4月      

2010年4月1日 (木) 緑茶カウント:4杯
やりきった! ら、ものすごく眠くなったのでひとまず就寝! エイプリルフールについてのあれこれはまた明日の日記にて。あぁ楽しかった! おやすみなさい!


2010年4月2日 (金) 緑茶カウント:5杯
てなわけでエイプリルフールでした。トップにも置いときましたが跡地はこちら。お付き合いいただきましてありがとうございます。

まぁ毎年やってるんで騙されてくれる人よりも「今年も何かやってるはずだな」と確認しに来てくれる人の方が多いので、すっかりエイプリルフールの意味合いは薄れちゃいるが、「嘘企画」ってことだからこれで良いだろう。だがしかし! 今年はTwitterのアイコンと名前も「湯飲み屋本舗」仕様に変更し、サイトとTwitterで連動してやってみたので、それは今までとはちょっと違ったかな。驚いてくれた人もいたようで何よりだ。

去年は詩作が趣味の女性のサイト、一昨年は掲示板が荒れまくってるお笑い芸人のファンサイト、三年前は男子大学生の巫女萌えサイトを作り、あと一個バーチャルネットアイドルサイトを作ったけどそれはどっかに行ってしまった。で、だ。さて今年はどうしようかって考えていたものの月日が流れるのは早いものだ。あっという間に三月の後半になって、まずいぞ何もネタを用意してないぞ! と焦ったのが三月二十九日あたりか。

二十九日の夜、既に三十日が始まった時間帯の布団の中で、どーすっかなーどーすっかなー何か良いネタは無いかなーと思いを巡らし、つい先日の筋少ライブでのMCを思い出した。そうだ! よっしゃー! これだーー!! ってことで布団から飛び起き、アイディアを簡単にメモに書きとめて今度こそ就寝。翌日からサイト構築を始めた。

MCの内容ってのは、「オーケンは友人の内田さんが勝手に部屋に入ってくるのが嫌で部屋に画鋲を撒いて撃退しようとした」「散らかりまくったオーケンの部屋を内田さん達が掃除しに行ったら、何故かベッドの下から大量の湯飲みが出てきた」というもの。どちらも中学時代のエピソードである。この話を元にして湯飲みサイトを作ることにしよう。そんなわけで、わかる人にはわかるが、あのサイトには筋少ネタがちょこちょこ含まれていた。収納方法ページなんてそのまんまだな。

そして三十日にロゴを作ったり写真を撮ったりHTMLを組み立ててサイトの大まかな形を作り、三十一日にそれぞれのページを作って湯飲みの絵を描いて四月一日零時ぴったりにアップロードした。夜しか作業ができなかったので実質作業時間は十時間くらいかな。今までで一番慌しかった。流石にこれはギリギリすぎたと思う。もうちょっと時間があったらちゃんとレジのページに進めるようにしたり、店長ブログをつけたりしたかったんだがなぁ。

完成後、一日の夕方からまたちょこちょこと追加と訂正をしたりして、WEB拍手を見たら湯飲みのリクエストがあったので「新商品追加!ページ」を作って新しい湯飲みを加え、それならってんでTwitterでリクエストを募集してみることにし、リアルタイムで湯飲みを更新して行った。惜しむらくはTwitterでしか湯飲みリクエストの告知をしなかったことか。今思えばサイトの方にも追記しとけば良かったなぁ。

そんなこんなで「もうちょっと」と思うところはあったものの、リクエストもたくさんいただけて楽しいエイプリルフールだった。あとあれだ。心からペンタブを買っといて良かったと思ったよ。アナログで描いてスキャンして、ってやり方じゃリアルタイム更新はできなかっただろうなぁ。良い買い物をしたよ。


2010年4月3日 (土) 緑茶カウント:4杯
自分は「伝えたい」よりも「残したい」気持ちが強くて日記を書くんだなぁ、と数日前に何となく気付く。その感覚は十年ほど前に、人間の細胞はある一定の期間で完全に入れ替わり、例えば七歳の自分と十歳の自分を並べた場合、二つは同じ人間であるはずなのに一つとして同じ物質は含んでおらず、全く別のもので構成されていることを知ったときの恐怖に結びつく。何を持って「自分」とするのかわからなくなったんだな。

己の連続性を保つために、記憶や感情の一部をどうにか形にして留めておきたい。十年前とは違い、今では人間なんざ流動的なものなんだからいくら変わったって不思議じゃないと気付いたため変化への恐怖を抱くことは無くなったが、一日一日の己を保存しておきたい気持ちは変わらないらしい。公開こそしてないが、サイト開設当時からの日記も全て保存している。初期のものは特に今読むと恥ずかしく感じる部分が多いが、これらは胸を張って大事な財産だと言えるだろう。

そんなスタンスで自分は日記を書いている。とはいえ、「伝えたい」よりも「残したい」気持ちが強いからといって、「伝えたくない」わけではなく、むしろ自分の「残したい」ものが「伝わる」ことは大変に喜ばしいことだ。だからわざわざ公開してるんだな。そして、たまに反応をもらうとすごく嬉しくなるんだよ。自分の一部を他人に読んでもらえることは幸福なことだ。幸せなことだ。子孫繁栄のみが己の一部の拡散方法じゃないんだぜ。


2010年4月4日 (日) 緑茶カウント:0杯
いったいどうしたことだろうか。何故かネットに繋がらない。困ったなぁ。困ったなぁと思いつつ、とりあえずアップロードはできないものの日記くらいは書いとくかってんで、今そのことを書いている。久しぶりにエレキングを読み返したらやはり面白かった、七巻あたりで止まっていたがまた買い始めようかなぁ、そういえば友人がONE PIECEを全部集めているというので今度読ませてもらうことになった。お返しにこちらは筋少のCDを貸すことになった。少しずつ筋少の輪が広がっているようで嬉しい。ちなみに、一応断りを入れておくが、自分から「貸すぞ!」と言ってはないからな。向こうから貸してくれと頼まれたんだからな。ごり押ししたわけじゃないからな、なんてわざわざ書くとかえって怪しいね、これは。ははは。


2010年4月5日 (月) 緑茶カウント:0杯
今日も今日とてネットに繋がらず。参ったなぁ。明日サポートセンターに電話をかけてみるか。


2010年4月6日 (火) 緑茶カウント:0杯
やっとネットが繋がった。どうやらNortonが原因だったらしく、一度アンインストールしてもう一度ダウンロードし、さらにインストールをし直したら正常に接続することができるようになった。良かった良かった。これで安泰である。

話は代わって。先日サークルの面子と集まったとき、男が格好良いと思う男は誰かという話になり、阿部寛、玉木宏、福山雅治の名前が挙がったことをここに報告しておこう。このときようやく「阿部寛」の読みを「かん」ではなく「ひろし」であると記憶できたこともついでに報告しておこう。いや、自分はあんまよく知らなかったんだ、この俳優さん。トリック一回しか観たことないから。

「男が格好良いと思う男」はすぐに決まったのだが、「男が美人だと思う女」は票が割れてなかなかまとまらず、それぞれの好みが反映されて意見を統一することに難儀したが、最終的には成海璃子で落ち着いた。しかし約二名、何やら付け足すことがあるらしい。

「成海璃子かな。でも今の成海璃子じゃなくてさ」
「あーうんそうそう俺もそう思う」
「だよなー。今はちょっと違うよな」
「わかるわかる。年齢がね。ちょっとね」
「五年後の成海璃子ってとこだよな」
「五年前の成海璃子が一番良いね」
「……あれっ」
「……えっ」

他、仲間由紀恵とよく知らない数名の有名人の名前が挙がったが、よく知らないので忘れてしまって記憶していない。だが阿部寛はまだ「あべひろし」と覚えているので大丈夫だ。ひろしな、ひろし。オーケーオーケー。


2010年4月7日 (水) 緑茶カウント:0杯
このところは水とコーヒーとカフェオレと三ツ屋サイダーを飲んでいる。ちょっとね、たまには浮気をね、ははは、いいじゃないか。緑茶ばかり飲んでいると他の消費が追っつかず、もらいものが溜まってえらいことになるのだよ。だが、安心してほしい。一番愛しているのは緑茶であることには変わりない。多分、きっと、恐らく、多分。

唐突だが、燻りかけていた情熱がまたパチパチと勢いを増してきたので、やったるかなぁ、頑張るかぁ、と思うことがあり、やるぞーと思いつつ、やる、かな。やろうぜ。俺はやるぜ!! おう! と、奮い立たせて就寝! 寝るぜ!


