しているのだろう。あぁ、ごめんよ少年! 君には悪いが己は最上魁星を応援する! 頑張れ最上!!

応援しつつ思うことは、最上はいったいどうやってあのエニグマを作ったのか、ということ。あの資金はどこから出たのだろうか。そう、あのエニグマも格好良い。地球からぐっと手が伸び、近付くもう一つの地球から伸びる手へ、今か今かと渇望するように指先が伸ばされ、ぐっと握り締められた瞬間の美しさ! 思い出されるのは、劇中で崖から落ちそうになるライダーを助けようと手を伸ばすシーン。二つのエニグマが手を握り合うシーンは人類にとっては絶望的とも言える瞬間なのに、何故こうも美しく、感動的な描き方になっているのだろう。

エニグマの登場にもニヤニヤした。タイミング的に映画が先なのだろうか、十月に発売された筋肉少女帯の新譜「Future!」に「エニグマ」というタイトルがあるのである。呪文のような歌詞が並ぶプログレッシブ・メタル。これがまた妖しく格好良いのだ。

しかし最上の野望は潰える。あぁ最上よ、もっとこう、セキュリティーの方にも気を配っていれば。あんなに簡単に侵入される仕組みにしてさえいなければ。侵入されても勝てると驕ってしまったのだろうか。もっと注意深く生きようぜ最上。

襲撃を受けた白い最上が、ライダー達の心のやわらかいところを抉る攻撃を仕掛けたシーンでは、あぁーやっぱりここはきちんと前作を知らないとわからないなぁ、と惜しい思いをした。しかしわからないながらも、アイスがすごく好きな人と共闘し、再度別れるシーンは感じ入るものがあった。あれはソーダアイスかな……。

派手なアクションと爆炎、格好良く心躍る変身シーンに、数々の武器やアイテム、仲間との共闘。バイクでバッタバッタと敵を轢き倒しながら前進するライダーに対し「あれって乗り物じゃなくて武器だったんだな」と笑いつつ、初めての仮面ライダーを堪能した。面白かった。子供向けの作品だからと言って妥協せず、なるべく子供にわかりやすい言葉やシーンを選びながら物語を組み立てているのが素敵だ。例えばひたすらパソコンのキーボードをうるさいくらいカタカタ叩いているシーンとか。若干不自然にも見えるが、あれは「必死で調べている」ことをわかりやすく伝えようとしているのだろう。もう一つの地球が迫ってくるシーンも子供に「パラレルワールド」をわかりやすく伝えようとした結果の描写に違いない。

もしかしたら、この映画を夢中で観た子供も物語の全てを理解しきれなかったかもしれない。パラレルワールドが何だかわからなかったかもしれない。しかし、好きなものについて知りたい気持ちが自然に起こるように、背伸びをしながら物語を理解しようと齧りつく子供は絶対にいる。だからきっと、ちょっと難しいくらいがちょうど良いのだ。

次回は登場人物の関係図も頭に入れて、もう一度この映画を観てみようと思う。その後はそうだな、おすすめしてもらった仮面ライダーオーズを観ることにしよう。

それにしても研究所を追い出される前の最上の横顔が非常に美しかったことと言ったら。ブルーレイが出たら絶対買おう。うん。



未分類0杯, のほほん学校, 大槻ケンヂ, 非日常

ライムを落としたコロナビールで咽喉を潤しながら開演の時を待つ。今日のゲストは水戸華之介&3-10Chainの水戸さんに、ニューロティカのあっちゃん、そしてメトロノームの写楽さん。見知った顔ぶれの中に一人だけ混じる若い人。そしてこの写楽さんは本日、これでもかと言うほど先輩ミュージシャンの好き勝手な大暴走に付き合わされるはめになったのだった。

拍手と共にステージに現れたオーケンは、最近特撮のライブを終えたことを話してくれた。特撮は筋少とは違い、ドラマーがMCを途中でぶった切って曲に入るため、伏線を張って張って張って、トークの中盤で盛り上がって、さあ畳むぞと言うところで強制的に曲に入ってしまうことが多いそうだ。しかし今回のライブでオーケンは、これはドラマーのアーリーの優しさではないかと気付いたと言う。伏線が回収できないまま終わり、何の話をしてたのかよくわからないキチガイみたいなオーケンこそが良い! というアーリーの思いではなかろうか! とのことだ。……なるほど!! ……それで良いのか……?

