どこへでも行ける切手 初期アルバム 1st〜8th曲限定ライブSP (2009年11月8日)

筋肉少女帯ライブ、「どこへでも行ける切手 初期アルバム 1st〜8th曲限定ライブSP」に行ってきたー! 今回はさぁ、行かない予定だったんだけど、だったんだけど、だったんだけど来てしまった。以前の2daysで充分かと思いきや、2daysのMCで「曲に関するコメントはCCレモンまでとっておこう」と出し惜しみされて興味をそそられ、ライブタイトルでもある「何処へでも行ける切手」をやっぱり聴きたいというのもあり、定額給付金もいただいたし、と理由をつけて参戦した。
例の如くセットリストはきちんと覚えていない。頑張って覚えようとするのだがあまりの楽しさにぶっとんでしまう。しょうがないな!
黎明
モーレツア太郎
最期の遠足
23の瞳
ソウルコックリさん
(日本の米)
イタコLOVE〜ブルーハート〜
オレンジ・エビス
マタンゴ
詩人オウムの世界
きらめき
風車男ルリヲ
人生は大車輪
世界の果て〜江戸川乱歩に〜
イワンのばか
(おサル音頭)
じーさんはいい塩梅
夜歩く
愛のリビドー〜性的衝動〜
スラッシュ禅問答
ノーマン・ベイツ
パブロフの犬
踊るダメ人間
〜アンコール〜
GO! GO! GO! HIKING BUS
釈迦
何処へでも行ける切手
今回のライブはDVDに収録することもあってか、コント的なMCやサプライズなどが盛りだくさんで楽しかった。いやーまさか、ロックのライブでおばちゃん達による音頭のステージを観ることになろうなんざ思わなかったよ。笑ったなー。
さて、ライブ会場は元渋谷公会堂、現C.C.レモンホール。駅から徒歩で十三分とサイトには書いてあったが途中道に迷って倍近くかかってしまった。それでも無事開場三十分前には到着したので余裕を持って家を出て本当に良かったと思う。電車に乗っている最中にタオルを持ってこなかったことを思い出し、一度家に引き返して二十分時間を無駄にしたというのに尚余裕があったというのだから、こいつよっぽど楽しみでしょうがなかったんだなと思っていただけることだろう。その通りです。
公演後は混みあいますので今のうちに物販をどうぞ、と親切なアナウンスがあったので開場を待つ間に物販を見に行った。新しく出たTシャツとパスケースを買おうと思っていたのである。シャツは筋少公式サイトでデザインを見たときに「怪しくてかっけぇ!」と気に入っていたのだが、その後ネットをぶらぶら見て回ったら散々な評判で笑った。なんだよなんだよ。月光蟲っぽい怪しさがあっていいじゃないか。
シャツは半袖の二つのうちどちらにしようか迷ったが赤い方を購入した。ネットで見たときには黒地のシャツの方が色合い的にも気に入っていたのだが、人の顔の上に虫がズラズラ描かれているデザインを見たからにはこれを選ぶしかない。筋少のロゴも小さいので普段着には…どうかなぁ。生憎パスケースの方は店頭に並んでいなかった。今持っているパスケースがバッキバキになっているので新調したかったが無いのならしょうがない。ところが、後になってパスケースを買えなかったことで助けられることになる。
ようやく開場である。毎度のことだがこの待ち時間がいつも暇でしょうがない。このときだけは知り合いや友人と連れ立ってライブに行く人々を羨ましく思う。つっても一人で観るのも気楽で楽しいんだけどね。
チケットをちぎってもらい、ごく簡単な荷物チェックをされて会場内に入ると中にも物販のブースが三つ設けられていた。一つは筋少のCDとDVDのブースで、残り二つはオーケングッズと橘高グッズのブースである。今回は指定席で別に急ぐ必要はないのでなんとなーく全部のブースを眺めて歩いた。へー、オーケングッズの中には靴下なんてものもあるのか。橘高グッズのアクセサリーはすごいなぁ、………お?
そこにはずっと欲しいと思っていた、橘高文彦デビュー二十周年記念アルバム「NEVER ENDING STORY」が並べられていた。二枚だけ。おおおおお!! これ! タワレコで注文しようとしたら取り寄せできないって言われたんだよ! それで前の2daysのときに物販で売ってないかなと思って見てみりゃ二日とも置いてなくて、それなのに、わー! 出会えたー!