2010年4月8日 (木) 緑茶カウント:0杯
いつだったかなぁ。もう数ヶ月前になるのだが、ライブでわーわーやってる最中にいつの間にやら足を踏まれてだね、右足の人差し指の爪の中に血が溜まり、爪が真っ黒に変色してしまったんだ。骨に異常は無いようだがしばらくは歩くと痛むことがあり、靴下をはく時などに「いつ治るかなぁ」なんて思いながらどす黒い爪を眺めていた。

まぁ、痛むったって大した痛みじゃないし、人目につかないところだからそうそう気にすることも無いかと放っておいた。が、これがなかなか長引いた。痛みは直に引いたもののどす黒い色は変わらない。他の四本の爪に比べ一つだけが自己主張を続けている。よくよく見ると少しずつ血の塊は上へ上へと移動しているようではあるがいったい何ヶ月かかるのだろう。まさか一生このままではあるまいな。

心配は杞憂だった。流石に一生このままということはないらしく、ゆっくりゆっくり爪は中の血の塊を押し出していって、たまの爪切りの度に三日月形の爪の欠片の裏にこびりついた血の塊を見ることができた。よしよし、別に爪が死んでるわけじゃあないようだな、と安心はしたのだが、一つ気になることがある。どういうわけだか知らないが、血のたまった人差し指の爪だけが、他の爪よりも分厚く膨れて盛り上がっているのだった。まるで爪の上に爪をの山を盛ったかのような具合。何だこれ。

衝撃をつけた影響で少しでも丈夫になろうと防衛本能が働いた結果だろうか。わからないがわからないので放っておいてまたしばらく。月日は流れ、やっと血の塊もほとんど外に出ていって、一本だけ自己主張を強めることもなくなった、が、今度はやけに色が白い。しかも爪が若干肉から浮いているように見える。大丈夫なんかこれ、と気付いて触れてみたのが風呂上り。ちょうど爪が柔らかくなっているときである。

すると、ちょいと軽く触れただけなのに、白く変色した爪はぽろっと剥がれてしまったではないか。それもほとんど付け根から。

恐怖である。思わず、まるでドアーでも閉めるように剥がれた爪を肉に引っ付けた。おいおいおいおい。何だこれ。え? 爪死んだの? どうなったの? どうなったんだよ何なんだよ怖いってばやめてくれようわーー!!

何にせよ! 確認しないことにはどうにもならない! しかし怖い! 怖いけど確認しなきゃしょうがないだろってんで、恐る恐る押し付けた爪を取り去ってみた。痛みは無い。痛みは無いが、そこにはピンクの綺麗な肉がつるりと、ではなく、ピンクの綺麗なつるりとした新しい爪が生えていた。

まるで猫の爪の如くである。

どうやら爪が厚くなったのは、古い爪の下で新しい爪が生えていたせいらしい。脱皮のようなものだろうか。まるで蛇だかセミだかになったような気分である。人間も脱皮をするのだなぁ、と発見した今日であった。死んでなくて良かった。


2010年4月9日 (金) 緑茶カウント:0杯
数年前、トッポのチーズケーキ味がものすごく好きでよく食べていて、今年久しぶりにそいつをコンビニで発見、すぐさま購入、食ってみたらやっぱりうまくて、しかし成長したのか歯止めがきいたのか、昔ほど夢中になって食べはしないがやはり美味しく、だが、こいつのどこがチーズケーキ味なのだろうという疑問は昔と変わらず抱いているが、うまいものはうまいので、皆食ってみると良いと思うよ。


2010年4月10日 (土) 緑茶カウント:0杯
実家の机の上にはニポポ人形を置いている。ニポポ人形とは木で作られた人形で、アイヌに伝わるものである。どういう経緯か忘れたがそれが我が家にあり、ずっと気に入って机の上に飾っている。サイズは三十センチほどだろうか。確か網走刑務所で作られた土産の品か何かだったはずだ。あれをまた下宿先に持って来ようか迷っている。線のように細い目は見る角度によって表情を変え、時に微笑み、時に眠たげに、時に無関心な顔を見せてくれる。撫でたり抱いたりはしないもののあいつのことは結構好きだ。さて、どうしようかな。


2010年4月11日 (日) 緑茶カウント:2杯
本日はライブバーX.Y.Z.→Aで開催されたコピバン大会を観に行ってきた。とても楽しかった! 本家のライブとの一番の違いは愛の方向性だろうか。客も演者も双方とも一つのバンド向けて愛を発信してるってのが本家のライブとは違った空間を生むように思う。面白い。今日は夜も遅いので、詳しい感想はまた明日書くことにしよう。


2010年4月12日 (月) 緑茶カウント:4杯



つーことで昨日、ライブバーX.Y.Z.→Aで開催された、筋肉少女帯、爆風スランプ、ラウドネスなどのコピーバンドが集まって十三時から立て続けにライブを行うというコピバン大会マラソンライブを観て来た。写真の花はお店の入り口に飾られていたものだ。サハラ砂漠で狂った猫とは筋少の楽曲「スラッシュ禅問答」に含まれる歌詞の一部であり、以前にもファンキーさんが筋少のサポートをするために筋少曲をガンガン聴きまくった結果、ライブ終了後も色々な曲が頭の中をぐるぐる回るとしてブログにも抜粋されていた。まだこの言葉が脳髄から離れないのだろうか。

以下、告知ページより転載したタイムスケジュールである。


13時〜LADONDESS
(Loudness)

14時〜東日本脳髄液
(筋少)

15時〜 Battle Heater
(爆風)

16時〜You Shock the PANDA
(Led Zeppelin)

17時前〜東日本脳髄液
(筋少)

17時半過ぎ〜石坂屋
(歌謡曲、アニソン)

18時過ぎ〜21st century girls
(Sound Horiszon)

19時〜Battle Heater
(爆風)

20時〜氣
(LOUDNESS)

21時〜うつろ船
(人間椅子)


とはいえ、このタイムスケジュールは暫定のもので、実際この通りだったかどうかはわからない。最初っから最後まで観ていたくせに何でわからないのだと問うならば、昼からずーっと呑み続けていたからである。つっても、だいたいこんな順番だったんじゃないかなぁ、確か。

電車でガタゴト揺られながらのんびりお店に到着したら十三時を少し過ぎたところで、扉の奥からMCが聞こえてきた。ちょうど始まるところらしい。扉を開けばカウンターは満席、テーブル席も完全に空いたところはない。おおー、盛況だ。とりあえず演奏が一区切りするまで立ち見をすることにした。

本日はチャージは無いがドリンク代千円を事前に払うとのことで、支払いを済ませてドリンクチケットを受け取ると右手の甲に「払いましたよ」ってことを証明するためか、緑色のスタンプを押された。よく見ると客も演者も全員手の甲に緑色のマークがついている。面白い。

ラウドネスは聴いたことはないが、ボーカルのニイハラさんの歌声はX.Y.Z.→Aのアルバムを一枚と、橘高さんのデビュー二十周年記念アルバム「NEVER ENDEING STORY」を聴いているので知っている。このコピバンのボーカルの人の歌声が本当にニイハラさんそっくりで驚いた。声質も近いんだろうなぁ。すげぇ。

