未分類4杯, のほほん学校, 大槻ケンヂ, 非日常

間違いなく、これまで参加したのほほん学校の中で一番楽しく、面白かった。腹を抱えて笑い、こんなに贅沢な時間を過ごしてしまって良いのかと過剰な幸せを抱えきれなくなりそうなほど。
何が楽しいって、終始己の大好きな筋肉少女帯の話題が語られたことだ。

ゲストはネオディスコードのファンタさんにNoGoDの団長、そして内田さんとエディの四名。まずはオーケン一人がステージに現れ、昨今の近況を語り、秋に発売する筋肉少女帯のアルバムの作詞が進んでいることを教えてくれた。

ちなみにこの日は番号もまあまあ良かったのだが、ぽっかり空いた席を見つけたおかげでのほほん学校では初めての前から二列目をゲットした。この視界の良さったら! 間近にオーケンを観ることができて最高に嬉しかった。

ファンタさんが登壇してからはオーケンのネットには書けないあれやこれやな話が披露され大いに盛り上がり、話は代わってファンタさんの近況へと移る。するとNoDoDの団長に誘われて筋少のコピーバンド「筋肉杉並」を結成した話が語られる。曰く、団長とは一回しか会ったことがなく、他のメンバーとの面識も全くない中でバンドが組まれたそうだ。故に今日会うのもほとんど初対面とのことである。

そして団長もステージへと呼ばれ、筋少のコピーバンドを行ううえでの秘訣がオーケンより伝授される。そこへ持ってこられたのはリュックサックで、中から出てきたのは写真の束。オーケンの成長記録を写した写真とのことで、これがスクリーンにでかでかと映し出されるのだが、これがまあ何と言うか。何と言うか面白かった。

裸ん坊でニコニコ笑う赤子のオーケンから始まり、家の前でお兄さんと並ぶ記念写真では既に笑顔が消えて、クラスメイトとの銭湯での入浴写真と学校行事で楽しげに笑う写真などが披露されたかと思えば、ブルマーに網タイツを穿き、顔にうどん粉を塗って袋を被った不審者極まりない姿が映し出され……たと思ったらデビュー後の森の奥に棲む妖精と見紛うような美青年の写真。「何度か入れ替わっているに違いない」と言うオーケンの言葉にうっかり頷きそうになる変貌の記録であった。

その一枚一枚に団長とファンタさんは衝撃を受け、小気味良いツッコミを入れてくれるからたまらない。ゲラゲラ笑いながらステージを観ている自分に反して、オーケンは真面目に闇の深さこそが筋少を作ったと語り、団長が真似できないと降参する。

では、筋少を知るうえで欠かせない、歴史を知るメンバーをお呼びしましょうということでステージに現れたのはうっちーとエディ! 贅沢! 何て贅沢!! エディから筋少在籍時のツアーの過酷さが語られ、うっちーのMacを背負ってツアーを行い、ライブ終了後すぐにシムシティで遊んでいたエピソードが披露された。曰く、シムシティが精神安定剤だったとのことである。

その流れで内田さんの最近の活動にも触れられ、急遽テクノを披露することに! 選ばれたのはエディが自身の代表曲と自認する「サンフランシスコ」。Macとボコーダーがセッティングされ、うっちーによる演奏が始まる。ピコピコサウンドでうっちーによりこれでもかと編曲されたサンフランシスコは……作曲者のエディにも「どこがサンフランシスコか」理解できない昇華具合で、その困惑具合が楽しかった。

また、そこに「別の曲を歌ってみてもいいのではないか」というオーケンの思いつきによりうっちー編曲のサンフランシスコに乗せてイタコLOVEを歌い上げながら踊り、それに合わせて団長も踊り、サンフランシスコなのに! と拗ねたうっちーが無言で曲を止め、そこにオーケンが謝ってまた曲が始まったかと思えばオーケンが別の曲を高らかに歌ってうっちーがブツンと曲を切る、というやりとりが繰り返された。うっちーの電子楽器に興味深げに触れるファンタさんも可愛らしかったなぁ。

そうそう、この前だったかな? 「筋肉杉並」のキーボーディストが怪我で急遽参加出来なくなったことを団長が話すと、エディが「いないの?」と興味深げに声をかけ、もしかしたらエディが参加をしてくれる……!? と思わされる展開が熱かった。団長も興奮していた。実際どうなるのだろうなぁ。

