スポーツ観戦

2017年7月30日(日) 緑茶カウント:2杯

スポーツを観戦しながら熱心に応援している人は今までに何度も見たことがあるが、口汚く罵倒し続ける人の姿を見たのは初めてで、己は面食らったのだった。

例え自分のことではなかろうとも、罵声というものは聞いていると嫌な気分がするものだ。商店街の外れにある小さな電器店の前、道路に面して設置せられた大きなテレビの前でその男性は声を荒げていた。己はその向かいの店に用があって曇り空の下ポテポテ歩いていたところで、「ざまあみろ!!」「下手くそが!!」「死ね!!」と叫ぶ声を聞き、何か事件か何があったかとびっくりして声の主の方に目をやって、ただ野球観戦をしていただけ、ということを知ったのであった。

その声は電器店の向かいの店に入ってからもしばらく聞こえていて、それを聞きながら買い物をしつつ抱いていたのはじんわりとした違和感と嫌悪感。この人を見たのは初めてだが、よく来るのだろうか、店の人も困るだろうなぁと思いつつ気付いたのは、罵声を放つ男性の視点である。大概スポーツ観戦をするときは贔屓のチームに感情移入をして、彼らに対して声をかけるだろう。ところがその人は終始相手方のチームに対して声を挙げ、ひたすら罵倒し続けている。攻守交代も関係なく、視線の先はひたすら相手方のチームで、ただただ彼らのミスをあげつらい、罵倒し、呪っているのであった。

プツリと声が途絶えたのは店主がチャンネルを操作したからかもしれない。あの人は何がきっかけであのように試合を観るようになったのだろう。買い物袋を提げて外に出ればそこはいつもの商店街の風景で、電器店の前には誰もおらず、テレビは真っ黒にうつむいていた。



日記録2杯, 日常