再びMCに入ったところでテーブル席の空いている椅子に、先に着席していた人に座っても大丈夫か確認をとってから腰を下ろした。バーX.Y.Z.→Aに来たのは今日で三回目だが、テーブル席に座ったのは初めてだ。いつも一人だからカウンターを利用していたんだよね。

何曲目だったかな。ギタリストが交代したんだけど、この二人目の人の指がすごい。ギュルギュルギュルギュル滑るようにネックの上を移動して行って、たまにピアノを弾くような弾き方をするなどのパフォーマンスもあり、いや、もしかしたらパフォーマンスじゃなくてそういう技法なのかもしれんけど。よく知らないからパフォーマンスなんかなって思ってしまったんだけど、素人目から見ても上手だったなぁ。思わず凝視してしまった。

知らない曲ばかりだがノリノリになって盛り上がる。ラウドネスも聴いてみたいと思わされた。あぁ、こうして興味の対象が広がっていくのだな。追っつくのが大変だ。

厨房ではファンキーさんが鍋を振るっていて、スパイシーチキンなる料理をこれから作るので、欲しい人はいますかとのアナウンスがされた。この時は手を挙げなかったのだが、後で運ばれてきたときに一品余ったようだったので、ちょうどビールを呑んでるし、酒のつまみが欲しいのでいただこうかな、ってんで五百円払って受け取ったのだが、受け取って驚いた。何だこれは。

何て説明すればいいだろうか、一口サイズに切断された乾燥唐辛子と鶏肉の炒め物が深めの小皿に入っているものなのだが、スパイシーチキンと名がつくくせに明らかに唐辛子の方が多い。どう見てもメインはチキンではなく唐辛子である。スパイシースパイシースパイシーチキンといったところだろうか。無論、言うまでもなく激烈に辛かった。

その辛さはビールが甘く感じるほどである。一口食べたその瞬間から口の中が燃え上がり、ヒリヒリした痺れと痛みが舌を走る。さらに、演出のためステージを除いて店内の照明は落とされていて、暗さのために箸が何をつまんだのか口に入れるまで知ることができない。これが鶏肉と唐辛子ならまだマシだが、唐辛子と唐辛子だったりするんでこりゃもう大変だ。ビールどころではない、隣の席から流れてきた煙草の煙までも甘く感じるほどである。煙草が苦手な人間なのにだぞ。

見ず知らずの相席している人にも勧めつつ、ビールをガンガン呑みながらこいつを食べた。煙草も苦手だが、自分は辛いものも苦手な方だ。恐らくこのスパイシーチキンは生涯食べた中で一番辛いものだろう。そんな辛いものなのに、食べるうちに慣れていくってんだから恐ろしいものだ。しかも辛さと痛みと同時に美味しさを感じる余裕まで生まれている。ただし小皿の中身を半分減らすために五杯のビールが必要とされたのだが。

いつの間にやらスパイシーチキンのことばかり書いているな。あと、ファンキーさんお手製のトマトと卵の炒め物もいただいた。これは辛くない、普通のトマ玉である。これとスパイシーチキンを交互に食べていたのだが、これまたスパイシーチキン効果でものすごく甘く感じるんだな。トマトなのにまるで果物のような甘さである。うーん、スパイシーチキン恐るべし。

ラウドネスの次は筋少のコピバン、東日本脳髄液である。以前の太田さんセッションにも参加していた人々だ。その時のボーカルは町田康のアルバム「駐車場のヨハネ」がプリントされたTシャツを着ていたが、今回は長髪時代のオーケンを模した服装である。紫のテラテラしたコートのような上着に数珠のようなネックレス、白手袋の出で立ちで、顔のヒビワレはオーケンとは逆の方に入れられている。橘高さんコピーのギタリストは衣装こそ橘高さんのようなぶっ飛んだものではないものの、ふわふわした金の長髪かつらをかぶってバッチリ橘高さんになりきっている。うーん、わくわくするなぁ。

機材のセッティングが完了し、ボーカルのシャウトによりライブが始まる。どこかで聞いたことがあるようなそれは、つまり一曲目は「モーレツ ア太郎」か、と思いきや次にボーカルの口から飛び出た言葉は「大好きだよ」の一声、意外や意外、一曲目は「僕の歌を総て君にやる」だった。

ところがベースのトラブルにより演奏中断、最初からやり直すことになった。この時、曲に入る前のシャウトが「仲直りのテーマ」前の「もう一回行ってみよう!!」に変わっていて、芸が細かいなと楽しく思った。うまいものだなぁ。

店の奥の方の席、入り口から見て右手側には筋少ファンがたくさん集まっているらしく、そちらはいわゆる「ホーム」になっていたようだ。自分はいわゆる「アウェイ」側の、筋少ファンが固まっていない場所に座っていて、その位置から奥の方はよく見えなかったのだが、時たま「これでいいのだ」の時にタオルを回す人の腕などが見えた。コールアンドレスポンスへの反応もホーム側から主に聞こえていたように思う。東日本脳髄液のライブのあり方を心得ている、といった感じだった。

MCでは本家筋少のネタを取り入れつつ、東日本脳髄液の紹介や、今回のライブでバンドを結成してからほぼ一周年になる旨と、ボーカルコウセキさんとギタリストたつまきさんの出会いの話などが語られた。奥の席のホーム側からMCの合間合間に突っ込みや声援が入るところが少し内輪のノリっぽかったな。席がはっきり分かれているせいもあるが、「心得ている方」と「心得ていない方」の温度差がやや感じられた。

MCが長いのは本家と同じである。さらに本家と同じく、曲に繋がるMCが多く見られ、練ってあるなぁ、すげーなぁと思わされた。そんなMCのうちの一つで、ボーカルとギタリストが勝負をすることになり、負けた方が勝った方にビールを奢るというものがあった。勝負の方法は次にやる二曲で、語りの長い曲でボーカルはカンペ無しに噛まずに語りを、演奏の難しい曲でギタリストがギターを、それぞれ間違わずにやりきれるかというものだ。

そして演奏されたのが「飼い犬が手を噛むので」と「再殺部隊」の二曲である。おおー! 「飼い犬が手を噛むので」って本家筋少のライブでも聴いたことがないよ! この後の二部でも本家で聴いたことのない「鉄道少年の憩」が聴けて嬉しかったなぁ。これも語りが長い曲だが見事なものだった。すごい! そして改めて演奏を聴いて思ったが、こんな格好良い曲にあんな歌詞をつけてしまうオーケンは変だ。もちろん、そんな筋少が好きなのだが。

ギターが間違えているかいないかは自分の耳では聞き分けられないが、語りの方は判断できる。それにしてもこれ、どっちの曲も語りが長くて大変だよな。本家オーケンが今やったら学園天国ヘイヘイコールにしてしまいそうだ。もしくはメンバー紹介を入れるだろう。

勝負の結果はボーカルの勝ち、ということになった。ギタリストより一杯のビールをゲットし、始まりますのはビールのイッキ! 「本家であるオーケンが通風でプリン体を摂取できなくなったので、代わりに東日本脳髄液が行います」との説明が入り、厨房の方から大笑いする声が聞こえた。筋少を知らない客にコールの仕方を教えてから「今日のお酒が呑めるのはー大槻さんのおかげです」コール! 見事ボーカルはビールを飲み干してイッキを成功させた。

盛り上げるのがうまいなぁ、とつくづく思った。思ったんだが、酒呑みっぱなしだったせいで曲の順番を全く覚えていないのが問題だ…。一部のラストすら定かではない。二部で「鉄道少年の憩」と「オレンジ・エビス」、「釈迦」をやったのは覚えてるんだがなぁ。「これでいいのだ」「イワンのばか」「少女の王国」「パブロフの犬」「パリ・恋の都」はどのあたりだっけ。確か一部二部合わせて二十曲演奏したんだよなぁ。