この時財布には四千円と小銭が少ししか入っておらず、もしもパスケースを買えていたらCDを購入することはできないでいた。いったい何がどう転ぶのか世の中わからないものである。もちろん迷うことなく購入し、おまけで橘高文彦サイン入り生写真もいただいた。嬉しいがこういう写真ってどうすればいいんだろう。友人知人や家族の写真を閉じているアルバムに一緒に入れたら変だよな。
思わぬ戦利品を喜びながら座席につく。ホールライブでは初めての一階席で、上手側の方だった。いつもは下手側から中央あたりにいることが多いので珍しい位置である。ライブハウスと違って座席が階段状になっているため、背が低くても見やすくて良いなと嬉しく思った。
開演予定時間を十五分過ぎた頃、フッと照明が消えて会場内が暗くなり、エディがステージに現われた。座席についていた観客が拍手をしながら立ち上がる中、エディがピアノを奏で始める。黎明だ。歓声を上げていた観客もエディの演奏に聴き入って静かになり、ピアノの音だけが耳に届く。アレンジが加えられているのかCDの黎明とはちょっと違うようだ。そして演奏が盛り上がり、エディ以外のメンバーもステージに現われて準備完了。間髪入れずにモーレツア太郎に突入した。かっこいいなぁ!
ところが次の最期の遠足で初っ端からオーケンが入るところを間違えたのか、歌と演奏がずれまくってえらいことになった。この後、最期の遠足以外でも何度かずれることがあり、「ん? ん? あれ?」と違和感を覚えることがあった。今まで観たライブではオーケンの歌詞間違い、すっ飛ばしはあったものの、こういうことには出くわしたことがなかったのでちょいとばかり驚きつつ心配になった。
MCでオーケンが、演奏がいらないような馬鹿な曲があると言い出し、観客が「えー」と抗議し、そのまま演奏なしで日本の米の一部をオーケンと観客で交互に歌い、やっぱりいらないよと観客を納得させて笑いをとった。そして「そんなくだらない曲はやらなくていいよね」「やってほしいのかい?」と観客を煽り、ギターを外したおいちゃんに話を振ってイタコLOVEに入ろうとしたのだが、この時オーケンは「おいちゃん、何でマイクを持っているんだい!?」と言ったのにおいちゃんがギターを外しただけでまだマイクは持っておらず、噛み合っていなかったのでわざわざやり直した。コントである。
ソウルコックリさんでは前のライブのようにオーケンが間奏から後半に入るきっかけを忘れて演奏中の内田さんに尋ねるということはなかったが、間奏中にオーケンが手拍子で「エ・ディ・イ! エ・ディ・イ!」とエディコールを始め、それがまたドラムとの不調和が甚だしく、どうやって手拍子をしつつリズムに乗ればいいのだと軽く混乱し、流石オーケンだなと思った。
きらめき中に前の客が不思議な振りをしているなと思ったらエディが片手を掲げて左右に振り、もう片方の手を腰に当ててくねくねと不思議な踊りを披露していた。今までエディが踊るという話は聞いたことはあったものの、自分がよくいる位置からでは大抵エディは見えづらかったので今回初めてそれを見た。ホールライブっていいねぇ。
風車男ルリヲに入る前、アコギを持ったオーケンが突然、筋少以外の曲を少し弾く、だけれどもきちんと弾けてしまったら怒られるのでDVDには収録されない、原形がわからなければカットされずに入ると予告し、舞台袖に引っ込んでいた橘高さんをわざわざ呼び出してSmoke on the waterをたどたどしく演奏した。あとの曲は自分が原曲を知らなかったためどんな出来具合だったのかわからなかったが、倒れている橘高さんを見る限りDVDには無事収録されそうな様子であった。
イワンのばかの終了後のことである。オーケン以外のメンバーがステージからいなくなることはあるが、メンバー全員がステージからいなくなってしまった。え、まさかもう本編終了? 楽しすぎて時間が飛んだのか? と驚いているとパッと会場が明るくなり、「五分間の休憩です」とアナウンスが入ってずっこけるかと思った。
いやー、まぁ、うん。オーケンも休みたいだろうし、観客も疲れるだろうし、これからもライブを続けていくために編み出した一つの手法というやつなのかな。でもロックっぽくないよなぁと思いつつ、ちょうどいいからセットリストのメモでもしとくかと席について鞄を開いたら、ステージに着物を着たおばちゃんが六、七人くらい現われた。
目の前の光景を理解できず、何だこれはと思っているとおばちゃん達の後ろに紅白の幕が下りてきて、陽気な音頭が流れ始めた。おサル音頭である。
筋少すげー。
ロックバンドのライブ会場が一転して温泉旅館の大広間である。誰がこんなことが起こると予想できただろうか。未来予知でもできない限り誰にも考えられないだろう。気付けば観客は立ち上がり、音頭を踊るおばちゃん達に手拍子を贈っておサル音頭を大歓迎していた。すごいサプライズだった。
おサル音頭が終わっておばちゃん達が退場すると入れ替わりで筋少メンバーが現われた。そして、次の三曲は座って聴いてください、そして三曲目のラストで感動した顔をしながら拍手をしつつ立ち上がってください、と指示が出された。わっはっは。こういうのが筋少らしくていいなぁ。どうせこの指示出してるところもDVDに収録されるんだから好きだなぁ。
こんな大げさなことをさせるということは絶対に三曲目は「これで感動かよ!」とつっこみたくなるような曲だろうなと思ったら案の定愛のリビドーだった。ここで本当に感動的な曲を持ってきちゃあつまらないもんなぁ。それは置いといて、ノリノリで飛んだり跳ねたりしながら聴くのも楽しいが、こうして座席についてゆったり聴くのも良いものだ。いつかアコースティックライブとかでこんな風にやってくれんかな。
そうして一休みしたと思ったら怒涛のスラッシュ禅問答、ノーマン・ベイツ、パブロフの犬、踊るダメ人間のハードなナンバーがぶっつづけ。うおおおおおおお! 正直最初のスラッシュでは休んだ直後で体がついていかんかったが、しかし楽しい! かっこいい! けど何かずれてるぞ! 大丈夫か? 大丈夫なのか?