うっちーとエディが退場してから、筋肉杉並の二人が無茶振りで本番前にちょっぴり練習しただけの「日本印度化計画」を披露し、コーラスはオーケンと観客に任されたものの、事前確認したにも関わらずオーケンは見事にコーラスを間違えてタハハとなった。でも、二人とも流石にファンでミュージシャンだなぁ。今日この日にいきなり合わせたとは思えない出来栄えだった。すごいなぁ。

のほほん学校にしては珍しくチェキの販売もあったので喜んで買って帰路に着いた。ゲラゲラ笑って、大好きな筋少の話題を存分に聞けてこれ以上なく楽しいイベントだった。こんなに幸せになってしまって良いのかと疑心暗鬼に陥りそうになるくらいだ。あぁ、幸せだったなぁ。

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日記録0杯, 大槻ケンヂ, 日常, 最上魁星

2018年4月2日(月) 緑茶カウント:0杯

さて今年のエイプリルフールは何をしようかな、とぼんやり考えつつもなかなか思いつかない日々を過ごす中。ふと日常の中で頭に浮かんだ言葉が「最上魁星 平成総選挙FINAL」。瞬間、「あ、これだ」と思った。しかし何故またこの言葉が閃いたのかはわからない。

最初は「最上魁星 平成総選挙FINAL 最上&最上withレジェンド最上」にしようかと思ったが、よく考えたらそれぞれ名前があるからそれを使えば良かろう、ということで「最上魁星 平成総選挙FINAL カイザー&リバースwithバイカイザー」となった。



というわけで最初に作ったのがこのロゴ。大変だった。ものすごく大変だった。ロゴの作り方なんぞ知らないので地道に描くしかない。とりあえず似た書体の活字を打ち込み、パンフレットの文字を凝視して特徴を掴みつつ、「こんな感じならそれっぽいか……?」と考え考え線に装飾を施し太くしたり短くしたりしながら作った。よってよく見るとところどころ歪んでいるが、そこはご愛嬌ということで。

あとはそれぞれの最上魁星のイラストと説明文に、優勝者へのプレゼントのネビュラバグスター。ネビュラバグスターは、不老不死以外に最上魁星が欲しいものは何だろう……と考えた結果行き着いた優勝商品である。減らされたら仮面ライダーの前に出て来ざるを得ないくらい大事にしているものなら一年分もらったら嬉しかろう。一年分のネビュラバグスターが何体かは知らないが。

ちなみに「仮面ライダー平成ジェネレーションズFINAL」の登場人物の中で一番最初に描いたのがネビュラバグスターである。最上魁星でもバイカイザーでもなく。自分でもまさかこいつを先に描くとは……と思わざるを得なかった。

ロゴとページデザイン自体は先に終えたがイラストの着手が遅く、三月三十日の二十三時からスタートし資料を探しながらぶっ通しで描き続け、朝の八時頃にバイカイザーの歯車を数えていたときが一番辛かった。格好良いデザインってのは……手間がかかるものだね……!!

そうして昼の十二時に全ての素材が揃い、ポチポチとキーボードを叩きつつ体裁を整え、出来上がったのが十四時頃か。ちなみにこの日ライブに行く予定があり、疲労困憊の日々を抜けトドメに徹夜を完遂した身に耐えられるのか……と思ったがとっても楽しかった。アコースティックだったのが幸いだったように思う。

この企画に込めたのはとにかく愛。オーケンが仮面ライダーの映画に出演したことをきっかけに初めて仮面ライダーを観て、気付けば劇場に七回通い、放送中のビルドや過去作のオーズも観るようになった。新たな楽しみが得られた嬉しさと、作品への思いと突っ込みを凝縮させた。大変だったが、作っていて楽しかったなぁ。

返す返す思うことは、最上魁星というキャラクターの何と魅力的なことだろう、ということだ。オーケンの特性をそれぞれ切り取ってキャラクターへと昇華してくれたことの嬉しさに、ビルド本編にも影響する立ち位置の喜び。こんなに良い役をオーケンが担当することになって本当に嬉しい。この嬉しさと喜びを噛み締めるためにも、早くDVDで反芻したい。よってDVDの発売が待ち遠しくてならないのだ。発売は五月。あぁ、早く来ないかなぁ。