最初のゲストは水戸さんで、水戸さんを招く前にオーケンがふざけて「まさかオーケンにこんな人脈があったのかと皆が驚く人が!」「のほほん学校初の!」と煽りに煽った挙句、普段のほほん学校でゲストを招く際に流れる、通称「のほほん学校のテーマ」もないままふつーにステージに招かれる水戸さん。「入りづらいわ!」と笑いながら苦情を呈していた。

そうしてやってきた水戸さんに間髪入れず内田さんの近況を聞くオーケン。「もう何十年も会っていない」と冗談を交えつつ質問するオーケンに、水戸さんは最近内田さんとテクノユニット「Zun-Doco Machine」を始めたことを語る。そこから内田さんの集中力がすごい、しかし遊びにしか発揮されない、故に水戸さんの曲をテクノに作りかえる作業については、始まりが遊びであったため寝食を忘れて没頭し二十曲作ることができるが、筋少は遊びでないのでその集中力が発揮されないと語られる。そこにオーケンが橘高さんによる内田評を思い出して続ける。「内田は金では動かない、名誉でも動かない、あいつは友情で動くんだ!」と熱い言葉。それに対して水戸さんが「ジャンプだ!」と笑い、オーケンが「ちょっと待ってくださいよ、今うちのメンバーの四分のニがディスられましたよね?」と返し、最終的に橘高さんに「関西ジャンプ」という二つ名がついた。

ちなみにオーケンは金でも名誉でも動かず、ただ一つ「リア充になるため」であれば動くらしい。そのリア充とは「生きている実感」とのことで、それがないと死んだようになってしまうと言う。なるほどとばかりに水戸さんが「働かないと死ぬんだね」と言うと頷くオーケン。「でも働きすぎると体壊すんだね。よくずる休みしてるもんね」と言えば参ったとばかりに笑うオーケン。このポンポンと進む掛け合いがたまらなく面白い。

内田さんの近況の後はオーケンの近況へ。オーケンは最近アートにはまっているとのことで、ライブのリハーサルから本番までの空き時間に渋谷のBunkamuraなどの美術館や博物館に行くと言う。そういった会場で見た衝撃的なアートの写真(写真撮影可)がスクリーンに映し出されて我々観客に共有された。空き缶らしきものを全身に括りつけた人物、タイ米を皮膚全体に生やした人の接写写真、会場一面が数々の布で敷き詰められた観客参加型のアート。確かに衝撃的かつ不可解ではあったが、意味や意図を分離して衝撃的光景のみ切り取って見せるのは、そりゃあ意味不明で面白いものになってしまうよなぁ、とも思った。

この後には高崎のイベント「SLOW TIME MEETING 2017」にオーケンが出演した話に。出演者が何人もいて、一人ひとり順番にステージに立つ形式だったそうなのだが、中川敬氏が出ているときにべろんべろんに酔っ払ったトモフスキー氏が「彼は寂しいに違いない!」と言い出して、ピンク色のキャリーケースをパーカッションとして使い、セッションしようとしてステージに出て行こうとしたという。オーケンはそんな彼を止めようとしたが止めることができず、歌う中川氏の横でピンクのキャリーケースを叩くトモフスキー氏、音が聴こえるようにわざわざキャリーケースにマイクを近づける主催者、そんな彼らをステージ袖から撮影するオーケン、という不思議な構図が出来上がってしまったそうで、その写真が公開された。アート(?)な写真であった。

そうしてわいわいはしゃぎながら招かれた二人目のゲストはニューロティカのあっちゃん。入場するなり始まったのは毛生え薬の話題で、話によるとあっちゃんは毛生え薬を処方してくれる病院に行った結果髪がふさふさになり、最近パーマをかけたそうだ。そこから薬の話で盛り上がり、今話題の芸能人のあれやこれやの話に飛び火し、危ない話で結構盛り上がった。ちょっとハラハラしちゃったぜ。

三人目のゲストはメトロノームの写楽さん。オーケン達とは一回りほど年下で、故にこの三人に囲まれたトークでいったいどうして彼が主導権を握られようか! 写楽さんの出身地やメトロノームが活動休止から復活に至る話を聞こうとするも、お喋り好きのふざけた大人が大笑いしながら話題をあっちに飛ばしこっちに飛ばしと大盛り上がり。面白い。面白いが、当人はものすごく喋りづらかろうなぁと思った。

宴もたけなわとなったところで、オーケン、水戸さん、あっちゃんの三人で松山千春の「長い夜」をカラオケで代わる代わる歌い、誰が一番千春魂を持っているか判定してほしい、と写楽さんに無茶振りをする。そして熱唱する三人の先輩ミュージシャン。それを見つめる写楽さん。そんな写楽さんに「拷問を受けているような顔をしている」と水戸さんによる的確な発言。確かに!!