ずれるだけでなく今日は音がおかしかった。GO! GO! GO! HIKING BUSのときに一番それを感じたのだが、オーケンの声が演奏とごっちゃになって歌として聴こえないのである。特にがなるような歌い方のときは非常にわかりづらい。C.C.レモンホールは音響がよくないと事前に聞いていたため、それによる思い込みかとも思ったが、うーん、これは明らかに変だよなぁ。もったいない。
GO! GO! GO! HIKING BUSのアウトロ中に「けっこういい人だったから!」の台詞になってそのまま釈迦に入るのは新鮮だった。こういうのって前にもあったっけ。定番ながらも定番だからこそ盛り上がり、オーケンのMCを挟んで今日のメイン「何処へでも行ける切手」に入る。CDではゆうるりとした印象の曲だったが、心臓と胃袋にズンズンと音が響いて、これはこんなに迫力のある曲だったのかと感じた。
他にMCでは、膳場貴子アナウンサーは筋肉少女帯のファンで、ニュース番組の中で「23の瞳」というコーナーがあるが、名前は筋少からとったという話をオーケンが本人から直接聞いた。仲直りしたけどメンバー間の会話が少ない、この間のOTODAMAでは、おいちゃんとは「○○ってラーメン屋に行った?」「行ってない」という会話しか交わしてない、うっちーとはプロレスの話しかしないからもっと昔みたいにいろんな話をしよう。オーケンが橘高は一人で喋ってると言うと「それじゃ俺変な奴じゃん!」と橘高さんが言ったが、他のメンバーも「そうそう」と頷いた。オーケンとエディが二人で話していると遠くから橘高さんが「それさー!」と会話に参加してくるらしい。それらについて橘高さん曰く、きっと寂しいんだよと。
オーケンがメンバーで円陣を組んで手を重ねて「筋少、オー!」というのをやってみようと言い出し、実行するも各々の手と手の間に三センチの隙間が空いていて、結局「いまいちだね」という結論になったのがおかしかった。
筋少も昔は腐女子的な見られ方もしていてやおい本も出されていたが、ついに「今年のコミケには筋少のやおい本がありませんでした」とファンから伝えられたそうで、「それはそれで寂しいな」と橘高さんが言っていた。ちなみに人間椅子はまだあるらしい。どうでもいいが何の説明もせずに「腐女子」「やおい」という単語を出して当然それが観客に伝わると思うのも、伝わってしまっているのもなんかすげぇなと思った。
アンコールではオーケンはターバンを外してソロのときに使う帽子をかぶって出てきた。服装はオーバーオールならぬサロペットという、なんかオーバーオールをお洒落にしたようなやつで、内田さんもそれを着ていたためオーケンが指差して「お揃いお揃い」と言っていた。
曲の思い出ではモーレツア太郎に入る前、若い頃のオーケンは客の女の子の胸を掴んで「おー! もーれつぅ!」と言わせていた。オレンジ・エビスは元はオレンジ・ペニスという曲で中指を立てながら歌っていたが、今はそんなバンドとは対バンしたくない。イワンのばかは橘高さんが曲を持ってきたらオーケンがすぐに気に入り、即座に「イワンのばか」とタイトルをつけた。しかし実はシベリア鉄道はロシアを走っていない、などなど。山中湖が話題に上ることが多かった。
また、ステージの壁には八枚のアルバムジャケットが印刷された幕が下ろされていて、演奏中の曲が収録されているジャケットがライトで照らされるという格好いい演出があった。そしてオーケンは八枚のジャケットを見ながらしみじみと「馬鹿なジャケットばかりだ」と呟いた。
おサル音頭のサプライズ、ルリヲ前のオーケンのギター、座ったままで聴くトークショーのようなMCと、今回は「いつもと違う」演出が多々あって面白かった。ライブ中には無我夢中であるためいろいろと忘れてしまう分、DVDが発売されたらじっくり見たい。ずれっぷりや音響が気になるものの、今から発売が楽しみだ。
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