と、こんな感じの思いを詰め込んで作った企画である。楽しんでもらえたなら最高に嬉しい。

そうそう。当初は集計する予定はなかったものの、せっかくなので数えてみた。結果は下記の通りである。メカ最上とファンキーな最上で一騎打ちになるかと思いきや意外な結果で驚いた。ファンキー最上人気あるなぁ。

1位:最上魁星(カイザーリバース/白い和服でファンキーな方) …15票
2位:最上魁星(研究員時代) …7票
3位:最上魁星(余り) …6票
4位:最上魁星(カイザー/左半身機械な方) …5票
5位:バイカイザー …2票
その他(選べない、箱推し) …2票

「最上魁星 平成総選挙FINAL」の跡地はこちら。



未分類大槻ケンヂ, 非日常

今回のライブの正式名称は「大槻ケンヂ生誕祭!ロックLIVE編!!オーケンナイトニッポン~52歳を迎えたオーケンが1月遅れのフリーダムなロックライブ! 豪華ゲストも続々登場して、特撮、電車、絶望少女達、カバー、ソロ、大仏連合その他、賑々しく熱唱します!」。そしてこの長々としたタイトル通りの、濃密かつ贅沢な二時間を楽しむことができたのであった。

本当に素晴らしく楽しかった。楽しすぎて、何時間もずっと余韻に浸り続けている。ただゆらゆらとライブの楽しさを反芻し、ほうとため息をつきながらトポトポとビールを注ぎ、ゆったりグラスを傾けては夢を見ている。叶うならずっとこのまま、永遠にライブ後の夜を過ごし続けたい。

オーケンの生誕祭ということでオーケンはニッコニコで、嬉しそうにはしゃいでいた。今回のセットリストはきっとオーケンが歌いたいもの、歌って気持ちいいものを集めたのだろう。そう感じたのはこの二時間、オーケンがそれはもう気持ち良さそうに歌っていたからで、伸び伸びとした歌声に魅せられながら、この三十年でオーケンが重ねてきた様々な活動から生まれた音楽の多種多様な色合いを味わったのであった。

そのうえロビーにはオーケンの衣装展も開催されていて、特攻服に血まみれ白衣、絶望少女達のジャケットで着た衣装に、仮面ライダーで演じた最上魁星の衣装まで飾られていた。嬉しかったなぁ。特に最上魁星の衣装の格好良さったら! 衣装展の開催を聞いた際にはてっきりガラスケースに入れられるものかと思いきや、立ち入りを防ぐテープは張られるものの手を伸ばせばすぐに触れられるような距離に衣装が並べられ、まさかこんなに間近で生で見られるとは思わず、その質感や細かい意匠をほれぼれと見つめることができて非常に嬉しかった。半身が機械の最上魁星のズボンには中心に穴が開いた鋲が点々と打たれていて、映画でキラキラ光って見えたそれの正体は鋲だったのか! と驚いた。てっきりラインストーンかと思っていた。

チェキも買えた。嬉しい。それもとても格好良いものが! こんなに楽しいこと、嬉しいことが一日にいっぺんに起こってしまって良いのかと心配になってしまうほどだ。

ハッピーバースデーの音楽と共にオーケンとメンバーがステージに現れ、「ジェロニモ」から始まってのっけからヒートアップ。かと思えば二曲目はくるりと調子が変わって「猫のリンナ」。「猫のリンナ」はチープ・トリックの「I want you to want me」にオーケンが日本語の歌詞を自由に乗せたものだ。猫の中にはあたりとはずれがあり、それは舌の裏で見分けられると可愛らしい歌詞を歌うオーケン。そして二番に移ったとき……下手から聴こえる美しい歌声が紡ぐのは原曲「I want you to want me」の歌詞! ベーシストの竜ちゃんこと高橋竜さんが透き通るような美声を響かせてくれた。

最初のゲストはオーケンをリスペクトしまくっているNoGoDの団長! 何と、ヒビワレメイクを入れての登場である! オーケンに代わって客を煽りに煽り、オーケンは「楽だな~」としみじみと喜んでた。曰く、客を煽るのは歌う以上に疲れることもあるそうだ。

団長はオーケンへの愛とリスペクトをまっすぐオーケンにぶつけていて、照れ笑いを浮かべるオーケンが愛らしかった。いかにオーケンから影響を受けたかを語る様子は見ていて非常に微笑ましく素晴らしい。オーケンも嬉しかったろうなぁ。

オーケンと団長が歌う曲は「ヤンガリー」! ここでオーケン、「ヤンガリー! ヤンガリー!」と叫ぶところだけをやりたいと言い出し、団長に「お客さんのところじゃないですか!」と突っ込まれつつ、団長がメインの歌詞を歌ってオーケンが煽る形に。 いやぁこの曲、エディのピアノの迫力とすっとぼけた歌詞の組み合わせが良いよなぁ……!