最後に吉田拓郎の「落葉」を四人でセッション。そこでオーケン、「写楽くんが寂しいと思って!」とやにわに取り出したるは緑のキャリーケース! 即座にケースの近くに設置されるマイク! そして写楽さんがギターを爪弾き、オーケンがキャリーケースをポコポコ叩き、水戸さんとあっちゃんが熱唱するも途中で手が痛くなって叩けなくなるオーケン、キャリーケースの周りに集まり代わる代わるポコポコ叩く水戸さんとあっちゃん。結果、ステージの隅でギターを弾く写楽さんと、その反対側でキャリーケースを囲みながらポコポコバンバンキャリーケースを叩きながら気持ち良さそうに歌う三人のおじさんという構図が出来上がったのであった。

大盛り上がりの中でのほほん学校は終了。演奏終了後に写楽さんは次回のライブの宣伝をして行ったが、その甲斐があったのだろうか。その成果はわからぬが、きっと多くの人が今日写楽さんに対し、オーケンが言ったように母性本能をくすぐられたことだろう。いつかこの逆パターンの構図も見てみたいものである。先輩ミュージシャンに囲まれ無茶振りをされるオーケン。それはもう、オーケンファンなら実にくすぐられることだろう。きっと。



日記録2杯, 大槻ケンヂ, 日常

2016年8月18日(木) 緑茶カウント:2杯

言ってしまえばたったの数日だ。たかが数日憂鬱が続いているにすぎない。しかし辛い。しんどい。空腹感はあるのに食欲がなく、眠りたいのに眠れない。

どうにかこの憂鬱を緩和すべく、黙々と本を読んだり、深呼吸をしたり、新明解と三省堂の辞書の引き比べをして語釈の違いを楽しんだり、筋肉少女帯人間椅子のライブブルーレイを観たり、好きな音楽を聴いたり、友人にしんどさをこぼしたり、シン・ゴジラのチケットの予約をして先の楽しみを作ったり、アニメを観たりしたが、束の間楽になるも、動けない。座り込んだまま何も出来ない。

そんなとき。オーケンのオフィシャルLINEスタンプが発売されたことを知った。LINEはやっていないが、見てみようと思ってページを検索した。そこには見慣れたオーケンネコがいた。オーケンがいつもサインに描き添える猫の絵。あぁ、これを一つ一つオーケンが手描きしたんだなぁ、と思うとほわりと癒され、ちょっと楽になったところに、ある一つのスタンプが目に入り、その言葉を飲み込んだ途端、比喩でなく、ドバッと目から涙が溢れた。

「おはよう 晴れでも雨でもいい日だよ!」

しばらくそのまま涙が止まらず流れ続け、あぁ、自分は結構参っていたんだなぁと知った。

こんなものは受け取り手の問題だと言ってしまえばそれまでだが。どうしてオーケンはいつも、己が欲しいときに欲しい言葉をくれるのだろう。まるで巌に染み入るようにここ数日抱えていたしんどさが溶かされていくのを感じた。覚えている。このスタンプはオーケンが声帯手術を受けた後、声を満足に出せない時期に描いたものだ。何とはなしに書いた言葉かもしれない。しかし、思ってしまうのだ。つい。どんな想いからこの言葉が出てきたのだろうと。そうしてもう一つ思い出すのだ。かつてエッセイでオーケンが、長年不定愁訴に苛まれていることを語り、「いつか霧が晴れたように、気分爽快な朝が来ればいいな」と呟いていたことを。

そのオーケンが「おはよう 晴れでも雨でもいい日だよ!」と。

泣き終えると気分はずっと楽になっていた。明日からはどうにかなるかもしれないと思えるほどに。

大丈夫。きっと、晴れでも雨でもいい日だよ!


大槻ケンヂ オフィシャルLINEスタンプ


未分類2杯, 大槻ケンヂ, 非日常

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オーケンが声帯ポリープの除去手術を受けたのは五月の上旬で、己が最後にオーケンの歌声を聴いたのは四月二十三日の筋少ライブ。たったの三ヶ月ちょっとしか経っていないのに、オーケンの歌声を聴けるこの日を随分久しぶりに感じたのは、きっと不安もあったのだろう。

オーケンは時折歌いづらそうにしている場面もあったが、耳馴染んだ歌声とおっとりとした話し声はまさしく己が待ち望んでいたもので、ジーンと感動……するはずだったのだが、サービス精神たっぷりのトークと曲中の仕掛けでゲラッゲラ笑ってしまい、ごく単純に「あー面白かったー!」と非常に楽しい気分でライブを終えたのだった。

よって曲目は覚えているが曲順は覚えていない。最初の「タンゴ」「蓮華畑」「生きてあげようかな」と、本編ラスト、アンコール、ダブルアンコールだけは確かである。あとはもうわからなくなってしまった。