とりあえず今日はここまで。また明日続きを書くことにしよう。


2010年4月13日 (火) 緑茶カウント:4杯
昨日に引き続きコピバン大会マラソンライブの感想を。筋少のコピーバンド東日本脳髄液の次は爆風スランプのコピーバンドBattle Heaterの登場だ、って書いて思い出した。このBattle Heaterのキーボーディストが東日本脳髄液にサポートで入って演奏してくれた。その時にこのキーボーディストがヒゲを生やしていて少しエディに似ていたので、ボーカルの煽りの下エディコールが起こってなかなか愉快だったのだ。

さて、爆風スランプであるが、爆風スランプもこれまたRunnerしか聴いたことがなく、そして一曲目がそのRunnerだった。これはいろんなところで爆風スランプの曲とは知らずに聴いていた記憶がある。サビ部分の歌詞を口ずさめる程度には知っていた。

このBattle HeaterのMCも面白かった。本家爆風スランプのMCに因んでいるのかどうかはわからないが、何となくBattle Heater独自のMCって感じがしたな。いや、実際のところはどうだか知らないが。

ある一曲で、ボーカルの要望により本家爆風スランプのファンキーさんが厨房から飛び入り参加して一曲叩いてくれた。わーっと大いに盛り上がる観客に、嬉しそうなBattle Heaterのメンバー達。そりゃ嬉しいに違いないよなぁ。自分の耳では上手い下手まではわからないが、ファンキーさんのドラムの方が何つーかな、音が少し大きくて、メリヘリがある印象を受けた。やっぱ叩く人によって音が変わるんだなぁ、と思ったよ。

この日ファンキーさんは手料理を作ってくれるだけでなく、筋少で踊るダメ人間を演奏中にバンドの前まで出てきてダメジャンプをしたり、Battle Heaterのボーカルが爆風スランプの思い出を語ったら、ファンキーさんも思い出話をしてくれたりと大サービスだった。他のバンドのときもちょくちょく前に出てはちょっかいを出したりノッてみたりと楽しげな姿を見せてくれた。こういうのっていいね、何だか。

Battle Heaterに続くのはLed ZeppelinのコピーバンドYou Shock the PANDA…なのだが、何のコピーバンドというアナウンスが無かったためライブ中はLed Zeppelinだと知ることができなかった。Led Zeppelin、聴いたことがほとんど無いのだよ…。後のSound Horiszonのコピーバンドも誰のコピーだか最初に教えてくれなかったから「何のコピーだろう…?」と思いながら聴いてたな。この手のいろいろなバンドが出演するライブでは、自己紹介とタイトルコールを毎回やってくれると助かるなぁ、と思った。

ここで第一部が終了し、第二部の頭は東日本脳髄液だ。何と! ステージに現れたボーカルは髪を見事に逆立ててサングラスをかけていて、仏陀Lの頃のオーケンを模した姿になっていた。これはすごい! 気合が入っているなぁ! 一回のシャンプーで落ちるのだろうか。

と、いうことで特に印象に残ったところを書いていこうと思うが、先に書いた通りずーっとビールを呑み続けていたため曲順をさっぱり覚えていない。どの曲が一部でどの曲が二部だったのかすら覚えていない。よってまぁ適当に、書きたいところから書いていくか。

「よっしゃぁ!」と思わずガッツポーズをとりそうになったのは「風車男ルリヲ」だ。筋少で最も好きな曲、さらに、以前の太田さんのセッションで聴くことができてものすごく嬉しかった曲。あの感動が再び蘇ってきた、と書こうとしたらタイプミスして「肝臓が再び蘇ってきた」と打ってしまったよ。何だよこれ。恐ろしいな。ゾンビかよ。

「オレンジ・エビス」では歌詞の一部が「ファンキー末吉、え・ら・いっ!!」に変えられて、皆でファンキーさんを讃える曲になった。この場を設けてくださったことに対する感謝の気持ちをこめてのコールだ。ちょうどファンキーさんの名前が「ラッシャー木村」や「マキ上田」と同じタイプでぴったりはまったんだよな。拳を振り上げて「え・ら・い!!」と叫ぶと脳から麻薬のようなものがびゅーびゅー出てくる。いやー楽しい。

「これでいいのだ」では曲に入る前にボーカルが本家と同じく赤い拡声器を取り出した。本家オーケンの持つ拡声器には確かスターリンのマークが入っていたと思うが、東日本脳髄液では筋少のロゴが入っていたように見えた。違うのはここだけかと思いきや、スイッチを入れると拡声器から鳴り響いたのは「ぴよぴよぴよぴよ…」という可愛らしい音。わはははは。ずっこけそうになった。

ラストは釈迦で締め。座席についたまま上半身だけモンキーダンス、ノリノリに盛り上がって酒も良い具合に回っていたので思い切り「シャララシャカシャカァ!!」とシャウトをして楽しんだ。これでおしまいなのが残念なくらいである。

さぁ、お次は何かなと待っていると、揃いのハッピを着た人々がステージに現れた。ハッピには「石坂屋」の文字が縦にプリントされている。当初は筋少、爆風、ラウドネス、X.Y.Z.→Aのコピーバンドを募集していたが、途中から「何でもいい」と変更されたので、歌謡曲とアニソンをコピーするこの石坂屋もエントリーしたとのことである。

演奏されたのはモーニング娘の「LOVEマシーン」や西城秀樹の「YOUNG MAN」などなど、直前の筋少とはガラリと変わったセットリストで、今まで登場したコピバンの流れから見ればアウェイ感バリバリである。しかし、流石人々の耳に浸透した歌謡曲! 一番満遍なく客が盛り上がったように見えた。「YOUNG MAN」での「Y.M.C.A.」におけるステージと客席との一体感はすごかった。また歌が上手いんだなー。

「LOVEマシーン」は自分が中学の頃に流行した曲で、己の中では懐メロに分類される。当時サビの歌詞の意味がわからず、今でもさっぱりわからないが、わけのわからない勢いがあるよなこの曲は。中学生の頃は「日本の未来はうぉううぉうで世界がうらやむイェイイェイで恋をしようじゃないかってどんな繋がりだよ、繋がってねーだろ」と馬鹿にしていたが、今にして思えばこういうのもアリだな。

この後は全員平成生まれのガールズバンド、21st century girlsだが、時間が無いのでまた明日。いったいいつまで続くんだこの感想文は。明日には終わらせたいものである。


2010年4月14日 (水) 緑茶カウント:5杯



今日こそは書き上げたかったが、別件で疲れ切ってしまったため最近描いた絵でお茶を濁す。自分は煙草を喫まないため、茶色い方がどっちだったか覚えておらず、あれこれ検索して色を塗ったのだが、白と茶色の二色の煙草の画像がなかなか出てこなくてやや驚いた。煙草と言えばこのデザインだと思っていたのだが、実際そうでもないらしい。象徴としての煙草のデザインであって、現実はそうでもなかったのかな。


2010年4月15日 (木) 緑茶カウント:5杯
今日もコピバン大会マラソンライブの感想を。流石にこれで最後になるはずだ。と、いうわけで、全員平成生まれのガールズバンド、21st century girlsの登場だ。ドラムが一人、キーボードが一人、ボーカルが三人、そしてナレーターと思われる男性が一人という編成である。Sound Horiszonのコピーバンドだそうだ。

Sound Horiszonを聴いたことがないので本家はどうだか知らないのだが、とにかくドラムが目立つバンドだった。まず音がでかい! そして渾身の怒涛のようなドラムソロ! すっげぇ! ただ、迫力あるドラムに歌が掻き消されているように感じられるところもあった。ちょっと聞こえづらかったかな。あと、三人のボーカルのうちの一人が、暗い表情をしていたのは何でだろう。緊張していたのだろうか。

しかしそんな彼女も後半のソロ部分では晴れやかな表情を見せていた。良かった良かった。曲はファンタジーな雰囲気の、筋少とはまた違う方向性の幻想的な世界を描いたもの、って感じだったなぁ。