ヤンガリーの後に団長が退場し、次の曲は電車から「夢みるショック!仏小僧」。この妖しい曲の中で、オーケンがぎゅっと左目を瞑ってウインクをしていたのがやけに印象に残っている。

そして! ありがとうございます!! 死ぬほど大好きな「お別れの背景」を今日聴けたことの嬉しさったら! この曲は何と言っても情景描写の美しさがたまらない。一番と二番で対比される英雄と犯罪者を背景に、それらをただの「その場で見た出来事」とし、あくまでも自分達の人生の外で起こったこと、メインストーリーである自分達の交際の帰結に比べれば何でもないこととして描かれるカラッとしたドライさがものすごく好きだ。「手錠の男は」とオーケンが高らかに歌いながら、ぐっと両腕を胸の前に並べ、手錠をかけられる仕草をしていたことも印象的だった。

あぁ、嬉しかったなぁ……。

二人目のゲストはえんそくのぶぅくん。彼もオーケンをリスペクトしてヒビワレメイクを入れていて、団長は今のオーケンのメイク、ぶぅくんは昔のオーケンのメイクを再現していたもののオーケン自身はこの日ヒビを入れていないうえ、二人のヒビの違いに気づいていなかったことにぶぅくんが物申していて面白かった。本当に大好きなんだなぁ。どうしてもオーケンにヒビを入れて欲しいのか、「マジック持ってきてください!」と袖に向かって言い放ち、今度オーケンにヒビを入れても良いという約束を得るや否や「生入れしていいんですか!?」「自分の誕生日に後輩へのプレゼントを……ありがとうございまーす!!」と大喜びしていて微笑ましかった。

そうそう、先にステージに現れた団長を指して「あいつはにわかですよ!!」「あいつはXも詳しいですが、俺はXは知りません!!」とオーケンにアピールしているシーンもあり、たじたじとなるオーケンが面白かった。愛されているなぁ。

ぶぅくんを招いて歌ったのは「人として軸がブレている」。今日は本当に、オーケンが活動してきた様々なバンドや企画の曲をたくさん味わえて嬉しい。「ブレブレブレブレ!」と手を振る楽しさったら。一番をオーケン、二番をぶぅくんが歌い、それぞれ女の子の声を高い声で表現していて、歌い終わった後に「女の子の声、どっちがかわいいか対決だったね」とオーケンが言い、「大槻さんの方が可愛かったです」と勝ちを譲るぶぅくんに照れるオーケンという一幕も。自分をリスペクトしまくる後輩と相対するオーケンはいつも、偉ぶるでもなくむしろその勢いにたじたじとすることが多くて愛らしいなぁ。

ぶぅくんがいなくなるや否や、一転してステージの空気が変わる。赤と緑の照明に照らされてカウントされる「ワン・ツー・スリー・フォー」の囁く声。じゃがたらのカバーで「タンゴ」だ。

アダルトかつ色っぽく、危うい歌声と演奏。楽しい軸ブレからの展開に息を呑まざるを得ない。さらに続くは「ゼルダ・フィッツジェラルド」! 赤い照明に浮かぶオーケンの物憂い表情、高らかに歌われる詩。この曲も大好きで、圧倒されつつ魅了された。

MCを挟み、竜ちゃんとエディ、そして長谷川さんが始めたバンド「竜理長」の話題へ。竜理長はオーケンの曲もいくつかカバーしていて、今度オーケンと一緒にツアーをやる告知も。これも行ってみたいんだよなぁ。

オーケンと竜ちゃんのツインボーカルで歌われたのは「SWEETS」。竜理長もカバーしている曲である。竜ちゃんの透明な歌声が非常に印象的で美しかった。あと、オーケンの歌をオーケン以外の人が歌うってのが、やはり慣れず、不思議で、楽しいんだよなぁ……。

エディのやわらかな指先から奏でられるピアノの音色から始まるのは……「Guru」だ。「綺麗だ……」とため息を吐くかのような声とともにステージが真っ赤に染まる。幻想的な光景に息を呑んでいると……え、マジか。

語ってくれたんだ。オーケンが。
あの、「春の夜の人のいない伽藍の底に」、と!! 「伝道師よ」、と!!