タンゴ
蓮華畑
生きてあげようかな
あのさぁ
アザナエル
おやすみ-END
揉み毬
氷の世界

ロマンティックが止まらない(水戸さん&うっちーテクノユニット)
100万$よりもっとの夜景(水戸さん&うっちーテクノユニット)

日本印度化計画~踊るダメ人間(短縮メドレー?)
愛のプリズン
混ぜるな危険
guru
蜘蛛の糸
香菜、頭をよくしてあげよう

~アンコール~
週替わりの奇跡の神話

~ダブルアンコール~
オンリー・ユー(オーケン、水戸さん、うっちー)


オーケンが声帯の手術を受けると知ったときは、今年はイベントやライブも控えめになるのだろうなと思ったものだが、復帰後怒涛のようにスケジュールが追加されていき度肝を抜かれた記憶も新しい。とはいえ今もオーケンはリハビリ中とのことで、高い声を出すのに難儀しているそうだ。筋肉少女帯の歌を歌えるか不安を抱いているようで、今日のライブでもポツポツと心情を吐露していた。

声が出せなかった期間はやはりつらかったそうだ。声が出せるようになったときは夢から覚めた心地であったと言う。改めて、気持ち良さそうに歌うオーケンを観られることを嬉しく思った。オーケンはたびたび、自分は表現がしたくてロックを始めた人間で、音楽がやりたくてロックを始めたわけではないことを様々な場面で語っている。その印象が強いためか、三十年以上ステージに立ち歌を歌い続けている人であるにも関わらず、オーケンが「歌が好き」であることを己は意識したことがなかった。だからオーケンが歌えないことがストレスだった、歌えることが嬉しいと語るのを聞いて驚いた自分がいた。同時に、驚きを感じる自分についても驚いた。

そういえば、オーケンが「歌が好き」「歌うことが好き」とストレートに語る場面を己は見たことがなかったかもしれない。だからこそ尚更、「好き」と語るオーケンに意外性を感じると共に、何だかむず痒いような可愛らしさを感じたのだった。いいな、と思った。

譜面を前に、アコースティックギターを抱え立ったまま歌うオーケン。今日のライブハウスは椅子席と立ち見席が混在していたため、立ち見の客を慮ってずっと立ったまま歌ってくれたのである。おかげで立見席の自分もオーケンの姿をしっかりと捉えることが出来た。この心遣いが嬉しい。

さらに、立ち見の客のために「ゼリーを撒いて、ゼリーの中でぷかぷかできるようにする」「天井から紐がぶらーんと垂れてきてそれに捕まる」「小学校とかに置いてあるさすまたでお互いを支え合う」などなど、素晴らしいアイディアを出して大笑いさせてくれた。個人的にはゼリーの中をたゆたいたい。

今回のライブでは、一曲一曲にまつわるエピソードや豆知識を歌った後に語ってくれた。「蓮華畑」は仮歌のタイトルが「蓮華畑」で、それをそのまま採用したとのこと。こういうことはたまにあるそうで、問題曲「ドリフター」は内田さんか別の誰かが歌っているのを聴いてそれを歌詞に採用したそうだ。また、「アザナエル」は仮歌の段階で歌詞があり、それをもとに今の歌詞に書き換えたのだが、元の歌詞にあった「放浪」の部分が残されているという。

「生きてあげようかな」では、演奏中、語りに入ったところで「このあたりからわからなくなるんだよね」と言いつつ、わざとらしく思い出し思い出ししながら語るというパフォーマンスも。ちなみに今度発売されるベスト盤に収録される新曲二曲のうち、一曲は「生きてあげようかな」に近いテイストとのこと。楽しみである。

「あのさぁ」では、「お客様の中にユニゾンできる人、コーラスできる人はいますかー?」という呼びかけの後、皆で「あのさぁ、あのさぁ、あのねぇ、あのさぁ」を歌う場面も。「あのさぁ」の「さぁ」は短く切り、「あのねぇ」はいやらしく、という指示が出され、オーケンも「あのねぇ」の場面で顔を作っていやらしさを出そうとしていたようだった。いやらしくはなかった。

曲にまつわるエピソードと言うと、聴き手側は「自分が聴いた状況や環境」が結びつくことが多いが、作り手は「その歌詞を書いていた場面」が印象に残るそうだ。「おやすみ-END」はアルバム「レティクル座妄想」のジャケットを描いてくれた友人の死の後に、友人のことを思いながら描いたもので、書きながら見ていた空の景色が思い出されると言う。

