水戸華之介&3-10Chain 「セカイガマッテイル」 (2010年1月19日)





水戸華之介&3-10Chainのサードアルバム「セカイガマッテイル」をAmazonで購入した。こいつが好みの直球ど真ん中! 今日届いたばかりだってのにエンドレスリピートで何度も何度も聴き返している。おかげでなかなか風呂に入るタイミングを掴めなかったほどだ。

3-10Chainからはオリジナルアルバムが四枚、ライブ盤が二枚組みで一セット出ているが、持っていたのはオリジナルアルバム四枚目の「ロケットが飛ぶだろう」とライブ盤「鶴亀」のみ。ファーストとセカンドは手に入れたいが現在廃盤で手に入れる術がないためレンタルのみで聴き、「セカイガマッテイル」は販売中ではあるがCDショップでの取り扱いはなくネットでしか買えない状態である。基本CDはタワレコで買うことにしているためなかなか手を出す踏ん切りがつかなかったのだが、つーのもダンボール捨てるのが面倒臭いという大変物臭な理由なのだが、ついにようやく手に入れた。

曲の半分はライブ盤にも収録されていて、残りのいくつかも年末に行ったライブで聴いていたため既に聴いたことのある曲が多かったのだが、これがなかなか面白かった。ライブ盤にはライブならではの良さがあるがスタジオでレコーディングしたものに比べればどうしても音が悪くなる。ライブ盤で耳馴染んだ曲をこのCDで聴いたとき、まるで白黒テレビからカラーテレビに移ったような感動を覚えた。特に一曲目の「生きる」は出だしが右耳のみからのギターで始まり、そして左右両方から音が重なってドラムが入ってコーラス、ってところがだんだん音が増えて厚みを増していくようで、これからどんだけ格好良くなるんだろうとすごくワクワクした。

このアルバムは全体的に賑やかで騒々しくて激しい曲調で、3-10Chainの中では一番ロックっぽさが出ているように感じる。ロックったって自分の中でのロックだけどね。せっかくだから中でも特に気に入った曲の感想を書いていこう。

「生きる」 …ライブ盤で聴いたときからかなり気に入っていた曲。「生きろ」でも「生きて」でもなく「生きる」と自分に対して言い切っているところに、どうしようもないやり切れなさと、それでも進んでいこうという決意を感じる。さっきも書いたが出だしが滅茶苦茶格好いい。アルバムの一曲目にふさわしい期待高まる曲。

「ハーイここまで」 …歌詞中に虫が出てくるとそれだけでその曲を好きになる傾向がややあるのだが、そいつを抜きにしても良い。初めて聴いたのにものすごく耳に残った。メロディが好みのタイプ。途中のドラムがダダダダダッっていうところがまた好きだ。

「看護ロック」 …ライブ盤で気に入った曲。ライブ盤の方が少しテンポが速い。最後のドアの閉まる音が、社会から断絶され「私は平気」と唱えながら一人看護に明け暮れていることを表しているようで怖い。

「D.K.H」 …3-10Chainで唯一の内田さんの作った曲。すげー格好いいのに歌詞が馬鹿で笑える。勢いがとてつもなく、わけのわからないお祭り騒ぎの中で暴れまくっているようで面白い。一言「落ち着け」と言いたくなる曲。ライブ盤は下ネタが含まれるのでこっちのが好きだな。

「アップルティーをもう一杯」 …このアルバムで一番好きな曲。タイトルから勝手に静かなしっとりした曲を想像していたのだが見事に正反対だった。しりとり部分の言葉の選び方が毒々しくて良い。この毒々しさをストレスに効くアップルティーで癒そうという歌詞なのだが、そのアップルティーの効果ってのも所詮まがい物というオチが着く。腹がガブガブになるほどアップルティーを飲んで、元々のストレスとアップルティーの両方にうんざりしている様が目に浮かぶようだ。「なーなななーなななななーな」「アップルティー!」のコーラス、最後の水戸さんの伸びに伸びるシャウト、途中で挟まれるカウベルらしき軽快な音と聴き所がたっぷり。ところで「闇マント」の末尾が別の音に聞こえるのだがこれはわざとなのだろうか。いやでもしりとりだし、無いかな。

「サイのように歩け」 …サイの悲しい歩みを表現するような、重々しいベースの音を堪能できる曲。3-10Chainの曲はベースの音が聴きやすいがこれは特に主張が強くて格好いい。後半の怒涛の展開がたまらん。

「看護ロック PART2」 …これは怖い。「看護! 看護!」と繰り返されるテンポの速さが看護する側の内心の焦りや不安、「アイヲ エサニ〜」の方は看護される側の、いつまでこのまま続くかわからないゆっくりとした時間と自虐的な思いが感じられて、最後途中で途切れたところはついに…とか考えてしまう。怖いよ。

「月に抱かれて」 …最後の曲は歌詞も曲もしんみりした曲。ギターソロが好きだなー。一度終わると見せかけてもうひと盛り上がりって展開が好み。アルバムの終わりにうってつけの、余韻に浸るのにぴったりな曲だ。

歌詞カードのデザインは四百字詰めの原稿用紙。よく見たら隅に「コクヨ」と書かれていた。そのまま使ったんかな。

このアルバムは本当に「いいよ! いいよ!」と人に薦めまくりたい。そんで良さについて語り合いたい。つっても自分自身、人に薦められるのはあまり得意ではないからやらないけどさ。よっぽど趣味が通じ合うなら話は別だが、そうでなければ面倒だからなぁ。あぁ、でも、もっと色々な人が聴けばいいのに。聴けばいいのになぁ。聴いてほしいなぁ。



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