気づいたら、胸の前で指を組んで聴き入っていた。
まさかこれが聴けるとは。生で。「Guru最終形」でカットされたこの語りを、聴ける日が来るなんて……。

美しさに涙が出そうだった。心臓を鷲づかみにされて仕方なかった。
美しかった。

余韻に浸る……間もなく次のゲストが紹介される。ついに、筋肉少女帯のメンバーが登場だ! 見るからに普段着なふーみん、うっちー、おいちゃんの三人がステージにやってきて、オーケンがあれこれとちゃかす。特に内田さんは普段着も普段着で、ステージ衣装を着ているオーケンと並ぶとギャップがすごかった。ちなみに橘高さんも普段着だったが、髪をくるんくるんの縦ロールにしていた。

やけに積極的にトークを進めようとするおいちゃんの珍しい姿に驚きつつ、「ケーキとか用意してないよね?」と念を押すオーケンがおかしい。曰く、ケーキが運ばれてくると大概段取りが乱れてしまうので、それが嫌だそうだ。そこに内田さんが、嫌がるだろうからやめようと話をしたことを告げ、一番そういったことをやりたがりそうな橘高さんが「嫌がるのが楽しいんだけどね」と笑っていた。

そして四人揃って歌うのは「じーさんはいい塩梅」! えっ「じーさんはいい塩梅」のためだけに来てくれたのか!? 来てくれたのか……!! ある意味豪華である。びっくりした。

メンバーが退場する前にオーケンが言う。「この後にやる曲は筋少以外でこれからやりたいと思っている曲で、良かったら楽屋で聴いて行ってね、でも帰ってもいいよ」と。聴いて欲しそうなのに控えめなところが実にオーケンらしい。

そういった前振りで始まった三曲は「とん平のヘイ・ユウ・ブルース」「ゴロワーズを吸ったことがあるかい」「企画物AVの女」だ。

共通するのは、どれも語っているような歌っているような曲であるということ。
あ。だからGuruも今回、語ってくれたのかな、と思った。

追悼の意味合いもあるのかなあ、と思いながら耳を傾ける。何度となく聴いた「ヘイ・ユウ・ブルース」に、初めてオーケンの歌唱で聴く「ゴロワーズを吸ったことがあるかい」。いつだったか。一時期オーケンは語りを嫌がり、省略することが増えていた時期があった。語りの箇所でオーディエンスを煽ったり、学園天国を入れたり。それは寂しくもあったが、変化は当然のこととして受け入れてきた。

その当時の思いを振り返りながら思ったことは、「語り」の意味合いが変わったのではなかろうか、ということだ。

これはあくまでも己の考えに過ぎずそれ以上でもそれ以下でもない。思ったのは、かつてのオーケンにとって、「語り」とは身の内から溢れる衝動を流れるままに言葉にしたもので、言うなれば自動筆記のような、神がかりに近いものであったのではなかろうか。故にその衝動が収まってからは語りはただのなぞる行為となり、面白みが失せてやる意味が無くなったのではなかろうか。

その「語り」の意味合いが変化した。衝動で流れるものから、一言一言噛み締めるように紡ぐものに。存在する歌を、噛み締め、大事に言葉にすることで顕現させる。そんなものに変わったのではないだろうか。

と、いうことを聴きながら感じたのであった。

「企画物AVの女」は、「あなたがきづいたら、あたし生まれかわる」の箇所でグッと来て涙が出そうになった。ここのオーケンの声、すごく好きなんだよなぁ。

じーんとしている中で現れた、最後のゲストは人間椅子のワジー! 何と! 手に赤い紙袋を持っての登場である。オーケンへのバースデープレゼントとのことで、中身は車の消臭剤。五十を越えたら加齢臭に気をつけねばということで、オーケンもうんうんと頷いていた。そういうところに気を使えるって良いなぁ……。自分も気を使える人間になろう。

ワジーは新しいギターを抱えていて、では何が奏でられるかと言えば……「君は千手観音」! そして下手から現れるは……ダンボールで作った炎を背中にしょい、筋肉を描いたボディスーツを着て大仏連合の執金剛神こと、佐竹雅昭に扮した……NoGoDの団長だーーー!! それも大真面目な表情で!!