次は二部でも登場! 一部でがっつり盛り上げてくれた爆風スランプのコピーバンド、Battle Heaterだ。ファンキーさんが思い出話をしてくれたのは二部の方だったかな。一度観たバンドが出てくると、知っていることが嬉しくてそれだけで盛り上がってしまう。次も楽しませてくれるに違いないと期待が膨らむからだ。実際、期待通りであった。

盛り上がって気分良くアルコールも進み、そろそろビール以外のものでも呑んでみようかなとメニューを手に取った。ここまで種類は変えてはいるがずっとビールを呑んでいたのだ。何だかんだでビールが一番好きなんだよなぁ。いつの間にこんなに好きになったのだろう。

よし! と決めてカウンターの方へと向かう。せっかくここに来たんだし、橘高文彦ロックを呑むことにしよう。これが何かと説明すると、バーX.Y.Z.→AにはバンドX.Y.Z.→Aのメンバーの名前がつけられたカクテルがあり、そのうちの一つが橘高文彦というわけだ。シークァサーと泡盛のなかなか強烈なカクテルで、ロックかソーダ割りがお勧めとのこと。以前は確かソーダ割りで呑んだ気がするが、今回はロックにしてみるか、ってんで橘高文彦ロックを注文。一度席に戻るのも手間なので、そのままカウンターの横に立って出来上がるのを待っていた。

立っている位置からはカウンターの中、つまりは作るところが見える。すると大き目のプラスティックコップに勢い良くドボドボと注がれる透明の泡盛。あちゃーって感じで傾けた泡盛の口を上に向け、シークァサージュースを足して混ぜる店員さん。どう見ても泡盛とシークァサーの割合は9:1である。「超サービス♪」と渡されたそれはソーダ割りでないにも関わらず以前呑んだ時と同じ色合いをしているように感じられた。



いくらか口をつけた後の写真だが、とにかくこいつによって己の記憶力はより破壊され、美味しく楽しいひと時を過ごしたという「感覚」だけが身に残ることになった。だからね、いろいろと曖昧なのは仕方が無いんだよ、うん、言い訳だね。ちなみに映りこんでいるコーラの瓶はよそのお客が飲んだものだ。自分は立派に無駄にノン・ノンアルコールを貫いた。よ。

記憶を破壊されながら二つ目のラウドネスのコピーバンド、氣を観つつ、そろそろ腹に溜まるものが欲しいなってんでソーキソバを頼んだら品切れだったのでソーメンチャンプルーを頼んだ。テーブル席で思いっきりバンドの方に体を向けながら、皿を抱えてソーメンチャンプルーを食らっていた人間こそ自分である。音楽に集中すると飲み食いするタイミングを失ってしまうから、なかなかベストの状態で料理を完食するのは難しい。気付くと冷めたり伸びたりしてしまうんだよな。

氣は先に出たLADONDESSよりも声が「自分」といった感じで、その違いがまた面白かった。それにしても両バンドとも、あの張り上げるような声を出せるなんてすごいなぁ。もともと向いた咽喉だったのか、出せるようになるため訓練を重ねたのか、どっちだろう。気になるものだ。

最後のバンドは人間椅子のコピーバンドうつろ船。人間椅子は「人間失格」だけ聴いている。他にも聴いてみたいのだが、興味が広がりすぎて手を出せないのが現状だ。初めてアルバム借りて聴いたら思いっきり津軽弁で度肝を抜かれた。聴いたことのない音楽に出会う衝撃は心地が良い。

うつろ船も見事に歌い方を再現していて、コピーバンドなのだから当たり前かもしれないが、それでもやはり嬉しかった。気に入っている「りんごの泪」が聴けてテンションが上がる。よっしゃあ! やったー!!

MCも面白かった。例の如くちゃんと覚えていないのだが、自分達のバンドではなく本家人間椅子の活動の告知をしていた。本家人間椅子を「格好良い方」って表現してたかな。きっとこの人達にとって、過去に出会った頃からずっと人間椅子はヒーローなんだろうなと勝手に思ってじんわりした。

全部のバンドを観終わったところで、まだ終電までは時間があったが酒も料理も無くなったので帰ることに決め、電車に揺られて帰路に着いたのだが頭が痛い。まだ寝てもいないのに二日酔いになったような具合である。これは、やはりビールの連打と最後のロックが効いたのだろうか。昼から呑んでいたので時間で割ればそう大した量は呑んでいないはずなのだが、まぁ脳内麻薬もバンバン出たし相乗効果ってやつかなぁ。

なーんて適当なことを考えつつ、頭の痛みのおかげで眠りに落ちて乗り過ごすこともなく無事帰宅した。完全なコピーバンドだけのライブに行ったのはこれが初めてだが、本家のみのライブとはまた違う楽しみがあったなぁ。次回があって都合がつくなら今度も行ってみたいものである。


2010年4月16日 (金) 緑茶カウント:3杯
絵の描き方を模索している。一ヶ月ほど前にめでたくペンタブを購入し、ざかざかと落描きをするなどしているうちにある程度ペンタブにも慣れてきた。あまり細かいものはまだ描けないが、ディフォルメのきいたものなら何とかなる。むしろ線が太めの絵はアナログで描くよりパソコンの方が描きやすい。



縮小したためにわかりにくくなってしまったが、線が太い絵ってのは例えばこんなやつのことだ。あと線の色を気軽に変えられるのが良いなぁ。こういうタイプの絵を描くときはパソコンで描いて印刷して色を塗る、ってのが良いかもしれない。

と、思ったのだが問題が発生した。コピックで色塗りをするときにはいつもイラストボードを使っているのだが、コピー用紙よりも厚みがあるためにイラストボードをプリンターに突っ込むことができない。ものすごく頑張れば強引に突っ込むことができるかもしれないが、印刷できないことには変わりはないだろうし、今後一般的なコピー用紙さえも印刷できなくなる危険性が高い。流石にそこまでのリスクを背負うのはごめんである。

さて、どうしよう。思案した結果、そういえばハガキサイズの発色の良い紙ってのを昔使っていたことを思い出した。きっとあれのサイズがでかいタイプも売っているに違いない。そいつに印刷して色を塗れば万々歳ではないか。うん、よし、これで行こう。

そうと決まれば話は早い。近くの画材店まで歩き、目的の品に近いものを探した。結果、あったあった。ちょいとばかり値段が張るがコピック用と描いてある。薄さはコピー用紙とほぼ変わらないので問題なく印刷することができるだろう。こいつを使えば解決だ。

しかしそうは問屋は卸さない。確かに、目論見どおり紙はプリンターの中をするすると入って行き、紙詰まりすることなくするすると吐き出された。印刷の様子もばっちりである。一見何の問題も無いように思えるが、………そうか、インクジェットだからコピック使うと滲むのか。

コピックだけでなく、手の熱で乾いたインクが溶けて絵が汚れてしまうことも判明した。さらに、それでもめげずに色塗りをしてみたのだが、正直言って塗りにくい。本当にコピック用なのだろうか。妙に色が薄くなるんだよなぁ…。

これは流石に色塗りには不向きだろう。うーん、どうしよう。他に思いつく手といえば、プリンターで印刷したものをコンビニに持ってって、コンビニコピーして色を塗るって手だなぁ。だが、それではコンビニにセットしてあるコピー用紙しか使えない。色を塗るにはどうだろう。うーん。

まぁやってみなきゃわからないよなってんで、新しく印刷した線画を持って行き、念のためコンビニ店員に持参した紙を使ってコピーすることはできるか尋ねて断られ、コンビニにセットされているコピー用紙でカラー印刷をし、持って帰って色を塗った。

するとどうしたことだろう。……コピック用の紙よりずっと発色が良くて塗りやすいじゃないか………。

………。

一応、コピー用紙の下にすぐ下敷きを敷くのではなく、インクを吸収させるためにもう一枚紙を間に挟んで、多少の工夫はしたのだが…。あのちょっとお高いコピック専用の紙は何だったんだ…。そしてコピー用紙で満足した今、あれを今度どうすればいいのだ…。