「揉み毬」からスパブームの話へ。一時期スパにはまっていたことがきっかけで「揉み毬」ができたという。ただ、スパに通ううちに「自分は男性の裸を見るのが苦手」であることに気付き、足が遠のくようになったそうだ。あと、風呂場で全裸の状態で従業員に「大槻さんのおかげで救われました!!」と熱意をぶつけられるも全裸ゆえ身の置き所がなく困ることがあったことも原因の一つだと言う。そりゃあなぁ……。

中盤あたりで、ゲストの内田さんと水戸さんが登場! チケットをとったときは水戸さんの出演は決定しておらず、ステージで観るまで水戸さんがゲストであることを己は知らなかったので、これは嬉しいサプライズだった。写真を見返してみれば看板にもきちんと記載されていたのに気付かなかった。まさか二週連続で水戸さんの歌声を聴けるなんて! 今日は何て豪華な日なんだろう!

内田さんはクラフトワークを意識した赤いシャツと黒いネクタイ、水戸さんは電気グループを意識したラフな格好、そして内田さんの機材はMac。そう、まさかの! 100曲ライブでも披露してくれたテクノをやってくれるのである! 今日も!

テクノ談義で盛り上がりつつオーケンは退場し、ゲストの二人だけがステージに残される。テクノ……と言うと100曲ライブ用に作った二十曲しかないはずで、それは全部水戸さん持ち歌のはずである。対バンならともかく、ゲストとして登場して主催者もいないまま自分の曲やるってかなりアウェーじゃないか……? 大丈夫だろうか……? と思っていたら案の定水戸さんも不安に思っていたらしく、3-10でカバーした「ロマンティックが止まらない」で盛り上げた後、自分の曲を始める前に前置きを入れまくっていた。

しかしアウェーも何のその。軽快な音楽と力強い熱唱で思いっきり盛り上げてくれたのである。格好良いなぁ!!

内田さんと水戸さんが退場するとオーケンが入場。このあたりだったかな。長年歌ってきたせいで歌い飽きている「日本印度化計画」と「踊るダメ人間」を端折りつつ繋げてやって、あたかもフルでしっかり歌ったような顔をして「たっぷり歌ったぞう!」と冗談を飛ばして観客を沸かせた。

「蜘蛛の糸」が聴けて嬉しかったなぁ。この曲がオーケンを知るきっかけになったので、とりわけ思い入れがあるのだ。だからこそこの日、改めて「蜘蛛の糸」が聴けたのは感無量だった。

「第二章」についての言及も。ある日、ライブで歌ってみようと思って久しぶりに「第二章」を聴き直したところ、自ら作った歌詞ながら「そういうことしちゃだめだよ!」とびっくりし、現在は封印しているらしい。歌詞の少年が更生したら封印が解かれるかもしれないそうだ。

本編最後は「香菜、頭をよくしてあげよう」。この曲の最後の「一人でも生きていけるように」が高くいため声を出しづらいとオーケンは語った。そうして前奏を爪弾き出す。自然、ドキドキしてしまう。そしてついに問題の箇所に差し掛かった。出た!

見事オーケンは歌いきり、会場は拍手で包まれた。ほっとした。やっぱり、嬉しいものだなぁ。

アンコールでは練習中の曲だから、という前置きをして「週替わりの奇跡の神話」。これの「不変の」も声が高く、なかなか難しいそうで、オーケンは何度もやり直して歌いきろうとしていた。

ダブルアンコールでは、ゲストの内田さんと水戸さんと三人で「オンリー・ユー」。数年前の水戸さんのライブ「不死鳥」でオーケンがゲスト参加したときにオーケンと水戸さんが歌った曲である。あのときはエレキだったが、今回はオーケンのアコギでゆったりと。思えばオーケンの弾き語りをこんなにじっくりたくさん聴いたのは今日が初めてだ。トークイベントで数曲聴くことはあるもののそれも頻繁にではない。だから尚更びっくりした。いつの間にか、人を交えて弾き語れるほど上達していたのだなぁ。すごい。

何年か前まで、全く楽器が出来なかったのが嘘のようである。同じように数年後、声帯ポリープの手術を受けた日が遠い過去にしか感じられない日が来れば良い、と思ったのはライブハウスを出て電車に乗って家に帰って風呂に入って人心地ついた後で、終わった直後はひたすら楽しく、面白かったー笑いまくったー最高だったーという感想しかなかった。オーケンと水戸さんのトークの勢いと面白さは留まるところを知らない。特に二人のMC談義の聞き応えは素晴らしかった。

あ、そうそう。ついにこの日チェキを買ってしまった。二枚。大事にとっておこうと思う。ふふふ。