ポージングを決めオーケンの方を向く団長に、手を合わせ南無妙法蓮華経を唱えながら折りたたみをするオーケンが実におかしかった。

本編ラストはアベルカイン。ここでドッと人が前に押し寄せ、狂乱のようになってびっくりした。「猫猫猫猫!!!!」「犬犬犬犬!!!!」と拳を振り上げながら大声で叫ぶ。咽喉が枯れそうになった。

アンコールでゲスト全員が出てくるかな……と思いきやそういうこともなく、「テレパシー」を美しく歌っておしまい。「テレパシー」に入る前に語られたのはアダムスキー型UFOで知られるジョージ・アダムスキーの話。彼は七十四歳で亡くなったが、UFOに出会ったのは六十歳で、六十歳からコンタクティーとしての活動を始めた。オーケンは齢五十二歳で、きっとすぐ五十五になり、アラ還を迎えるのもあっという間だ。しかし、六十歳で活動を始めたアダムスキーのように、今からでも始められることはあると。今この場にいるオーディエンスが何歳かはわからないが、六十歳からでも始められると。そう熱く語り、先輩ミュージシャンではなくアダムスキーの話をするのが俺だよね~と照れ笑いをしてお茶を濁す。

だがそれはきっと本気のメッセージだ。五十二歳にして、新たな音楽をやりたいと活動を始めるオーケンの。四十代半ばにしてギターの練習を始め弾き語りをするようになったオーケンの、力強いメッセージだ。オーケンは言う。孤独や退屈から人を救うのは、趣味と教養と仕事だと。オーケンは言う、自分には趣味がないと。さらに言う。自分には教養がないと。そうだろうか? それはきっと彼が、どちらもすごく突き詰めて考えているからだろう。だが、本当はきっとそれを持っている。ただオーケンの思う水準には達していないと考えている。だからこそ、磨くのではなかろうか。

およそ二十歳年下の自分は何を磨くべきだろう。何を研ぎ澄ませ、この先にある孤独や退屈に立ち向かうだろう。今でこそオーケンに助けられているが、いつかその力に頼らなくても生きていけるように。探し求めて行かねばなるまいな、と思った。

と、真面目なことを考えたのは余韻に浸りきって、ちょっと落ち着いたその後だ。しばらくはずっと脳が酩酊している状態で、ライブ会場ではたった一杯しかビールを呑んでいなかったのに頭がゆらゆらしていた。

最高に、とてつもなく楽しい夜だった。



ジェロニモ
猫のリンナ

ヤンガリー(ゲスト:NoGoD団長)
夢みるショック!仏小僧
お別れの背景

人として軸がブレている(ゲスト:えんそくのぶぅくん)
タンゴ
ゼルダ・フィッツジェラルド

SWEETS
Guru

じーさんはいい塩梅(ゲスト:筋肉少女帯)

とん平のヘイ・ユウ・ブルース
ゴロワーズを吸ったことがあるかい
企画物AVの女

君は千手観音
アベルカイン

~アンコール~
テレパシー





未分類0杯, 大槻ケンヂ, 非日常

のほほん学校などで弾き語りを聴く機会があったためすっかり行ったことがあると思い込んでいたが、よくよく思い返してみたらオーケンの弾き語りライブに行くのは今日が初めてだったと気づき、少し驚いた。何故今まで行っていなかったのだろう。

それは様々な面を持つオーケンの中で一番好きなのが筋肉少女帯のボーカリストとしての大槻ケンヂだからだろう。顔にヒビを入れ、特攻服を着て、マイクを片手に大声でシャウトするオーケン。故に、東京で行われる筋少のライブはほとんど行きつつ、その他の催しについてはその時々で選んできた。