ややしばらく呆然としたが、色塗りを達成することはできた。線画はパソコン、色塗りはコピック、弦のところだけ白墨汁。なるべく色は塗らずに紙の色を残すことで白い部分を作りたいのだが、いくらなんでもあの細い線を塗り残すのは無理だなということで割り切った。けどネックの部分は白墨汁は使わずに塗り残している。

こいつはいつもの癖でやったことだが、結果的には成功だった。指で触るとわかるのだが、墨汁は紙に染みこむというよりも紙に乗っているために、厚みが生じてしまうのだ。するともしもネックの方に墨汁を使っていたら弦を引く際にデコボコした紙の上に線を引かなければならなくなり、そいつはちっと難しい。できることなら回避したい。回避ができて良かった良かった。

納得できる方法が見つかったので、つっても先人なんていくらでもいるだろうが、自分が満足できることが大切なんだよ。またこのやり方を試してみよう。次はドラムを描きたいな。


2010年4月17日 (土) 緑茶カウント:5杯
ここ最近の寒さは何なのだ。全く持って勘弁してもらいたいものだ。怠惰が生じて冬物を収納する前だったからまだよろしいが、って書いて気付いたけど我が家は冬物を収納する特別なスペースは無いから年がら年中そのまんまであって、じゃあ別に何の問題もないじゃない、うるせー寒いのは嫌いなんだよ、つまりは総括して、早く夏になれ!!


2010年4月18日 (日) 緑茶カウント:6杯
夜中久しぶりの友人から電話がかかってきて、出てみれば泣きながら「手首を切った」と告白してきた場合、人はどのような反応をするだろうか。それは各々人によるだろうが、自分の場合は泣いている理由を尋ねて手首についてはスルーした。意識してスルーしたのではない。単に慣れていたからだ。

と言ってもそんなにしょっちゅうそのような告白を受けるわけではなく、先に書いた通りこの友人と話をするのは久しぶりのことである。だが、事前情報として友人がリストカットをしていたことは知っていたのでさほど動揺しなかった。ただ、手首を切るのは止めたと以前言っていたので、再発したのかとは思ったが。

手首は切らないに越したことはない。友人は夏も半袖を着られずいつも長袖で手首を隠していた。もしくはリストバンドを使用。切り傷が見えないように苦心するのを見て大儀そうだと思ったものだ。だが、長い人生において手首を切りたくなる時期くらいはあっても不思議ではないだろう。自分は切りたいと思ったこともそこまで追い詰められたこともないが、切ることで何かを解消できるなら切らずに死んでしまうよりましだ。

話を聞けば悲しいことがあったそうだ。悲しいことがあったとは可哀想だなぁ。しかしそれくらいで切るのかよ、わからないなぁ、と、予想よりも「悲しいこと」ではなかったため「ははは」と電話口で笑ったが、わからないのもしょうがない。友人の回路と己の回路もまた別の仕組みなのである。とりあえず泣き止め、と言って今度遊ぶ約束をした。楽しみだ。


2010年4月19日 (月) 緑茶カウント:4杯
ふと携帯電話を見るとチカチカとライトが点滅している。電話の着信があったらしい。誰かと思って確認すれば件の友人からのものである。さて、何かなと思いかけ直し、数回のコール音の後、開口一番「ふられた…」と泣き声で告げられ、全くどう反応すれば宜しいか。

そもそも自分は友人に恋人がいたことを知らないので、これは二重の驚きであるが、別に恋人くらいいても不思議ではないので一重の方は大した厚さではなかった。だが、同時に合点がいく。昨日のあれはこのような繋がりを持ってのことだったのだな。あぁ面倒くさい。面倒くさいがしょうがない。

泊まる予定だった宿を失くした友人は我が家に泊まりに来ることになった。約束の時間待ち合わせ場所に行くと、友人は大量の荷物を地面に置いて泣き顔でコンビニ前に立っていた。「菓子折りを持っていく」と言われ「酒のがいいな」と冗談を飛ばした結果だろう。ビールをたくさん買ってきた、と話す友人から袋を受け取ると中にはビールよりも発泡酒と第三のビールが多くつまってた。友人は酒に詳しくないのだ。

家に着き、何も食べていなかった友人がコンビニ弁当を食らう横で発泡酒を傾ける。友人は簡単に事情を説明するが、詳しく説明しようとしたところで「ウヲはこういう話は嫌いなんだっけ」と尋ねてきたので正直に「うん」と答えると別の話に変わった。よってこれまでにどんな経緯があったのかきちんとは知らない。

そして深夜友人は部屋を出て行った。別れたばかりの恋人がこのあたりまで来ているので話をしに行くことになったそうだ。今日は帰らないが明日の夜また泊まりに来るので荷物を置かせてほしいと頼まれ、あいよと軽く了承し、玄関から友人を送り出した。

全くタイプの違う自分と友人が並んで歩く姿を見て、それぞれの友人、知り合いはお前らはいったいどういう関係なのかと尋ねてきたものだ。確かに、最もな疑問、ご意見である。それに対して答えるならば、互いに大して気を遣わなくてすむ間柄であるから、くらいしか答えようがない。趣味も性質も似通わない。たまに「ウヲが恋人だったら良かったのに」と言われるとイラッとくる。だがそれはそれで面白いものだ。健闘を祈る。無理っぽいけど。


2010年4月20日 (火) 緑茶カウント:2杯
新しい傘を購入した。以前使っていたものは持ち手がアルミ製だったため、夏はともかく冬の寒い日などには直に握ると寒さを通り越して痛みすら感じるほどで、そりゃあもう大変つらかった。かじかむどころじゃなかったね。今の季節は春ではあるが、教訓を大事にし、次の冬にも使うつもりであるため金属性の持ち手を避けることを条件の第一として傘を選び、なかなか良いものが手に入った。うん、これは良い。値段もデザインも大きさもバランスが良く好みにぴったりの良い傘だ。

買ったらすぐに使いたくなる性質は昔から変わらない。おかげで今日の帰り道は雨にも関わらず楽しい気持ちになることができた。たまに視界に入り込む新しい傘の存在が嬉しい。まるで子供だな。ははは。


2010年4月21日 (水) 緑茶カウント:4杯
結局友人は我が家には一泊もせずに出て行ってしまった。一日目は夜中に元恋人のもとへと出かけ、二日目は予定を変更して遊び仲間とオールをし、三日目の今日の夜、遊び仲間のうちの一人とぷらぷらしてから帰宅する、と言ってきた。客用布団を干したり畳んだりする手間が省けたので楽っちゃ楽だが、もうちょっとゆっくりしていけばいいものを。曰く、「突然押しかけたことを今になって申し訳なくなった」とのことだが、毎度毎度のことでもあるまいし、ごくたまになら構わないんだがなぁ、と思う。

気の置けない仲だからと言って少しそっけなくしすぎたかもしれない。久しぶりに会ったんだからもうちょっと気を遣ってやれば良かったなぁ、と思うも時既に遅く、まぁ次回があるなら次回、と反省して部屋の中を見渡す。物が多い。友人にも増えたことを指摘された。本棚の文庫本を置くスペースにCDを突っ込んでいるが、文庫本がここは本来我々の居場所であるのでもっと遠慮しやがれと、増加するCDに苦情を申し立ててきているのでCDラックか何かが欲しいなぁ。しかしそいつをどこに置くってんだ。悩みは尽きない。困ったものだ。


2010年4月22日 (木) 緑茶カウント:6杯
ものすごくどうでもいいことだが、未だマツコ・デラックスなる人物が男か女かわからない。わからないというよりも知らないと言う方が正しいか。名前だけはたまに耳にするのだが、近頃めっきりテレビを観なくなったせいでお笑いにはとんと疎くなり、いや、そもそもお笑いの人で合っているのか、それさえも定かではない。何となくおかっぱでセーラー服を着ている人であったような気がするがいかがなものか。パペットマペット。