そんなわけで今日、初めてじっくり聴いたオーケンの弾き語り。場所は吉祥寺のスターパインズカフェで、整理番号は五十番よりも後ろ。一階の中央から後方の中間あたりでハイネケンの瓶を舐めつつ開演の時を待つ。そういえば以前ここに来たのは平沢進のファンクラブ限定イベントだったかな。あれから一年とちょっと経ったのか。時間が経つのは早いものだ。

しみじみしていると場内の照明が落とされ、ステージにオーケンが現れた。写真柄のシャツに黒いベストを重ね、黒い帽子をかぶりギターを抱えて椅子に腰を下ろす。一曲目は赤い照明を浴びながら「タンゴ」が奏でられた。

しんみりした曲と楽しいトークを交互に行う構成で、空間の広さとしては大きく差はないはずだが、のほほん学校よりも近さを感じた。それはゲストを招いて爆笑トークを繰り広げるのほほん学校と、じっと一人の声とギターに耳を傾ける空間の色の違いかもしれない。同じトークでものほほん学校は披露されるもの、弾き語りでは語りかけられるもの、という印象の違いを感じた。

曲は「タンゴ」から始まり、「おやすみ-END」で終わった。全体的にしんみり系が多く、「SWEETS」「夕焼け原風景」「蓮華畑」「OUTSIDERS」「人として軸がブレている」「アザナエル」「サイコキラーズ・ラブ」「guru」「ノゾミ・カナエ・タマエ」、ノリノリ系では「愛のプリズン」「ヌイグルマー」、変り種で「日本印度化計画」の替え歌「日本暗黒化計画」も歌われた。

のほほん学校などでは「香菜、頭をよくしてあげよう」「オンリー・ユー」を聴くことが多く、言い換えれば他の曲を聴く機会はほとんど無かったため、今回オーケンの弾き語りをたっぷり聴いて「あ、こんなにいろんな曲が聴けるんだ」と喜びつつわくわくした。どの曲もすっかりオーケンの手に馴染んでいて、いつだったか何年も前に聴いたたどたどしい音色との差に驚いた。すごいなぁ。ずっと練習していたんだなぁ。

今日聴けて嬉しかったのは「アザナエル」と「夕焼け原風景」。どうしてかわからないがやけにしっくり来て、恐らく自分はこの二曲を聴くためにここに来たんだな、と感じた。

トークはのほほんと穏やかに進行した。印象的だったのはオーケンが「自分は巻き込まれ型のラウドロックボーカリスト」だと言ったこと。もともとやりたかった音楽は遠藤ミチロウや町田町蔵のようなパンクロックで、あと好きだったのはさだまさしのようなフォーク。そんな自分が今、大音量の中大声を張り上げて歌っているのは身近にヘヴィメタルやハードロックのミュージシャンがいたから。今も大槻ケンヂといえば長髪でヒビワレメイクのイメージが色濃いけど、いつか今みたいな、喫茶店のマスターのような黒いチョッキを着てアコースティックギターを抱えているイメージに転換するのもありかもね。だから皆さん、もしオーケンが筋少のライブで突然特攻服を脱いで、その下に喫茶店のマスターが着るようなチョッキを着ていたら「まだ早い」ってちゃんと止めてくださいね、と語っていた。

今月五十二歳になったオーケン。自分が一番好きなオーケンは筋肉少女帯のオーケンだが、いつか、それこそ特攻服を脱いで黒のチョッキに着替える日が来るかもしれない。それはとても寂しいことだが、しかしそれでもオーケンがニコニコと、ずっとギターを抱えて楽しく音楽を奏で続けていってくれるのはとても嬉しいことに違いない。

さて、そのとき己は何歳だろう。近いか遠いかわからない未来に思いを馳せる。まだまだ先だと良いなぁ、と願って。

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未分類0杯, のほほん学校, 大槻ケンヂ, 非日常

大好きな人の誕生日を、同じ空間でお祝いできる幸せを噛み締めた夜である。

今日のオーケンは終始ふにゃふにゃほわほわしていて、仲の良いゲストに囲まれとても楽しそうにトークをしていた。オープニングでは「接吻」「君は薔薇より美しい」をカラオケでニコニコ歌い、エンディングではゲストの増子さんとノブさんと三人で「銃爪」を熱唱、最後はカホンを叩くノブさんとアコースティックギターを抱えるオーケンの二人で「オンリー・ユー」が演奏された。

オーケン曰く、ご機嫌なときでないと歌えない「接吻」「君は薔薇より美しい」を、それはもう楽しそうに歌いきる様子を楽屋で観ていた怒髪天の増子さんが苦笑いをしながらステージに呼ばれるおかしさよ。増子さんからは誕生日プレゼントとして仏具を連想させる素敵な湯呑みと吸水性の良いタオルが、その後に呼ばれた人間椅子のノブさんからは健康を気遣ってフルーティーなお酢の三本セットと入浴剤の大容量セット、そしてマンホールカードにロープウェイカードが贈られた。湯呑みを見て「親父の仏壇にこういうのがあった……」と何とも言えない顔をするオーケンがおかしかった。一番嬉しそうだったのはお酢だったなぁ。マンホールカードとロープウェイカードにも形容しがたい表情をしていた。

今日のトークはとにかく、増子さんがすごかった。回転の速いこと速いこと。ROOTS66の集まりでも増子さんの周りに人が集まってきて、何か面白い話を聞かせてほしいと期待の面持ちで見つめられ、要望に応えてトークをした結果本番前に咽喉が疲れてしまう、というエピソードが披露された直後になるほどこういうことか、とすぐさま納得させられた。オーケンが投げたものにいち早く返し、ツッコミを入れ、話をどんどん展開させていくのである。故に、オーケンと増子さんに挟まれて座るノブさんが「俺が一番得してる!」と高速でラリーが交わされる爆笑トークの渦中で目を輝かせていた。

あまりにも展開が早いので「あぁ、その話もっと詳しく聞きたかった!」と惜しい気持ちになるシーンもあった。例えば仮面ライダーとか、仮面ライダーとか! ちなみに増子さんは友人の子供にオーケンの演じる最上魁星を指して「この人友達なんだよ」と話したら株が上がったそうで、ありがとうとオーケンにお礼を言っていた。

トークは仮想通貨を作る話にエンケンさんの追悼ライブ、ROOTS66の中でオーケンが先輩扱いされる話、未だに学年が重視される話、水際では無敵な吉川晃司や、ダムカードやマンホールカード、カレーの話などなど。これらがすごい勢いで転がり、展開していく迫力のすごさったら。いつも楽しいのほほん学校だが、ここまで終始大笑いし続けたのは初めてかもしれない。

オーケンは完全にリラックスしきっていて、増子さんの鋭いツッコミにたじたじとなりながら、眠い目をこするような仕草で「弱ったなぁ」と言いたげにトホホな表情を見せていた。かと思えば長引くトークをきっちり仕切り、次のコーナーへ移る場面も。イベントは全体で二時間半で、それはもう、最高に楽しい時間だった。

ちなみに今日この日にオーケンが一番食いついた場面は、オーケンがお風呂で愛読している古武術の雑誌「月刊秘伝」を、怒髪天のメンバーも読んでいると増子さんが話した瞬間である。あのとき、本当に文字通り身を乗り出していた。……仲間を求めているのだなぁ。

印象的だったのは最後の「オンリー・ユー」で、「人間っていったい何だろう」の部分を今のオーケンになぞらえて変えていたこと。じーんとするとても良い歌詞だったのに、記憶できなかったのが悔やまれる。

それにしても思うのは、この猫背でやわらかく椅子に座り、足を揃えてほにゃほにゃふわふわしている人と、ドラムセットを背にステージでマイクを握り、眉を吊り上げてシャウトする人が同一人物であることの不思議さである。仮面ライダーの映画で「バイカイザーとなるのだー!!」と悪い顔をして叫んでいた人と同一人物であることの不思議さである。そうなんだよなぁ、同じ人でなんだよなぁ。今日はまたとびきり、滑舌がゆるゆるしていたなぁ。

筋肉少女帯のオーケンも、のほほん学校のオーケンも、アコースティックギターを抱えるオーケンも、原稿用紙に想いや物語を描くオーケンも、「オレにカレーを食わせろ!」とシャウトしているにも関わらずカレーが胃に重くなってしまったオーケンも、細かな文字を読むためにぐっとマンホールカードを目から遠ざけるオーケンも、どのオーケンも大好きだ。その姿を活躍をいつまでも眺め、応援したい。

五十二歳のお誕生日、おめでとうございます。これからもずっと健康で、良いことばかりが起きますように。