2010年4月23日 (金) 緑茶カウント:5杯
整形外科に行かんとまずいなー、と思いつつ行ってないのでよろしくない。というのも膝が痛いのだ。左の膝が痛むのである。三月の筋少ライブ初日、ってんだからそろそろ一ヶ月近くなるか、そいつの帰りで浮かれたままエスカレーターを歩いて上っていたらすっ転んでステップに膝を強打、強打っつーかエスカレーターに向かって渾身の力で膝蹴りをかました風に近いが相手は金属、勝ち目はない。いや、あれの素材が金属なのか正確には知らないが。エスカレーターって何の素材で出来てんの? 二十数年生きていてそんなことも知らないなんて! 激烈な痛みと己の不甲斐無さに打ちひしがれつつ「くわぁー」などと情けない声を上げながら電車に乗り込みあれからおよそ一ヶ月。膝が痛い。

歩くときはさほど痛まないが階段を下りるときなどの、膝に体重がかかる際に痛みが走る。上りは今のところ痛まないようだ。ただ、座っているときは家では基本正座か胡坐であるため、不意にズクズクと痛むことがある。で、ちょっとずつその痛みの感覚が狭くなってきたってわけだ。これはまずいよなぁ。良くないなぁ。膝を壊したら面倒だ。もっと面倒なことになる前にちょっとの面倒を片付けて治療を施すのがよろしかろう。うん、行かなきゃな。忘れないようにしないとな。


2010年4月24日 (土) 緑茶カウント:4杯
と、いうわけでちゃんと行ってきたよ整形外科に。結果としてはそんなに大したことはないが、なるべく膝を温めて、正座や胡坐は控えるようにとのことである。痛み止めの薬ももらった。ここまでは良い。ただ、厄介なのはなるべく毎日リハビリに通うようにとのことだ。リハビリったってそんな大層なもんじゃなくて特殊な機械で十五分ほど膝を温めるだけなんだが、病院の診察時間は通常営業、正直そうそう時間は作れない。土日に集中して通えれば良いが日曜日は休診日。うーむどうしたことかなぁ。

まぁあれだ。ひとまず癖になってる正坐や胡坐を回避しないとな。膝は大事だ。膝は大事だよ。


2010年4月25日 (日) 緑茶カウント:5杯
今日はずっと絵を描いてたなー。完成はしなかったが楽しかった。あと抹茶味の菓子を食べた。緑茶は好きだが抹茶味の菓子類は苦手なので正直食べたくなかったのだが、もらいものだから仕方が無い。以前、エビを丸ごと煎餅にプレスした本物のエビ煎餅をもらったときも、エビが苦手なので正直食べたくはなかったのだが、食べないわけにもいかず腹が減るとポリポリ齧っていた。エビは生物としては好きなんだがね。食べ物としては苦手なんだよね。


2010年4月26日 (月) 緑茶カウント:4杯
休みの日などは放っておけば十時間十二時間でも寝られたものだが、このところは目覚ましをかけなくても六時間七時間ほどで目が覚めてしまう。これはついに………、………ついに人間として正しい睡眠時間を得られるようになったのか…。

今までが寝すぎなのである。一日の半分眠ってるってことは人生の半分が夢の中ってのと同義だぞ。阿呆か! 馬鹿! いや、いつも十時間十二時間寝てたわけではないから均せばもうちょっとましにはなるが、それにしてもだ。

ちなみに寝つきが悪かったり睡眠が浅かったりするわけではなく、快適な朝を迎えることができているので問題は無いようだ。無いっつーか今までがむしろだな…。……寝るか。


2010年4月27日 (火) 緑茶カウント:5杯
目が悪いので普段は視力矯正器具、コンタクトレンズか眼鏡を使用している。もしもこれらが無い時代に生まれていたら日常生活を過ごすのも難儀したに違いなく、全くこれらが発明されてから後の時代に生まれて良かったとも思うが、コンタクトレンズや眼鏡の無い時代だったらここまで目を悪くすることもなかっただろう。

どの程度目が悪いのかと言えば、正確な数値は把握していないが、裸眼になって目の前に己の手の平をかざすとピントが合うのは目から十センチまで近づいたところ、といった具合である。正直裸眼でパソコンのディスプレイの文字を読むことなどできない。全ての輪郭がぼやけて背景と混ざってしまい、遠くに行けば行くほど色の混在具合も甚だしく、あぁ、視力矯正器具のある時代に生まれて良かったなぁ、と心から思う。

このようにすっかりコンタクトレンズや眼鏡に依存した生活を送っているのであるが、一つ悩んでいることがある。大したことではないのだが、眼鏡の弦がいくらか歪んでしまっているのだ。そのせいでしょっちゅうずれてしまうため不便な思いを強いられている。だから一刻も早く眼鏡屋でメンテナンスをしてもらいたいのだが、問題はここだ。眼鏡のメンテナンスってその眼鏡を買った店、もしくはそいつの系列店じゃなくてもしてもらえるものなのだろうか。自分がお世話になっていたのは実家の方の眼鏡店なので、出来るならそこでメンテナンスをしてもらいたいが、生憎眼鏡のためだけに帰省するわけにもいかない。お金かかるし。時間かかるし。

そりゃ頼めば別の店でもしてもらえないってこたぁ無いだろうが迷惑だったりしないだろうか。眼鏡スプレーか何かをついでに買えば大丈夫だろうか。中途半端にチキンなのでどうしても気になってしまう。今も眼鏡がずれてきた。早くどうにかしたいものだなぁ。


2010年4月28日 (水) 緑茶カウント:5杯



待ちに待った町田康のニューアルバム、「犬とチャーハンのすきま」をついに手に入れた。しかし、三月には店頭発売日は四月末と予告されてはいたものの、四月の下旬になっても発売日が明確にならず、アマゾンやタワレコの商品情報にも表れないためどうなることかと思っていた、が、四月二十八日発売日! ぴったり当日に手に入れられた。ただ、調べたところ入荷している店舗はものすごく少ないらしい。これから手に入れたい場合しばらくはネット注文を選択した方が良さそうだ。

意外なことにジャケットは紙ジャケ。今までは普通のプラスティックケースだったので店頭で見つけた際に「おや」と思ったが、おやと思っただけである。ただこれ、包んでいたビニールがすっげぇぴっちりしていたせいで開封するのに結構難儀した。最終的にはGペンの先を突き刺して穴を開け、そろそろと破いていったのだが、傷をつけないようにって気を遣ったせいで一仕事だったなぁ。

ジャケットの表の女性が着ている服にプリントされている柄は、こういうプリントがされた服なのではなく、後から写真の上に押したように見える。何のマークだろう。町田康の「康」の字かな。馬車の窓から町田康がそっと覗いていることに後から気付いて噴き出した。これまでのドアップぶりからは考えられないほどの慎ましさである。裏のジャケットではさりげなくチャーハンが存在感を主張していてこれまた笑った。最初は気付かんかったよ。

それで歌詞カードを取り出して驚いたんだが、写真で見てわかるかな。これ、いわゆる「歌詞」と言われて思い浮かべるような、一行に一文で段落を変えて、って形じゃないんだよね。九曲目の「あなたの終局」だけその形式なんだけど、他は全部まるでそれぞれが一つの短編小説のような形で書かれている。また、ボーカルは誰、ギターは誰、録音場所はどこ、録音日はいつ、といったアルバムに関する情報も一つの文章で、町田康の言葉によって語られている。アルバム情報すら一つの作品にしてしまうって、見事だなぁ。四つ折りにしただけの一枚の紙で、カラーでもなく、写真もないあっさりとした歌詞カードなのに物足りなさなど一つも感じない。手抜きじゃないもん、これ。歌詞カードって作品に仕上がってるんだ。

ってまだ曲について一言も書いてないのにこんな長々語っちまってどうすんだよ。まぁ仕方が無い。久しぶりの新譜にテンションが上がってしまっているのだ。しかもこいつがかなり自分の好みだってんだから、そりゃ、なぁ。上がらないわけもないさ。

じゃ、収録曲のタイトルを一から抜粋してみるか。

頭が腐る
俺はいい人
饂飩出汁
頭のなかの青い海
うどんのなかの世界
なんで?
道端のおっさん
ひとり盆踊り
あなたの終局
爛漫
あなたにあえてよかった
I am fool.

十二曲中二曲のタイトルにうどん。どんだけうどんが好きなんだよ。また、歌詞中にうどんが含まれるものは十二曲中五曲であった。どんだけうどんが好きなんだよ。

まずは一曲目「頭が腐る」から。こいつを聴いて驚いた。……あれ、何だか声が爽やか…じゃないか………? どうした! こんなに爽やかだったか? 何があった!? って思ったが、最初だけだった。あーびっくりした。「頭が腐る」は結構声にエフェクトをかけているように聴こえる。

全体的なアルバムの感想としては、前作の「脳内シャッフル革命」とだいぶ曲の雰囲気が違う。今回使われている楽器はピアノ、フルート、マリンバ、ドラム、テルミン、キーボード、ギター、ベース、前作はドラム、パーカッション、キーボード、ギター、ベース、ってんだから音も違って当然なのだが、何かね。すごくキラキラしてる。曲にもよるが、ピアノが目立つせいかなぁ。ポップというか可愛いというか。そんなキラキラした音に乗せていつもの町田節が炸裂してる、その妙が良い。一曲目が異常に爽やかに聴こえたのは音の性質が違ったことも一つの要因かもしれない。

あと一番特徴的なのは、一曲の中で起伏が激しいものが多いってとこかな。とろ火でコトコト煮立てていたら突然鍋が爆発! 爆発!! 大爆発!!! 何事だー!? と驚愕して鍋の方を確認したら何事もなかったかのようにコトコト、てな感じ。唐突に爆発して唐突に静まってまた爆発して、だんだん間隔が狭くなっていく。こういう曲が多い。それがまたたまらないんだ。

まだ語りたいことは山ほどあるが、もうちょっと聴き込まないことには語りたくても語れないな。また明日。


2010年4月29日 (木) 緑茶カウント:5杯
今日も「犬とチャーハンのすきま」について。昨日の日記にも書いたけど、もう一度このアルバムの特徴を。

まず、音がこれまでのアルバムに比べてキラキラしている。
次に、一曲の中で起伏の激しい構成のものが多い、もしくは目立つ。
そしてもう一つ。全部ではないが、曲調と歌声が驚くほど活力に満ち溢れている。

激しくシャウトする曲は今までにもあったが、溢れる活力が感じられるのは記憶する限り、「メシ喰うな!」「腹ふり」「駐車場のヨハネ」「どうにかなる」「脳内シャッフル革命」には無かったように思う。ただここで一つ注意しなければならないのは、これらを聴いていた頃の自分と今の自分に違いがあるってことである。というのも、昔はあまり音楽を熱心に聴かなかったが、最近はいろいろと興味が拡大してきてあれこれ聴いたり一曲に集中するようになったおかげで、以前より耳が肥えてきたのである。

ギター、ベース、ドラム、ピアノ、ボーカルがそれぞれ一本の糸であり、束にまとめたものが音楽だとして、昔の自分にはボーカルの糸のみ別で、あとは全て一まとめの束のままにしか認識できていなかった。楽器の音は全てごちゃっとした音の塊でしかなかったのである。それがようやくそれぞれの糸を解いて、バラバラの音が合わさって一つの音楽を構成していることがわかるようになってきたのだ。すると不思議なことで、それぞれの楽器の音一つ一つにハッと気付かされ、感動することもあるようになった。だからアルバムに対する第一印象の受け取り方ってのも変わってきているはずなんだよね。

閑話休題。町田康の作品、音楽にも小説にも共通することだが、混沌の中にある主人公が、堕落の方向へと突き進んでさらに混沌を深めて行き、そんな中で「これが俺の個性なのだから大丈夫だよ」「こんな世の中だけど楽しいね」「ちょっとおかしいかもしれないけど全く問題など生じていないよ」と可愛い子ぶりながら己を全肯定して見せる。しかし混沌を深めて行く中で主人公の身はついに破滅、もしくは寸前にまで追い込まれ、そこで爆発するように先ほど全肯定した己自身を嘘だ欺瞞だまやかしだと暴き立てる、これがこのアルバムにも描かれていて、混沌とした現状を綺麗に綺麗に自分に言い聞かせる形で取り繕うとした挙句、失敗して混沌がより深くなる様がとても悲しい。

そんな悲しいどうしようもないやるせない世界が、町田康の独特の語彙と言葉のリズムによって、例えばやたらとうどんなんて言葉を多用してみたり、時代がかった口調で語ってみたりして描かれながら、それでもやるせない思いで終わらないのはそれらの言葉を乗せる音楽がキラキラと優しく美しく輝いているからだ。

このやるせなさと美しさと活力が感じられる一番わかりやすい曲は十一曲目の「あなたにあえてよかった」だ。嫌なことばかりがあった、でもあなたにあえて苦しみが消えていった、だが現状は何も変わっていなくて状況は何も好転していない、だけど大丈夫だよ世の中には綺麗なものでいっぱいさ、………しかし、という内容だ。この「しかし」に至る直前に「この番組はご覧のスポン」というフレーズが挿入され、そこから「綺麗なものが見えていた目」の真実が暴かれる。この歌詞カードには載っていないフレーズは言うまでもなく「この番組はご覧のスポンサーの提供でお送りします」をぶった切ったものである。何故これが挿入されるか、それはこのテレビから流れるフレーズが、綺麗な世界から「現実」へと引き戻す生活の雑音の、現実の象徴として使われているからだろう。では何故ぶった切られているか、それは現実に引き戻すその言葉を「聞くまい」と耳が拒絶したからだろう、って勝手に考えている。

つーのもこの「ご覧のスポン」って言葉は町田康の短編小説のタイトルにも以前使われていて、それは「ホワイトハッピー・ご覧のスポン」というのだが、その小説を読んだときにも似たような予想を立てたのだ。多分そう的外れでもないと思う。

アルバムの最後に収録されている「I am fool.」はまるで全てのやるせなさを洗い流すかのように、美しいギターとピアノの調べで終わる。町田康の描く混沌の中でやるせなさを抱くもどうにもならない人物は今の世の中多くいることだろうと思う。だからこんなに活力に溢れた音なのかなぁ。これで「脳内シャッフル革命」のようなテンションだったら真っ暗というか、くたくたになってしまいそうである。不況で疲れた世間の空気がかえって町田康に活力に溢れた作品を作らせたのだろうか。陳腐な言い方だが、今の時代だからこそ、この時代の多くの人に聴いてもらいたいアルバムだ。本当、「今」聴いて欲しいと思うアルバムだよ。

最後に、特に気に入っている曲は「饂飩出汁」「頭のなかの青い海」「あなたにあえてよかった」だ。それとちょいと驚いたのが、一つ町田康らしからぬ言葉が歌詞中に使われてたってことだ。「電波」って言葉を「気が狂った」って意味で。へぇ、この意味でこの言葉をそのまま使うんだ、珍しいなと思った。つってももっと前から使ってたかもしれないけどね。


2010年4月30日 (金) 緑茶カウント:4杯
いただいたアドバイスを胸に決意を抱いて眼鏡店に行き、無事眼鏡のメンテナンスをしてもらうことができた、が、生憎外れた部品の在庫が現在店にはないために、ゴールデンウィーク明けにまた来て欲しいと言われたが、いえいえ、急いでるわけでもないし構いませんよそんな謝らないでくださいよ、って眼鏡の鼻にあたる部分の歪みの直しとクリーニングをしてもらって店を出た。仕事とはいえ親切だなー。嬉しいことだ。




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